桜の森の　頂上決戦で疲弊し満足に体を動かせぬクロムをよそに、青年は椅子に座りただじっと本に視線を注いでいる。クロムが一旦意識を取り戻して既に二日が経つ。寝台に横たわるだけの生活に飽き、クロムは何気なく青年に向けて口にした。
「お前はいつも本を読んでいるな」
　背を向ける青年が穏やかだが目は笑っていない微笑で振り返る。嫌な男だ、と、クロムは出会った当初から変わらぬ感想を胸に湧かせた。
　クロムの身辺を世話する男は暇さえあれば読書している。クロムの位置からは文字を判別できないが、縦にびっしりと書かれた文章は読了にそれなりの時間と気合を要するそれに思われた。青年は本好きを通り越して活字中毒とも言えるほど読書に時間を注いでいる。何がそれほど面白いのか、余暇をトレーニングに費やすクロムには青年の嗜好が理解出来なかった。

桜の下　桜の下には死体が埋まっているという。
　誰が言ったかは忘れたが、そういった話を聞いた記憶がある。おぞましい死体が在るからこそ、桜は美しく咲き乱れるのだ、と。
　人は残酷な一面を持っていて――というより、人間は結局ロクな生き物ではないのだろう――そういった後ろ暗い話に惹かれる面がある。だからこそ馬鹿馬鹿しい言い伝えが流布されるのだ。オレはくだらん、と思う一方、そんな話に興味を抱いてしまう。公園の桜の下に、あるいは河川敷の桜並木の根元に。桜の在る場所に。もしかしたら死体が埋まっているのかもしれない、と。
　オレはあいつの……黒須エクスのことを考える。頂上に立った途端行方をくらましたあいつは、今何処に居るのだろう。

"桜：セレクトだが先天性色覚異常によりすべての物がモノクロに見える。クロムからは色ついて見えるのに同じ視界持ってるだなんて言わないでと怒られエトセトラ他セレクトからは色を知らない変な奴として生焼けの肉とか食べさせられてた。またキレて人を殴ってしまった際に衝撃で一時的な色覚異常にさせてしまい（桜の特殊能力ではなくこの世界で脳や目の近くに強い衝撃が与えられるとたびたび色覚異常を起こす。桜と同様の方なのでセレクトだけ色が見えるとかはない）桜に近づくと色覚異常が移ると噂になってしまい余計人が離れていった。クロムからの必死の怒られがトラウマでクロムに対して苦手意識がある（クロムの共通した薄明るい目を見ると硬直する）風鈴に入って梅宮等にクロムの話とか聞いたりして段々人間不信を解消していく。実は十亀がハーフクロムなんだけど（さくとがだから）心を通じ合わせて十亀の世界がすべてカラーにならない限りそれを認識することはできない　心通じ合わせられたら十亀のキレイなグリーンの目だけ認識できるようになりませんかね…