お花見
44_mhyk
DONE【ブラネロ家族】ある晴れた春の日に#ブラネロ親子1weekドロライ
お題「お花見」で書きました。家族が花見にいく話。
@brnrfamily_drwr
【ブラネロ家族】ある晴れた春の日に 朝からネロはご機嫌だった。朝起きると、もう部屋のキッチンにはいなくて、ジュニアは眠い目を擦りながら厨房まで遠征した。いつもなら、少なくともジュニアが起きる頃にはまだ部屋のキッチンにいて、おはよう、を言ってから厨房に行くのに。
「ネロ?」
「お、ジュニア起きたか。おはようさん。ネリーはまだ寝てた?」
「うん、父ちゃんと一緒に寝てる」
父ちゃん、とは、自分にそっくりな方の父親、ブラッドリーのことだ。
同じ名前をもつ父をブラッドリー、と呼ぶのがなんだかくすぐったくて、ついいつもブラッドリーの方を父ちゃん、と呼んでしまう。
実際は、ネロもブラッドリーも父ちゃん、なのだが。
ジュニアはネロのエプロンが好きだ。白いシャツはゆったりとしていて、エプロンと一緒に腰のあたりで括られてしゅっとする。シャツの背中のたゆみと、その下のエプロンの細いシルエットがなんかかっこいいと思うのだ。
3568「ネロ?」
「お、ジュニア起きたか。おはようさん。ネリーはまだ寝てた?」
「うん、父ちゃんと一緒に寝てる」
父ちゃん、とは、自分にそっくりな方の父親、ブラッドリーのことだ。
同じ名前をもつ父をブラッドリー、と呼ぶのがなんだかくすぐったくて、ついいつもブラッドリーの方を父ちゃん、と呼んでしまう。
実際は、ネロもブラッドリーも父ちゃん、なのだが。
ジュニアはネロのエプロンが好きだ。白いシャツはゆったりとしていて、エプロンと一緒に腰のあたりで括られてしゅっとする。シャツの背中のたゆみと、その下のエプロンの細いシルエットがなんかかっこいいと思うのだ。
ゆりお
DONEお題「お花見」宵越と人見 春の陽気の中、真新しい制服に身を包んだ少年少女たちがひしめいている。そんな人混みをかけ分けて、ジャージ姿の一人の在校生がふらふらと姿を表した。
「宵越君、チラシ分けて〜」
疲れ切った顔をした人見は、チームメイトに声をかける。
「なぜかどんどん人が寄ってきてすぐなくなっちゃって……」
そんな彼に、宵越は渋い顔を向けた。
「どうしたの?」
こちらを睨みつけたまま動かない彼に首を傾げ、人見はその手元を見やった。
「まだ余ってるよね?」
「なんでお前ばっかり……」
「えっ?」
食い縛った歯の隙間から漏れ出す呻き声。宵越の手に力が篭り、『カバディ部、新入部員募集中!』と書かれた勧誘チラシに皺が寄る。
「なぜだ……俺のチラシの何が気に食わねえっていうんだよ!?」
1305「宵越君、チラシ分けて〜」
疲れ切った顔をした人見は、チームメイトに声をかける。
「なぜかどんどん人が寄ってきてすぐなくなっちゃって……」
そんな彼に、宵越は渋い顔を向けた。
「どうしたの?」
こちらを睨みつけたまま動かない彼に首を傾げ、人見はその手元を見やった。
「まだ余ってるよね?」
「なんでお前ばっかり……」
「えっ?」
食い縛った歯の隙間から漏れ出す呻き声。宵越の手に力が篭り、『カバディ部、新入部員募集中!』と書かれた勧誘チラシに皺が寄る。
「なぜだ……俺のチラシの何が気に食わねえっていうんだよ!?」
にしはら
DONE耀玲お花見話。くっつく寸前のもだもだした期間融けない淡いあまやかさ 警視庁捜査一課へ捜査関連資料を届けに行くのは、専らマトリの下っ端である私の役目だった。
今日も仕事の昼休憩をいただく際に、関さんから申し訳なさそうに頼まれて二つ返事で了承する。最近はデスクに齧りついている時間が多く、運動不足になりがちな身体を動かすには丁度いい。戻りは遅くなっても構わないからと、課員への寛大すぎる気配りをしてくれる上司に深く頭を下げて、庁舎から警視庁への道を徒歩で向かう。
「耀さん? 朝から見てないなー」
「昨晩から明朝にかけてはいましたよ、恐らく仮眠を取りに行ったのでしょう」
