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    Tora_sxd

    REHABILIタクトワ。タク√でeuphoria後の小話。am 4:51。
    微かなシーツの擦れる音に意識が覚醒する。ほっとするような陽だまりの温かさにそっと瞳を開けた。視界に入るのは肌色だ。自分のではなく、タクの。身体に感じる重みと、絡まされた脚に抱き込まれているのだと知覚する。
    身動ぐもその拘束が取れる気配はない。わざわざ抜け出す気もないので、視線だけで室内を伺った。

    タクのマンションの寝室だ。タクが新神海に戻ってきてから、ほとんどタクの家で過ごしている。むらせクリニックの三階はアトリエと化し、気が向いたときに筆をとるために戻る位しか訪れることはない。
    タクを待っていたあの一年とは違い、もうタクだけを描くことはなくなった。しかし、彼と見たものや、彼を見て感じたものを描くことが増えた、と思う。それは写実に描くときもあれば、感覚に身を任せ形のないものもあった。いつだったか。レイがトワの絵を見たときに「今のトワの絵、とても素敵よ」と溢した。まるで胸に込み上げる何かを噛み締めるように絵を見ていたからよく覚えてる。


    遮光カーテンの裾から朝の光が滲み出ている。
    まだ起きるには早いだろう。外の喧騒は聞こえず、鳥の囀りがたまに聞こえる位の静かな朝だ。 1356

    wakako_sks

    REHABILIむつきよ出来てないお話すでに夕暮れが近い。東の窓は桔梗色をしていて、開け放たれた南向きの窓からは斜めに橙がかった光が差し込んでいた。くっきりと窓の形に切り取られた橙色は、同じ着物の色をまるで黄金のように輝かせている。
    暑くないのかな。
    加州清光は強い西日の下で眠る男の妙にあどけない寝顔を見ながら思った。
    この本丸は――正確には拡張された二の丸にあたるが――二階建てで、一階には厨や風呂といった水回りがあり、二階にはいくつにも仕切られた部屋があった。以前、まだ本丸の規模がそこまで大きくなかった頃は刀剣男士たちがそこで寝起きしていた。今は空き部屋になっているが、こうして加州のように時々気の向いたものがうろうろとしていたりする。
    とはいえ今加州がここにいる理由はちょっと情けない。自室に口にするのも憚られるような虫が出たため、殺虫剤を焚いているので一時避難してきているのだった。
    すると先客がいた。があがあと大きないびきをかいて寝こけていたのは同じ刀剣男士のひとりである陸奥守吉行だった。別の部屋に移動してもよかったのだが、ひとりになるのはなんとなく心許なくて同じ部屋に留まることにしたのだ。
    加州は日の入ってこない部屋の 993