Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    コナ

    raixxx_3am

    DONEブックサンタ企画で書いたお話、恋愛未満。
    日和くんにとっての愛情や好意は相手に「都合のいい役割」をこなすことで得られる成果報酬のようなものとして捉えていたからこそ、貴澄くんが「当たり前のもの」として差し出してくれる好意に戸惑いながらも少しずつ心を開いていけるようになったんじゃないかと思っています。
    (2024.12.22)
     幼い頃からずっと、クリスマスの訪れを手放しで喜ぶことが出来ないままだった。
     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
    4803

    ポン子

    REHABILIしばらく言葉が出てこなくて何も書けなかったのですが、紗呼様の神作品を読んだら麗さんの独り言が振ってきました。
    こちらには出てきませんが、自由過ぎるむニャン様がかわいくて愛しいので、紗呼様のお話を読んでほしいです。
    麗さんの憂鬱 出会った頃から、その気配はずっと感じていた。口紅、ヘアピン、香水の残り香、白い肌に残されたこれ見よがしの痕跡などとは比べ物にならない「誰か」の濃厚な気配が、鬼舞辻無惨という男にはまとわりついていた。

     自分以上にこの男に見合う存在はいない。そう思えるだけの自信があったし、その自信には根拠があった。出会った自分たちは、当然のように恋に落ち、生涯を共にしたいとプロポーズされた。喜んで受けた。そうして自分たちは夫婦になった。
     自分は、鬼舞辻無惨の唯一無二の存在になった。

     結婚しても、無惨の周りには、花に群がる蝶のように、多くの女が群がった。男もいたかもしれない。いずれにしても、大勢の遊び相手が、彼の周りには常にいた。多くの者は彼のことしか目に入らず、時期が過ぎればいつのまにか彼の周りから消えていた。稀に、分不相応な夢を見た者が、自分に無惨と別れるよう言ってくることがあった。そんなときは、彼が暮らす家に招いて、ただ優雅なティータイムを共にすれば、数日のうちに自分からいなくなった。
    2862