ファウスト
🌕 🌊
PASTネロファウ晩酌アンソロ「MAKE A TOAST」に寄稿したもののWeb再録です。ネロとファウストが北の方に飛んで酒を飲む話。
テイスティングはお好みで テイスティングはお好みで
「ここが目的地だ、お疲れさん」
ネロに連れてこられた先にあったのは、紫色の大きな氷柱だった。
任務後、魔法舎に戻ったファウストを待っていたのは、今まさにどこかへ行こうと箒を取り出したネロの姿だった。
ネロにしては珍しく、労いの言葉もそこそこに切り出されたのは「疲れてるところ悪いんだけどさ、ちょっと付き合ってくんない?」という謎の誘いだった。
正直なところ、まあまあ疲労していたので、すぐにでも自室に引きこもってしまいたい気持ちが強い。
しかし、ネロの様子から察するに、おそらくギリギリまでファウストの帰りを待っていたのだろう。なかなか戻らないので外にいたことは、未だ春の気配が遠いこの寒空で赤くなった鼻が何より饒舌だ。
5404「ここが目的地だ、お疲れさん」
ネロに連れてこられた先にあったのは、紫色の大きな氷柱だった。
任務後、魔法舎に戻ったファウストを待っていたのは、今まさにどこかへ行こうと箒を取り出したネロの姿だった。
ネロにしては珍しく、労いの言葉もそこそこに切り出されたのは「疲れてるところ悪いんだけどさ、ちょっと付き合ってくんない?」という謎の誘いだった。
正直なところ、まあまあ疲労していたので、すぐにでも自室に引きこもってしまいたい気持ちが強い。
しかし、ネロの様子から察するに、おそらくギリギリまでファウストの帰りを待っていたのだろう。なかなか戻らないので外にいたことは、未だ春の気配が遠いこの寒空で赤くなった鼻が何より饒舌だ。
zero_crash1
SPOILER[8月、君を愛した日]KPC:ザベリクス・ファウスト KP:無月
PC:メレディス・フィスター PL:zero
シナリオ元
https://booth.pm/ja/items/3802288 30702
yunyunyuan
DONEレノファウ漫画3.5話 女体化してからの日々のドタバタを抜き出して番外編として描いています。たまに話を追加します。感想もらえるとパリパリ続きを描けます💕
https://www.mottohomete.net/yunyunyuan 25
yunyunyuan
DONEレノファウ漫画3話。ますます逆カプっぽいですがレノファウです。感想もらえると本当に嬉しいです!!
https://www.mottohomete.net/yunyunyuan 33
zero_crash1
SPOILERKPレス[508-高架下トンネル]作者:きりお様
PC/PL:ジョヴァンニ・ファウスト/zero
シナリオ元
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19216669 9200
ikura_hanken
DONE現代転生パロ、記憶のある養護教諭フィガロ(32)が湿っぽいアンジ○ッシュをしてる話です。ファウストの妹に関して捏造があります。
ファウストはほぼ不在。
※2部完結前に書き始めているので、解釈違いがあるかもしれません。今のフィガロならこうはならないかも。
やっと書き終わったので踊ります。🕺
63㎡に降るその子を初めて見た時、俺は諦念を抱いたような失望したようなそんな心地がした。
後ろでひとつに束ねられた髪の亜麻色も、何にも遮られず晒された瞳の紫も、凛とした佇まいも、壇上に立ちマイク越しでなくとも聞こえそうなほど朗々とした、しかし決して耳障りではない声で新入生に語りかけている様も。
似ているな、と思った。
だが、それだけだった。
もうあと2ヶ月で32歳になるただの保健室の先生。それが今の俺。
この32年は、ずっと前にあった2000年余りとは比べ物にならないくらい穏やかだった。
学生時代少しやんちゃした位の脇道はあったけれど、そんなの誰でも通るかもしれない程度のもので概ね真っ当だ。
しかし全くもって普通にとはいかず、2000年の残余は今世に引き継がれていた。
8238後ろでひとつに束ねられた髪の亜麻色も、何にも遮られず晒された瞳の紫も、凛とした佇まいも、壇上に立ちマイク越しでなくとも聞こえそうなほど朗々とした、しかし決して耳障りではない声で新入生に語りかけている様も。
