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    ガオン

    hamco1228

    DONEサガオンリーWebイベント「Parallel Gate」様での展示用作品。リブロフのハリエレ。むしろ、ハリ姫を応援したいエレンの話かも。
    諸王の都関係の話は過去にもいろいろなパターンで書いてますが、今回はこういう味付けになりました。ここ一年くらいほとんど文章書かない生活をしていたので、リハビリも兼ねて。
    2024/5/11~5/12「Parallel Gate」限定展示 * * *

    「ね、あたし悪い酔い方しなくなったでしょ」
     ――からん。
     エレンが左隣へ目くばせしたのと同時に、グラスの中で氷の転がる音が響いた。偶然にしては、まあまあ洒落ている。
     氷は貴重品だ。安定して提供できる飲食店は少ない。商都リブロフのメインストリートに連なる店の中でも、このバーは高級店の部類に入る。席は七、八割ほども埋まっているのに、溶けかけの氷がグラスの中で音を立てるのさえ、よく聞こえるほど静か。普段なら滅多に足を踏み入れることのないような場所ではある。こんな日くらいは特別にいいだろうと、左隣の男に許してもらって今夜はここにいるのだった。
     カウンター席に陣取ってから、かれこれ二時間くらいになるだろうか。そろそろ就寝時刻を気にしなければならない――何せ隣の男はこう見えて、生活リズムにはうるさいのだ、少なくともエレンに対しては。その証拠に、ほら。エレンよりも大きめのグラスを傾けつつ、にこりともしないでこちらへ横目を向けてくる。
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    kashi_futon

    DONE2022.05.21開催オズフィガオンリー「悠久のヘリオスフィア」にて展示している作品①です。心中するオズフィガがどうしても欲しくて書きました。テーマがテーマなので気を付けてください。死ネタを扱っています。パスはお品書きにあります!
    『ゆめみるために、おやすみ』 こんなに緩やかな終わりが待っているだなんて、きっと誰もが想像出来やしなかった。ひとりぼっちで石になると、誰にも知られないままどこかへの行ってしまうようにしか死ぬことが出来ないのだと。そう思っていた。
     例えば、誰にも看取って貰えないのだとすれば。北の魔法使いの矜持を持ったまま、誰かの前に這いつくばって石になる運命があったかもしれない。だって南の魔法使いを名乗っていて、南の国からの賢者の魔法使いとして選ばれていたとしても。結局フィガロの本質には北の気質が含まれざるを得ない。
     だからきっと所詮自分のいのちはただ孤独に石になるだけの運命だと思っていた。愛し、愛されることを夢に見た、でもそれは夢のままだった。フィガロの人生は黒鉛筆を斜めに握った子供が書き殴った線のようにぐちゃぐちゃになってしまっている。何千年と生きてきていて真っ直ぐな人生の線を持っている者の方が逆におかしいとも言えるのだ。気を狂わせてしまうのに十分で、何かを探し求めて生きるのにはあまりにも永きに渡る年月で。その間ならばきっと望むものは全て手に入るのではないかと思っていた、でも事実はそうではない。
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