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    りゃん

    1405Barca

    DONE一人前扱いされたいカイと弟離れできないビハンの話。弟を見ると煙草の火を消してしまう癖のあるビハンを書こうとしたらいつの間にか二人がキスしていた。ビハン×カイリャン要素あります。閲覧注意。
    それは愛ってやつだよ「御苦労。報告を聞こう。」

     樫の古木の下、じゅう、とほぼ新品の葉巻を足元に押しつけビハンは顔を上げる。兄のこの癖が、カイは嫌いだった。幼い頃は意味も分からずなし崩しに話しかけていたが、今や成人し正式に燐塊に所属する一暗殺者。髭を蓄え肉も育ったというのに、兄はこちらの姿が見えた途端煙草を消してしまう。未だ繰り返されるその所作に『お前は未だ半人前だ』と言われている気がしてカイは眉を寄せる。

    「頭領、以前も申し上げましたが煙はそのままで結構です。フロストやスモークの報告では吸われているでしょう。私も同様に接して頂きたく。」

     貴方様の許可さえあれば一本同伴しますよ、と続ければ怪訝な瞳で覗き込まれる。彼の水面の如き透明な碧眼にこの幼稚な羨望が映ってしまわぬように、目を細めた。目つきは悪くなっているだろうが、完全に自己防衛策だである。数秒の間じっと見つめ合い、結果己のやましさから先に目を逸らしたのはカイだった。
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    1405Barca

    DONEビハンの最後の手は何...?なんなの...?という世界七不思議と強火ジョタ兄さんのカイリャンラブコールが内混ぜになって産まれたやつです。最後の闘いのシーンで完全妄想しました。色々と注意。
    走馬灯に照らされて古い記憶の唐突な再生は、懐古による哀憐や葛藤を必要としないビ・ハンであれ起こる。彼の脳内で再生される過去は、決まって弟との出会いである。山深い集落の因習らしい、冬の平穏を祈る為の生贄だった彼の手を取ったあの日。集落の人間は燐塊の指示により殲滅し、残党を求め洞窟に足を踏み入れた。黴臭い祭壇に縛り上げられた、死に追い立てられ狂乱する村人に好き勝手打たれて血達磨の幼児に、同じエデニアの香りを見つけた。全く無意識に邪魔者を殺し尽くし、吸い寄せられるように少年に近づく。瞬く間に氷漬けにされた暴徒を見渡し、『かみさま?』と問う骨張った身体を抱え上げた時、あろう事かビ・ハンは危うく彼を振り落としかけた。彼に触れた手が、全く未知の感覚によって粟立ったのだ。訳もわからず抱えられた子供は暴れる事なくビハンの胸に収まった。そんな小さな身体からじわじわと染み渡り、己が拍動をこんかぎり沸き立たせるそれが何なのか。困惑し少しばかり佇んでしまった。
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