はじめてのチュウ
kikhimepmop
DONE鬼水。はじめてのチュウ。鬼太郎二十歳のお誕生日です。この日のかわいいあなたは十歳くらいの頃から見た目の成長が格段に遅くなったし、身長は全く伸びなくなったのだが、水木さんはそれまでと変わらず誕生日を祝ってくれた。ばらばらに暮らすようになってからもその日は一緒に食事をして、誕生日を祝った。それから何がほしい?と聞く。
二十歳の誕生日には意を決していちばん欲しいものを伝えてみた。
「水木さんから大人のキスがほしいです」
あっけに取られた水木さんは無表情になり、卓の上の煙草を手に取った。一本吸い、二本吸う。吸っている煙草が短くなると、次の一本を箱から取り出し、煙草で机を軽く叩いてリズムを取った。考えごとをしている時の癖だ。トントントトン。
こんなに答えあぐねているってことはやっぱり駄目なんだろうか。好きだと伝えたことはあるけれど、当たり前に冗談だと思われた。そこで食い下がるような性格ではない自分が残念だったし、いまだに少し後悔している。果たして気持ちは伝わったんだろうか。
1939二十歳の誕生日には意を決していちばん欲しいものを伝えてみた。
「水木さんから大人のキスがほしいです」
あっけに取られた水木さんは無表情になり、卓の上の煙草を手に取った。一本吸い、二本吸う。吸っている煙草が短くなると、次の一本を箱から取り出し、煙草で机を軽く叩いてリズムを取った。考えごとをしている時の癖だ。トントントトン。
こんなに答えあぐねているってことはやっぱり駄目なんだろうか。好きだと伝えたことはあるけれど、当たり前に冗談だと思われた。そこで食い下がるような性格ではない自分が残念だったし、いまだに少し後悔している。果たして気持ちは伝わったんだろうか。
chiocioya18
DONE雨想。はじめてのちゅう。ピュア村くんと甘彦さんです。説明になってるかなこれ。
引用した歌は万葉集の石川郎女です。古典文学詳しくないのでググりました。雨想を書ける教養がほしい。
おとなになれない「北村。目を」
閉じちゃくれないか、と雨彦さんが言い終わる前に瞑ってしまった。期待していなかったと言えば嘘になる。
僕と雨彦さんはお付き合いをしている。告白して同意を得て、たまに見つめあったり、手を繋いだり。成立してから数ヶ月経つけれど至って折り目正しい交際。お互いアイドルなので世間の目には大変に気を遣う必要もあり、ろくにデートにも行けない。だから僕らの密会場所は専ら、僕の帰宅を送ってくれる雨彦さんの車の中だ。
今夜も例に漏れず雨彦さんに兄さんのマンションの近くまで送ってもらって、でもすぐに車を降りたくないななんて考えながらサイドブレーキに置かれた雨彦さんの手に自分の手を重ねてみたりして。そうしたらその手を雨彦さんにとられて、顔を上げたらびっくりするくらい優しい目をした雨彦さんに、そう、せがまれた。
1243閉じちゃくれないか、と雨彦さんが言い終わる前に瞑ってしまった。期待していなかったと言えば嘘になる。
僕と雨彦さんはお付き合いをしている。告白して同意を得て、たまに見つめあったり、手を繋いだり。成立してから数ヶ月経つけれど至って折り目正しい交際。お互いアイドルなので世間の目には大変に気を遣う必要もあり、ろくにデートにも行けない。だから僕らの密会場所は専ら、僕の帰宅を送ってくれる雨彦さんの車の中だ。
今夜も例に漏れず雨彦さんに兄さんのマンションの近くまで送ってもらって、でもすぐに車を降りたくないななんて考えながらサイドブレーキに置かれた雨彦さんの手に自分の手を重ねてみたりして。そうしたらその手を雨彦さんにとられて、顔を上げたらびっくりするくらい優しい目をした雨彦さんに、そう、せがまれた。
shinyaemew
DOODLEるいつか、はじめてのちゅう青空の下、二度目、三度目のキスをした この頃、類の機嫌が宜しくない時が多い。話しかければ柔らかい笑顔を向いてくれるが、それ以外の時は、眉間に皺を寄せて、深刻そうな顔で考え事に耽ることが多くなった。それは、まるで今の空模様のようで、類の顔は、そしてオレの胸の中は、曇りだった。
そんな類に、大丈夫かと尋ねたこともあるが、返ってくるのは予想通りの柔らかい笑顔と、「大丈夫だよ。気にしないで」という気遣いで固く包んだような答えのみ。そう答えた類は、また難しい顔で、何もない所を見るんだ。
教えてもらえないからって何も知れないオレではない。むしろ心当たりは大いにあるのだ。
そう、きっと、オレがことごとく類の「お誘い」を断ってきたのがいけないんだ。
2241そんな類に、大丈夫かと尋ねたこともあるが、返ってくるのは予想通りの柔らかい笑顔と、「大丈夫だよ。気にしないで」という気遣いで固く包んだような答えのみ。そう答えた類は、また難しい顔で、何もない所を見るんだ。
教えてもらえないからって何も知れないオレではない。むしろ心当たりは大いにあるのだ。
そう、きっと、オレがことごとく類の「お誘い」を断ってきたのがいけないんだ。