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    おとぎ

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    PROGRESS6月りかおせWEBオンリー発行予定、りかおせ新刊「竜の住む館」サンプル

    文庫サイズ/?円/全年齢

    発行時にはここから文章の微修正があります、ご了承ください。

    おとぎ話パロです。
    発行時はこの前に「むかしむかし、あるところに」で始まる文章が入ります。
    完全無欠のハッピーエンドはないかもしれませんが、最後は「二人は、いつまでも幸せに暮らしました」で終わります。

    ⚠本編は流血表現ありになる予定
    6月発行予定りかおせ小説「竜の住む館」冒頭まだ日が沈むなのに、その森の中はひどく暗かったことを、理解はよく覚えていました。

    生い茂る糸杉の木はどれも空を刺すように高く伸びて、地面に降り注ぐはずの陽の光をほとんど奪っています。
    そこは暗くて寒くて、不気味な森でした。
    理解はなぜ、そんなところを一人歩いていたのでしょう。理解はそのときその森で、村の子供を探していたのです。
    理解は、森の東の村で警吏さんをしていました。警吏さん――いま皆さんが知っているお仕事では、お巡りさんが一番近いでしょう。
    お巡りさんがそうであるように、警吏さんのお仕事は悪い人を捕まえることだけではありません。しかも東の村の警吏さんは理解一人だけだったので、理解は色々なことをしていました。村人同士のケンカや言い争いを解決すること、なくなった物やいなくなった人を探すこと、危ない場所に誰も入れないように鎖をかけたりすることも、理解の大事なお仕事でした。理解はさらに、村人たちが健康的な生活ができるよう朝起きる時間や体によい食べ物は何かを教えたり、子供たちに読書や勉強の大切さを説いたりと彼が思う正しさを村の中に広めようともしていました。理解自身は、毎日自分は素晴らしい仕事をしているという充実感に溢れていましたが――村の人たちに受け入れられるのは、もう少し時間がかかりそうでした。
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    いしえ

    DONE鈴と若7本初出順まとめ
    ・さあ、おとぎばなしを生きよう!/鈴若鈴でも鈴若でも
    ・出世した魚、大海ゆうゆう/鈴若(※若干の事後描写あり。具体的ではないですが)
    ・そして青さと春を知る/鈴若でも鈴若鈴でも(田中時代メイン)
    ・おとぎ参り/鈴若でも鈴若鈴でも
    ・ぬくもり、火ともし道となる/鈴若鈴でも鈴若でも若鈴でも
    ・季節がきっと、めぐりゆけども/鈴若
    ・夢の跡地は虹の架け橋/鈴若鈴でも鈴若でも若鈴でも
    鈴若と、受攻解釈お任せの鈴若鈴or鈴若(ものによってはor若鈴も)の小説7本まとめ◆さあ、おとぎばなしを生きよう!/鈴若鈴でも鈴若でもお任せします◆
    (2023.09.03初出)幽白読み返し中で、田中まで読んだので、ひとまず今の印象をSSにしました。





     伝説を、作ろうとしていた。それにはまず、戸愚呂に勝つことだと思ったのはそう、田中を名乗っていたころだ。そして俺は、惨敗という語すら恐れ多いほどみじめにいきのこる。ああ、負けた。だが同時に思う。自身は、生への執着が強いのだろう。もうこんな思いはしたくない。強くなりたい。強くなれれば、戸愚呂へのリベンジマッチが果たせれば、きっとこの生にもみじめな執着は薄れよう。そう思うほど、戸愚呂への勝利が生きる意義になっていた。きっとつよさとは、もうそのまましんでもいいと思えるほどのそれ以上ない境地にあるのだろうから。そうすれば、そうだ、自ずと伝説にもなれよう。伝説とはきっと、数々の偉業がつむぐ物語なのだから。強くなりきるまえに老いることだけがただ恐く、人間のようにすぐ老いる儚い存在でなくて良かったとだけ、密かに安堵する。ああ、老いとは、儚く醜く度しがたいものだ。人間にだけは、なりたくないものだ。
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