12/19年始に向けて年末進行「起きてください、メフィスト様。起きてください!」
私はベッドから断固出ない構えの主を叩き起こしている。昨晩の貴族会が面倒だったらしく、起きたくないそうだ。
「やだ……まだ寝る……」
「せめてベリアール様から依頼に返事を書いてください! いえこの際私が書くので進捗を! 教えてください!!」
「……」
ダメだ。起きない。私はベリアール様からの依頼の手紙を確認する。まだ少し余裕が……あると……言えなくもない……。
怒られるのはメフィスト様だしな!! と、開き直って、ベッドの横に手紙と返事を書くための書式やペンを並べて置いておく。
メフィスト様が書斎にいないならいないで、今のうちに掃除をしてしまいたいのだ。なにしろ年末なので。
「メフィスト様起きてこないなら朝ごはんも置いておけばいっか!」
つまり昼ごはんの用意をしなくて良い。よっしゃ、掃除しよ。
素早く切り替えて掃除道具を抱えて書斎に向かう。いつもは出来ない箇所までがっつり掃除をしたら昼過ぎになっていた。
「メフィスト様?」
寝室に行くと、我が主はまだ寝ている。最近忙しかったからなあ。
「……おはよ」
「おはようございます。メフィスト様。昼過ぎですよ」
「……寝過ぎた。頭痛い」
「お水をどうぞ」
寝過ぎて声がかっすかすで、目つきが悪いメフィスト様めちゃくちゃかっこいい。好き過ぎる。うーん、今度からたまに遅起きしてもらおうかなあ!!
「今、ろくでもないこと考えたでしょ」
「……考えました」
「素直なのは結構だけどね。これは?」
テーブルに並べておいた書類に気付かれる。説明すると、あーとかうーとか言いながら返事を書いてくれた。
「では食事を済ませたら出してきますね」
「俺も行く」
「ダメです」
「えっ」
私はニコーっと笑ってメフィスト様の額に口付けてから肩に手を置いて顔を覗き込んだ。
「お仕事が山程ございます。年末に向けて片付けなくてはいけない案件が山!程!ございます。おわかりでしょう、メフィスト様?」
メフィスト様がテヘっみたいな顔をするけど、それを許す私ではない。素早く主の身支度を整え食堂へと向かう。共に昼を摂りつつ何がなんでも今日のうちに済ませないといけない仕事を読み上げる。
「もっと可愛く言って」
「このペースで仕事をすれば13月は丸っと休めます」
「……毎朝一緒に寝ていてくれる?」
「もちろん」
「じゃあ頑張りますか」
主の尻を叩いてやる気を出させるのが、最近上手くなってきた気がする。私も頑張ろうね。13月まであと僅かだ。