似ているな、と思った。
だが、それだけだった。
もうあと2ヶ月で32歳になるただの保健室の先生。それが今の俺。
この32年は、ずっと前にあった2000年余りとは比べ物にならないくらい穏やかだった。
学生時代少しやんちゃした位の脇道はあったけれど、そんなの誰でも通るかもしれない程度のもので概ね真っ当だ。
しかし全くもって普通にとはいかず、2000年の残余は今世に引き継がれていた。
mitaka
DONE開門フェス2開催おめでとうございますー!!!弟子大好きなフィガロとまだ素直になれないファウストが歩み寄るきっかけのお話です。
フィガロがめんどくさかったり、弱気になったりしますが、悲しい話ではありません。
※嵐の谷の様子や師弟時代などなど、捏造満載です。
後日、年齢制限部分の続きとファウスト視点の短編を加えて、支部に掲載したいと思っています。
ブルーモーメントに染まる朝いつからこうしていたのか。
それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
19536それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
あいぐさ
DOODLE【開門2展示】『巻き毛ちゃん』でアイドルデビューしたファウストが、フィガロのダンスを見ながら自主練する話
お手本 スクロールバーを細やかに動かし、0.5倍速にして、もう一度。滴る汗をタオルで拭き、ボトルの隣にそっと置く。画面に映るのは、動き故少しだけブレた男だ。
その日、いくつかの歌番組を終え、『巻き毛ちゃん』としての練習は一通りの区切りを迎えていた。スノウとフィガロはドラマ、ヒースクリフはモデル。皆、個人活動も忙しい。ファウストも、今日はいつもの番組収録を終えたばかりだった。
「……もう少し、ピンと」
片面が全て鏡で覆われたダンスレッスンのための小部屋。ファウストの小さな声がやけに響く。彼が見ていたのは、曲の途中、全員で腕をまっすぐに伸ばす振りのところだ。
先ほどから、何度も練習をしている。しかし、その場所に行くまでの導線をどうも美しくない。
2129その日、いくつかの歌番組を終え、『巻き毛ちゃん』としての練習は一通りの区切りを迎えていた。スノウとフィガロはドラマ、ヒースクリフはモデル。皆、個人活動も忙しい。ファウストも、今日はいつもの番組収録を終えたばかりだった。
「……もう少し、ピンと」
片面が全て鏡で覆われたダンスレッスンのための小部屋。ファウストの小さな声がやけに響く。彼が見ていたのは、曲の途中、全員で腕をまっすぐに伸ばす振りのところだ。
先ほどから、何度も練習をしている。しかし、その場所に行くまでの導線をどうも美しくない。
ごみくずですわよ
PASTオズぬい写真log22/10/22〜23/2/18
半分ほどはTwitter既出です
一緒に写っているファウストぬいは友人宅の子です🌻
※現在ポイピク規約上「ぬいぐるみ主体の写真」はOKになっていますが、今後変更ありましたら取り下げます 42
ひすい
DONE3/4まほやく学会にて展示予定の小説内で、主人公(建国から70年、現在軸から凡そ300年前)が書き上げた研究書の序文部分です。オンリー中、時間が許す限り2ページ以後についても執筆したいと考えています……が、あまり期待しないでください。ジャンル:歴史学
キーワード:革命軍、建国史、初代国王アレク・グランヴェル、聖なる魔法使いファウスト
t0mic0x0shi
DONEマナ石とレノックスのはなし革命軍時代で、後半はファウスと火刑のあとがでてきます
マナ石とレノックス かつて仲間の姿をしていたその石を、レノックスは袋に入れて持ち歩いている。
皆口々に『死んだら食べてほしい』と願っていた。その気持ちもわかる。そう簡単に命を落とすつもりはないのだけれど、レノックスだってそう願うだろう。だが、マナ石を食べるということがうまく想像できなかった。想像できなくとも実践してみればよかったのだろうが、なんとなく、で口にしていいものとも思えず、かといってどこかにしまっておくこともしてくなくて、炭坑夫をしていた頃から身に馴染んでいる、質量と大きさを変える魔法を使って小さく、軽く、一見マナ石にも見えないような小石にしたそれを、腰に下げた革袋に溜め込んでいる。
