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    ガスト

    晴れ🌞

    できた捏造しかない研修チーム2年目の春
    無自覚にマリオンを好ましく思っているガストと、一歩踏み出したいかもしれないマリオンと、ほんのり甘いイチゴタルトのおはなしです

    DMH3の展示で掲載していました!見てくださった方、いま見にきてくださった方、ほんとうにありがとうございます!!
    🍃🌹 甘い、甘い、小麦粉と砂糖と卵の匂い。
     ノースセクターの共同スペースが焼きたての空気で満たされている日は、マリオンの機嫌がいい日だ。
     昼までのパトロールの後、弟分たちとのランチと買い物で束の間の休息を楽しんだガストは、陽が落ちる前にタワーに戻った。マリオンから明日も早い時間のパトロールなんだからあまりハメを外さずに早めに帰れと釘を刺されていたし、配属から一年半ほど経って、早出のパトロールの前の晩にアルコールを入れるものではないということくらいガストももう分かっている。
     帰りに寄ったスーパーマーケットで買ったものを冷蔵庫に入れようとキッチンへ行くと、そこには真剣な面持ちで鍋をかき混ぜるマリオンの姿があった。マリオン・ブライスは真面目で几帳面なようで、意外と大雑把なところもある。シンクには半分に割れた卵の殻がいくつも転がっていて、なんとなくガストは微笑ましい気持ちになった。時折マリオンがポケットにものを入れたまま洋服をクリーニングに出してしまって、ジャックに注意されているのを見ることもある。隙のない見た目とは裏腹に、マリオンにはそんな抜けたところもあることを、共に生活する中でガストは知った。
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    4_haru100

    できたシャ白さんとの共同企画🍽
    5話目!

    ⚠︎ストレスに狂った七海がストレス発散のために五条に料理を食べさせる話です
    ⚠︎付き合ってないしロマンスの兆しはすごく微かです
    ⚠︎なんでも許せる方向け
    ■とびうお / クークー普通の先輩後輩みたいな、七海がそういう感じで思ってくれてたら良いな、なんて、つい先日思ったばかりのことが頭をよぎる。確かに思った、思ったけれど、じゃあ今この息苦しさはなんだろう。

    「え?五条さん?」
    いつも通り、七海の部屋に玄関からちゃんと来た。いつも通りじゃなかったのは、ドアを開けたのが家主じゃあなかったってところだ。
    「猪野くん、じゃあまた今度……」
    部屋の奥から言いかけた家主が、あと気が付いた様子で顔を上げた。入り口で立つ五条と、玄関を開ける猪野と、廊下から二人を見る七海。一同少し固まって、そうして一番最初に口を開いたのは自分だった。
    「帰った方がいい?」
    「は?」
    「えっなんでですか!」
    この部屋で誰かと出くわすことを考えていなくて、動揺する。頭が上手く回らない。いや、そうだよな別に誰かがいたって、帰ることないよなとようやく脳細胞が動き出した頃、猪野がドアを開けたままなことに気が付く。
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    4_haru100

    できたシャ白さんとの共同企画🍽
    1話目

    ⚠︎ストレスに狂った七海がストレス発散のために五条にトンデモ料理を食べさせる話です
    ⚠︎付き合ってないしロマンスの兆しはすごく微かです
    ⚠︎なんでも許せる方向け
    ■パトゥルジャン・サラタスしくじったかもしれない、と珍しくも五条は自分の行いを振り返る。部屋に響き渡るのは斬撃の音で、それはキッチンからして良い音とはどうしても思えない。ソファで寛いていてください、と有無を言わせぬ微笑みでキッチンから追い出されて早二十分。
    「ね、なにしてるの……?」
    「料理です」
    大人しく身を置いていたリビングのソファからキッチンを振り返って恐々尋ねるが、斬撃の音が大きくて微かにしか聞こえない。調理中の音とはどうしても思えないし、右手の動きが速すぎて、五条なら追えるが普通の人が見たらどうだろう。
    七海の部屋は、己の体格に合わせて天井や扉や、浴室まで大きいものを選んでいたが、キッチンも例外ではなかった。
    使用頻度には見合わない広々としたアイランドキッチンが、真面目に使用されているところを五条は見たことがない。先日侵入した時など、キッチンで立ったままハイボール片手に魚を焼いていた。あんまりだと思ったし、それはそのまま口に出ていた。盛大に煽った。
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