Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    シズ

    jooo_taros

    DONE高専五七が付き合って現在の五七になるまでの話。前回の話に至るまでの二人を書いていくつもりです。長くなりそうなので少しずつこちらに上げていきます。
    その日は夏油の任務に灰原が同行しており、体術訓練の授業は五条と二人きりだった。
    五条と二人きりになることは珍しいことではなかった。呪術高専に入学した直後から唯一の同級生である灰原は一つ上の先輩である夏油に懐き、上級生とペアを組んで訓練や任務に同行する際は自然と夏油・灰原、五条・七海のペアになることが決まっていた。ただでさえ特殊な学校故に人数が極端に少ない呪術高専である。二年生で紅一点の家入は前線には向かわないため、五条と二人きりになる機会は今まで何度もあった。しかし、この日の五条は様子がおかしかった。そわそわと落ち着かず、七海と目を合わせようとしない。普段なら小学生のような悪態をつきながら七海に絡んでくるのに休憩中もずっと無言だった。そのくせちらちらと七海の方へ視線を向けてくるのだから正直気味が悪い。いつも一緒に悪ふざけする夏油がいないので調子が出ないのだろうか。いや、今までだって夏油がいないことはあったが、変わらず七海にうざ絡みをしていたではないか。では、具合でも悪いのだろうか。しかし、手合わせをしていた際、いつもと変わらない様子で七海を投げ飛ばしていた五条の具合が実は悪かったなんて思いたくなかった。
    6326

    多々野

    INFOケビスウ『いつか夜の果てまで』本文サンプル
    前文明が終焉を迎えたあと、スウとケビンが新世界で過ごした時間の断片。

    崩壊シリーズWEBオンリー(10/21・22)にて頒布します。A5/本文50p/¥500/Booth通販予定

    表紙と段組サンプル→ https://poipiku.com/5821413/9389388.html

    -----
    ・捏造設定が大量にあります。
    ・恋愛・性愛描写なし。ただし身体の接触は多めにあります(首絞め未遂・額へのキス含む)。
    ・合間に挟まってる短歌のみツイッター再録です。
    -----
    古の楽園から第一部終章までの更新中、祈りと怨念を込めて少しずつ書いていたものを繋いで本にしました。
    彼らの、前文明終焉後の長い人生に、温かな時間が少しでもあったことを願っています。第一部完結おめでとう!
    いつか夜の果てまで 世界を見る。
     世界が興り、栄え、滅ぶさまを見る。人々が懸命に生きて、抗い、死ぬところを見る。
     一本の大樹の生い茂る葉の一つに、一つの世界が映っている。葉は無数にあった。世界も無数にあった。その樹から枯れ落ちない葉を探すことが観測者の仕事だ。
     しかし、何百年、何千年と観ている中で、枯れない葉は一つもなかった。葉は必ず枯れる。どれだけ青く美しい葉も、いずれは枯れ落ち、海中の泡となる。
     観測者は、枯れ落ちた葉が泡と消える前に拾い上げては掌中に包み、葉脈の一つ一つをつぶさに見つめた。終わりゆく世界の残響に耳を傾けた。
     そんなことをして何の意味があるのと、かつて、仲間の一人が笑ったことがある。彼女を満足させられるような『意味』はない。しかし観測者は、見ることが、見届けることこそが己の責務だと考えていた。そこにあった物語が溶けて消える前に、せめて自分の魂に刻もうとした。はらはらと落ちる葉の全てを惜しんだ。
    6309