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    ファウスト

    tono_bd

    DOODLEルチルが出演しているドラマの打ち上げに迎えに行ったフィガロだったけれど、酔い潰れていたファウストをお持ち帰りする話。
    クリスマスに書いた芸能パロと同じ設定(ルチミチが所属する芸能事務所社長のフィガロ×フィガロに憧れて俳優になったファウスト)で、付き合う前の話です。
    【芸能パロ】分からないこと ぐるんぐるん、と回るのは世界なのか自分なのか――。
     
     そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
     そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
     無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。
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    sigu_mhyk

    DONE1日1ネファネチャレンジ 85
    魔法舎 ネロ+ファウスト(まだ付き合ってない)
    発火装置晩酌の場所が中庭からネロの部屋に。
    テーブルに向き合って座ることから、ベッドに並んで座るように。
    回数を重ねるごとに距離は近付き、互いの体温も匂いもじわりと肌に届く距離を許してもなお、隣に座る友人の男は決心がつかないらしくなかなか手を出してこない。
    手を僅かに浮かせてこちらに伸ばすかと思えば、ぱたりと諦めたように再びシーツの海に戻る。じりじりと近付きながら、数センチ進んだところでぎゅうとシーツを握り締め、まるでそこにしがみつくように留まる。
    ベッドについた二人の手の間、中途半端に開いた拳ひとつ分の距離。ネロの気後れが滲むこの空間をチラリと視線だけで伺って、密かに息をついた。
    よく分からないが魚らしき生き物も、毒々しい色をした野菜らしき植物にも。鋭く研がれた刃物にも、熱く煮えた鍋にも、炎をあげるフライパンにすら恐れることなく涼しい顔で手を伸ばすネロは、そのくせファウストの手を同じように掴むことができないでいる。刃物よりずっとやわらかく、コンロに灯るとろ火よりも冷たいファウストの手は、ネロの手の感触を知らないで今日まできた。
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    tono_bd

    DOODLE・『未完のワインに思いを馳せて』後の話。未読の方は一部ネタバレが含まれます。
    ・ファウストの火傷の跡のある脚について触れます。

    ファウストがうっかりシャイロックの機嫌を損ねたため、葡萄踏み体験をしていた事をフィガロにバラされた事により、怒ったフィガロがファウストのズボンを脱がす話。(※付き合ってない)

    イベント期間中(9月)から書いていました……。
    フィガロがファウストの脚に触れる話 どうしてこんな事になったのか――。若干だが酔いが醒めて来た頭で考えるがまるで答えは出ない。
     ただ事実を述べるとすれば、ファウストは自室のベッドの上に座らされていて、目の前には床に膝をついて傅くフィガロがいる。そして恭しくも強引にファウストの裸の足を掴んで離してくれない。
     普段なら決して素足に触れさせる事も、床に膝をつく事もさせはしないのに、今この状況の主導権はファウストには無いに等しかった。
     優れた陶器を撫でるような手つきで膝から下を撫で下ろしたフィガロの顔を信じられない目で凝視していると、それに気が付いたフィガロは挑発的な上目遣いで見せつけてくる。そして少しだけ普段よりも熱を持った頬を臑に頬ずりをしてから肉厚の舌で自身の唇を舐めた。緊張で乾いてしまった唇を潤す仕草にも見えるが、捕食者の顔で獲物を前に舌舐めずりしているようにも映った。どちらが本当かなんてファウストに分かる筈も無く、ただ少しでもこの男から離れようと後ずさるが、実際どれくらい距離が取れたかなんてたった数センチくらいに違い無い。いや寧ろ……離れた数センチを咎めるようにその数倍は引き戻される。
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