服部班のメンバーたちは事もなげに激務の片鱗を口にするので、思わず苦笑してしまう。
「そうですか、関さんから頼まれていたものだったので本人に直接渡したかったのですが……。思い当たる場所を知りませんか?」
3661今日も仕事の昼休憩をいただく際に、関さんから申し訳なさそうに頼まれて二つ返事で了承する。最近はデスクに齧りついている時間が多く、運動不足になりがちな身体を動かすには丁度いい。戻りは遅くなっても構わないからと、課員への寛大すぎる気配りをしてくれる上司に深く頭を下げて、庁舎から警視庁への道を徒歩で向かう。
「耀さん? 朝から見てないなー」
「昨晩から明朝にかけてはいましたよ、恐らく仮眠を取りに行ったのでしょう」
服部班のメンバーたちは事もなげに激務の片鱗を口にするので、思わず苦笑してしまう。
「そうですか、関さんから頼まれていたものだったので本人に直接渡したかったのですが……。思い当たる場所を知りませんか?」
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ4/2お題:お花見多分付き合ってる雨クリ
ユニットでの仕事の帰り道。最寄りの駅へと向かう道すがら、見事な桜並木を見つけた三人は、思わず足を止めた。
「へえ、行きは気づかなかったけど、綺麗だねー」
「ちょうど見頃ってところだな」
この後は予定している仕事もない。寄り道するのもいいだろうと、三人の足は吸い寄せられるように並木道へと向かった。両脇に植えられた桜は満開を迎え、時折はらりと花びらを落としている。
「桜といえば、やはりサクラダイの話は欠かせません!実は漢字の桜鯛と片仮名のサクラダイは別種の魚でして……」
「桜を前にしても、クリスさんは相変わらずだねー」
桜もそこそこに、いつものように話し始めたクリスに、隣の想楽が苦笑した。
桜に囲まれるクリスは、本人の持つ華やかな容姿も相まって大層絵になっている。一方で当の本人の意識は桜ではなく海へと向いてしまっているのがちぐはぐで、どこか面白い。
1355「へえ、行きは気づかなかったけど、綺麗だねー」
「ちょうど見頃ってところだな」
この後は予定している仕事もない。寄り道するのもいいだろうと、三人の足は吸い寄せられるように並木道へと向かった。両脇に植えられた桜は満開を迎え、時折はらりと花びらを落としている。
「桜といえば、やはりサクラダイの話は欠かせません!実は漢字の桜鯛と片仮名のサクラダイは別種の魚でして……」
「桜を前にしても、クリスさんは相変わらずだねー」
桜もそこそこに、いつものように話し始めたクリスに、隣の想楽が苦笑した。
桜に囲まれるクリスは、本人の持つ華やかな容姿も相まって大層絵になっている。一方で当の本人の意識は桜ではなく海へと向いてしまっているのがちぐはぐで、どこか面白い。
sy_leg
DONE雨クリワンライ 4/2お題『お花見』いつも通り雨→クリな感じです。
「少し散歩をして帰りませんか?」
そう古論に誘われたのは都内のスタジオでの撮影を終え、帰宅しようとしていた時だった。
「散歩って…今からかい? もうじき夜になるが」
「駅まで少し遠回りをする程度ですよ。勿論、雨彦の都合が良ければ、ですが」
プロデューサーは別件の打ち合わせがあると言ってテレビ局に向かった後であり、北村は今日は珍しく兄が定時で帰って来るのだと言って足早にスタジオを出ていた。口にするのは厳しい言葉が多いが、なんだかんだで兄のことが好きらしい北村の様子を雨彦も古論も微笑ましく思いながら見送ったのはつい先程のことだ。
スタジオのスタッフを除けば古論と二人きりなのだと意識したところで、そういえば以前もこんなことがあったなと思い出す。
1460そう古論に誘われたのは都内のスタジオでの撮影を終え、帰宅しようとしていた時だった。
「散歩って…今からかい? もうじき夜になるが」
「駅まで少し遠回りをする程度ですよ。勿論、雨彦の都合が良ければ、ですが」
