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    める

    2kurokma

    DOODLE診断メーカー(https://shindanmaker.com/531642)から『俺と一緒に生きてください』というお題をもらって書いたアレジョセ。本編から数年経って殿下がお酒飲めるようになった前提の話。
    「ふわふわするなぁ」
    「陛下……。ですから私の飲むペースに合わせる必要はないと申しましたのに」
    「ん〜?ふふふ……」
     昔の、島で暮らしていた時のような喋り方で、頭をこちらの肩に預けながら腕を絡ませころころと笑うアレインを横目に、倒して溢されでもしたら敵わんと、ジョセフは彼が手に持っているグラスをそっと取り上げて机に置いた。
     アレインが成人を迎えて以降、仕事が早めに片付いた夜はこうして二人で同じ長椅子に座り、他愛のない話でもしながら酒を嗜むのが習慣となっていた。しかし解放軍の最前線で敵をなぎ倒し勝利に導いた覇王も酒には滅法弱いらしく、弱めの物でも二、三杯で顔が茹ってしまう。そのため普段はちびちびと口につけるのだが、最近は互いに忙しく約ひと月振りの一献であったからか、ジョセフに合わせてやたらと景気よく飲んでいた。一応ジョセフもアレインに合わせ、普段よりもペースをかなり緩めて飲んでいたのだが、それでも彼にとっては相当のものだったらしい。火照った頬に何気なく触れてみれば、ぴくりと肩が跳ねた。
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    さくらの

    TRAINING新刊の感想マロいただけたのがあまりにも嬉しくてテンションぶち上がって生まれたSS。支部に収めるには短いかも?と思ったのでとりあえずこちらに格納。本当にありがとうございました感想もらえるってうれしすぎるな!!!!
    【こへ滝】恋は閃きのように「聞いてください七松先輩!」
     目の前で、整った形の唇が、ぐだぐだと中身のない話をこぼし続けている。
     珍しいことに最初は弱気な愚痴だったので、そうかお前でもそういう事があるかと頷き聞いていたのだが、いつの間にか立ち直ったようで、いまは先日の四年生内での得意武器勝負でいかに華麗に勝利を収めたかという話になっていた。
     兄弟が多いせいか煩いのには慣れているが、これをただ聞き続けるのも退屈である。
     ふと喋り続ける滝夜叉丸の右目の下、頬骨あたりの皮膚が、一筋白くなっているような気がした。なんとなく気になって、むに、とその頬を掴む。よくよく目を近づけてみれば、古い傷跡のようだ。おそらく戦輪の練習中にでもつけたのだろうが、せっかくこれだけ手触りの良い肌なのだから、長次のように大きな傷がつかねば良いがと思った。ついでに、その頬を両手で挟んでむにむにと揉む。
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    箱の裏

    PROGRESS時間軸は最終回くらいのオニキド 試しで序盤だけ載せてあります
    名前はヒーローネームのままにしてあります
    △注意! 二人の家族、職業など完全に捏造、オリジナルキャラクターも出てくる私による私のための妄想小説です
    そういうパロと思って読める方だけお読みください
    少年よ、「あんた、誰?」


     暫く仕事で忙しくして久方ぶりの逢瀬の最中、突然青ざめてベッドを飛び出していった恋人に、オニマーが言われた台詞である。
     キドウは裸のまま追い詰められた洗面所の隅で戦意よりも不安が勝った声でそう言い、次いで鏡に映った自分の顔を見て「えっ」と口に出した。まるでそこに見覚えが無い誰かが映ってでもいるかのように。

     結論、キドウは現在精神年齢だけが16歳に退行している――否、この場合は16歳以降の記憶が抜け落ちていると言うべきだろうか?なんにせよ、自分のヒーローネームも、エンデヴァー事務所のことも、共に暮らす恋人のことも一切覚えが無いということらしい。


     おふざけにしては度が過ぎているその態度に自らも面食らい、また困惑しながらもそこまでを聞き出したオニマーは、ペットボトルから茶を注ぎながら、ソファに座らせたキドウを肩越しに覗き見た。
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