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    ヅラ

    実山椒

    DONE剛一郎と命の日常話。
    なんとなく剛一郎→命

    ※命がやむを得なく自身のヘッドドレスのリボンを切ったということが感じ取れる記載があります。主に与えられた服は何があっても守り抜くだろう派がいらっしゃる場合はご理解の上ご一読下さい。
    ※諸事情により誤脱の確認ができていないため、非常に読みづらい可能性があります。
    辿るいつもの帰路。いつもの日常。
    級友が部活だ塾だとそれぞれの目的のため次の場所へと行くように、俺自身は世に何か困りごとや事件が起きてはいないかと、集中力を欠くことなく帰路を行く。この時間の見慣れた光景に異変があるとするならば、それが難解な事件の入り口になる可能性だって当然ある。なんせ、気が付けば異変に巻き込まれているなんてことのほうが、最近では日常になりつつあるのだから。
     ところどころひび割れたコンクリートや、最近開店したコンビニエンスストア、それからもう半年以上も貼られている「マロンを探しています」のポスター。ラミネートされていても色褪せきった写真には、記憶によれば栗毛の小型犬(おそらくはプードル)が赤色の首輪をし、舌を出していた。文字色はあせることなくそこに残り続け、はっきりと「女の子」「2才」「マロンと呼ぶと尻尾を振る」など書かれていた。よほど賢くなければ、何と呼んだところで犬は尻尾を振るものではないだろうかと思うのだが、これを作成した家族にとってはその行動が彼女を彼女づける一つの要素だったというわけだろう。
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    きゅう

    INFO10/27 COMIC CITY SPARK 19にて頒布予定の新刊サンプルです。
    《以下注意点》
    ・上下巻となっているので、上巻からの続きものです。下巻のみだと話の流れが分かりづらいかもしれません。
    ・ミスラとルチルがギスる描写があります。
    ・暴力を示唆する描写あり
    桃花と弾丸 下 手狭な部屋に響き渡る生活音。小さなちゃぶ台。大雑把な手料理の味。早朝の静寂。ノートに向かって走る筆。そして「ミスラさん」と名を呼ぶあなた達の声。
     食って、眠って、暴れて、そしてまた眠る。
     そんな空虚な日々に突如舞い込んできた彼らとの生活は、案外刺激的で、安らぎがあって、日を追うごとに身に馴染んでいった。まさかこの俺が、あの女……チレッタの息子とこうして一つ屋根の下で暮らすようになるとは夢にも思わなかった。

     そんな共同生活にも慣れてきたある日、いつものように窓から飛び降りると、俺の眼前に見慣れた色が映り込む。満開の花を背にかかるのは黄金色の傘。
    「……ドン・スノウ」
    「ほう。やはりミスラか」
     スノウは振り返らずとも、足音だけで俺がミスラだと言い当てる。背から漂うのは、計り知れない重圧と威厳。護衛と招集以外でこうして鉢合わせることなんて滅多にないのに、どうしてこのタイミングで……ばつが悪いな、と眉間に皺を寄せる。
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