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    アンカー

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    DOODLEシェさんの初期アンカーの話。
    再殺-12 私は透き通るように白い細い首に手をかけた。大人の男の手であれば、ほっそりとしてか弱いそれは、いとも容易く折れることが想像できた。花を手折るように。こがねの、外はねの癖のある髪が手の甲を擽り、それがどうにも、耐え難く恐ろしくて、遂に私は手に力を入れてしまった。
     くしゃりと乾いた音がして、スイセンがこうべを垂れた。彼の白い肌に、浅黒い私の手が指が、泥の汚れのように絡んでいた。

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     今日も悪夢を見た。白昼夢だ。テーブルに、妻の置いた花瓶があって。私はそれを倒して、黄色いスイセンを握り潰していた。花瓶は白くて、人の体のようにくびれている。空恐ろしいかたちをしていた。小さくてか弱い少年のようだった。
     こぼれた水を拭いて、散らばった花々を花瓶に戻す。妻は子どもと共に買い物に出かけ、私は留守番をしていた。よかった。この花々は子どもが摘んできたもので、こんな有様にしたのを見せたくはなかった。握り潰したスイセン以外に被害がなかったのは幸いだ。萎れて首が折れてしまったと、子どもには言おう。命はいずれ終わるのだから、仕方がないのだ。そうだろう■■■。お前は私が殺したのだから。そうだろう? 答えてくれ。応えるな。声が聞こえない。
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