プロデューサーは別件の打ち合わせがあると言ってテレビ局に向かった後であり、北村は今日は珍しく兄が定時で帰って来るのだと言って足早にスタジオを出ていた。口にするのは厳しい言葉が多いが、なんだかんだで兄のことが好きらしい北村の様子を雨彦も古論も微笑ましく思いながら見送ったのはつい先程のことだ。
スタジオのスタッフを除けば古論と二人きりなのだと意識したところで、そういえば以前もこんなことがあったなと思い出す。
秋月蓮華
DONEコズメズのお花見風景コズメズの花見昼は暖かく、夜は寒い。
寒暖差がとても激しいのだけれども、
それでも確実に冬は遠のいて、春がやってきている。
「桜が咲いてるな」
「もっと咲くんだろうな」
矢戸乃上珂波汰と双子の弟である矢戸乃上那由汰は用事の後で立ち寄った公園で咲いている桜を見つけた。親子連れが楽しくピクニック形式で桜を眺めている姿もあれば年を取ったスーツ姿の男が死んだ顔で桜を眺めていたりもする。
那由汰がはしゃいだ様子で桜を見上げている。
(花見ってなんか食ったほうがいいんだよな)
「珂波汰?」
「なんか食うか? 花見ってそういうもんだろ」
外食をするだけの金はポケットの中に入っている。
「それなら雷麺亭のラーメンがいい」
「花見と一緒には食えねえだろ」
428寒暖差がとても激しいのだけれども、
それでも確実に冬は遠のいて、春がやってきている。
「桜が咲いてるな」
「もっと咲くんだろうな」
矢戸乃上珂波汰と双子の弟である矢戸乃上那由汰は用事の後で立ち寄った公園で咲いている桜を見つけた。親子連れが楽しくピクニック形式で桜を眺めている姿もあれば年を取ったスーツ姿の男が死んだ顔で桜を眺めていたりもする。
那由汰がはしゃいだ様子で桜を見上げている。
(花見ってなんか食ったほうがいいんだよな)
「珂波汰?」
「なんか食うか? 花見ってそういうもんだろ」
外食をするだけの金はポケットの中に入っている。
「それなら雷麺亭のラーメンがいい」
「花見と一緒には食えねえだろ」
marija_scale
DOODLE博玉がお花見行く話 白い雨がはらはら夜風に吹かれている。向こう岸に咲くソメイヨシノを遠くながめ、博士は左目をやさしく細めた。となりでは竹の縁台に腰掛けた玉森が唐草の風呂敷包みを開けたところだ。中には細身の酒瓶とカルスピの小瓶が入っている。酒のほうを博士に渡すと、二人は栓を抜いて静かに乾杯をした。氷川酒造の慣れた辛さをひとくち飲み、博士はほっと息を吐く。
散歩がしたいと言い出した玉森に連れられ夜の上野に来ていた。不忍池の桜はほとんど散りかけだったが出店はちらほらと開いており、花見客もそこそこ歩いている。あるいは桜を口実に飲みたいだけの者もあるのだろう。
二人は池のそばの柳の下に座り、広大な蓮池とその向こうの景色をながめていた。池の真ん中には緑の屋根の弁天堂があり、それと岸をつなぐようにして数本の道がのび、道のそちこちに桜が咲いていた。池の水面は落ちた花びらで淡く光っている。二人はうすぼんやり暗いあたりに座っていたので酒飲みの笑い声は遠く、出店の小太鼓の音がどこからかうっすらときこえていた。Romanticな雰囲気に博士は思わず頬をおさえてとなりの恋人を振り返る。
3475散歩がしたいと言い出した玉森に連れられ夜の上野に来ていた。不忍池の桜はほとんど散りかけだったが出店はちらほらと開いており、花見客もそこそこ歩いている。あるいは桜を口実に飲みたいだけの者もあるのだろう。
二人は池のそばの柳の下に座り、広大な蓮池とその向こうの景色をながめていた。池の真ん中には緑の屋根の弁天堂があり、それと岸をつなぐようにして数本の道がのび、道のそちこちに桜が咲いていた。池の水面は落ちた花びらで淡く光っている。二人はうすぼんやり暗いあたりに座っていたので酒飲みの笑い声は遠く、出店の小太鼓の音がどこからかうっすらときこえていた。Romanticな雰囲気に博士は思わず頬をおさえてとなりの恋人を振り返る。
水面🦔(焼き蜜柑)
DONEビフレスト三名がお花見に行く話🌸✨やっとこさ書き終わりました...!!!
ラスト桜の花言葉、『私を忘れないで』という意味もあるらしいですね...へぇ......となりあぁなったごめんなさい🙇♀️最後だけほんのりバルナザ? 4
きもいさん
MOURNING支部より再録。2017年4月。元気にモリモリ書いてたんやな、この頃…。お花見行って妄想して書いたら感謝祭(わたし仕事で行けなかった)で嵐ちゃんがみかちゃんとお花見とかいうネタがあったらしく、公式やん…!って壁に頭打ちつけたってキャプに書いてました。
元気やったんやな、自分…。
桜と宝石、キラキラしたもの/なるみか 人が多い場所は苦手だって事はよく知っているけれど、それでも一緒にどこかに出かけたくなる。しかも、できれば人が多い人気スポットとかに。
一緒にお出かけして、この可愛い子は。アタシと仲良しなんですって、皆に見せびらかしたいのかも知れない。
「お花見? ええよ~」
それは春うららかなある日。
午後の授業が突然の査察だかで急になくなったのを良いことに、どうせ断られるだろうと思いながらもためしに提案してみたら、存外軽く了承されてこっちが心配になる。
「……みかちゃん、ほんとに良いの……? お花見って事は、花見客がいっぱいなのよ? 昼間っからお酒飲んで良い気分の人達もいたりするのよ?」
「そらお花見やねんから花見客なんちゃう? 買い物客とかやないやん。ん~、人は多いやろけど……今日曇ってるからそない多くないかもやし、なるちゃんが行きたいんやったらええよ」
12515一緒にお出かけして、この可愛い子は。アタシと仲良しなんですって、皆に見せびらかしたいのかも知れない。
「お花見? ええよ~」
それは春うららかなある日。
午後の授業が突然の査察だかで急になくなったのを良いことに、どうせ断られるだろうと思いながらもためしに提案してみたら、存外軽く了承されてこっちが心配になる。
「……みかちゃん、ほんとに良いの……? お花見って事は、花見客がいっぱいなのよ? 昼間っからお酒飲んで良い気分の人達もいたりするのよ?」
「そらお花見やねんから花見客なんちゃう? 買い物客とかやないやん。ん~、人は多いやろけど……今日曇ってるからそない多くないかもやし、なるちゃんが行きたいんやったらええよ」
沙弥(さや)
DONE久々のワンドロ参加でうれしい(自由律)お題は『春』
桜を見ると殿を思い出すからしょうがない
私にとってお花見のイメージは上野か岡崎かという感じなので…
春に亡くなり春にお祭りがある方なので…
ガッと描けたのでよかった
#歴創版日本史ワンドロワンライ
つきたり
MOURNING突然の供給に狂ってしまったのでお花見デートするじんかざを書きました 少しでも目を離した隙に桜に攫われてしまいそうだ──などと、自分より頭一つ分背の高い年下の男をぼんやりと見上げながら考えていた。
「桜が満開だからお花見デートしよう」と呼び出されたはいいものの、特に何をするわけでもなく、ただただ桜並木の中を歩くだけ。
ムカつくことに待ち合わせ場所で逆ナンされていた迅に連れられるがまま訪れたその場所は、どうやら市民にはあまり知られていない穴場スポットらしい。平日の昼間ということも相俟ってか、人影はまばらだ。
顔見知りに出くわす未来も視えていないから──と恋人繋ぎで手を繋がれ、暖かくなったというのに死人のように冷たい迅の左手が、俺の体温によって少しずつ温度を取り戻していく。それがなんとはなしに嬉しいと感じてしまうのは、久々のデートに浮かれているからなのだろうか。
2713「桜が満開だからお花見デートしよう」と呼び出されたはいいものの、特に何をするわけでもなく、ただただ桜並木の中を歩くだけ。
ムカつくことに待ち合わせ場所で逆ナンされていた迅に連れられるがまま訪れたその場所は、どうやら市民にはあまり知られていない穴場スポットらしい。平日の昼間ということも相俟ってか、人影はまばらだ。
顔見知りに出くわす未来も視えていないから──と恋人繋ぎで手を繋がれ、暖かくなったというのに死人のように冷たい迅の左手が、俺の体温によって少しずつ温度を取り戻していく。それがなんとはなしに嬉しいと感じてしまうのは、久々のデートに浮かれているからなのだろうか。