だから、それを叶えてやれていないのは、自分が薄情だからだろうかと考えたこともあった。誰よりもそれを食べられることを望まれ、そして叶えてきたレノックスの主人であるファウストにそう、こぼしたこともある。
3146皆口々に『死んだら食べてほしい』と願っていた。その気持ちもわかる。そう簡単に命を落とすつもりはないのだけれど、レノックスだってそう願うだろう。だが、マナ石を食べるということがうまく想像できなかった。想像できなくとも実践してみればよかったのだろうが、なんとなく、で口にしていいものとも思えず、かといってどこかにしまっておくこともしてくなくて、炭坑夫をしていた頃から身に馴染んでいる、質量と大きさを変える魔法を使って小さく、軽く、一見マナ石にも見えないような小石にしたそれを、腰に下げた革袋に溜め込んでいる。
だから、それを叶えてやれていないのは、自分が薄情だからだろうかと考えたこともあった。誰よりもそれを食べられることを望まれ、そして叶えてきたレノックスの主人であるファウストにそう、こぼしたこともある。
t0mic0x0shi
DONE革命軍時代にマナ石を食べるファウストのはなしマナ石とファウスト 乗せたばかりの時には冷たさを感じさせていたそれは、指を閉じて握りしめていたこともあり、ぬるく温まっていた。
重さは、その大きさから想像するよりは少しばかり重たいのだと思う。初めて手にした際にはそう感じた。何度目かの今となっては、このくらいの重さということはわかっている。わかっていても、やはり、少し重い。
元のおおきな塊から砕けたはずのものであるのに、指で撫でるその表面はつるりとしてなめらかである。長く川底にあった石のように、指を、手を、そしてこれからそれを含む口の中を傷つける鋭さはない。
不思議な石。命のかけら。マナ石、と呼ばれる、かつて魔法使いであったもの。
かつて、といってもそれは昔のことではない、今日の戦いで命を落とし、石となったもの。戦いが始まる前まで、始まってからも、同じ目標を掲げ、肩を組み合った仲間であったもの。
2700重さは、その大きさから想像するよりは少しばかり重たいのだと思う。初めて手にした際にはそう感じた。何度目かの今となっては、このくらいの重さということはわかっている。わかっていても、やはり、少し重い。
元のおおきな塊から砕けたはずのものであるのに、指で撫でるその表面はつるりとしてなめらかである。長く川底にあった石のように、指を、手を、そしてこれからそれを含む口の中を傷つける鋭さはない。
不思議な石。命のかけら。マナ石、と呼ばれる、かつて魔法使いであったもの。
かつて、といってもそれは昔のことではない、今日の戦いで命を落とし、石となったもの。戦いが始まる前まで、始まってからも、同じ目標を掲げ、肩を組み合った仲間であったもの。
harumh3
DOODLEひか星5展示作品ですファウスト花霞カドストと賢者BDボイスのネタバレを
含みますのでご注意下さい
捏造しかないです
passはお品書きにあります
つきあっていない2人ですオチはないです 26
yutaxxmic
PROGRESS晶くんオンリー出品作です。前編・下書きなのでなんでもいい方のみ。『花束をきみに』ファウ晶♂
ある日突然世界から消えてしまった晶くんをファウストが探し、見つけるもどうやら様子がおかしくて……
※すでに付き合っている2人です。 27
zero_crash1
SPOILER[ゲームマスターKPC]作者:まる様
KPC:ザベリクス・ファウスト KP:無月
PC:朝火陽菜多 PC:メレディス・フィスター PL:zero
シナリオ元
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15724230 26350
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DONEネロファウ。媒介を使った結界の真面目な授業に見せかけてちゃんと合格をもらった上でファウストを部屋に連れ込みたいネロの話。前半は東の授業、後半はネファの特別補習。巣籠もり1「魔法は心に思い浮かぶ情景や感情により発現する。同じ結果を生じさせようとも、構築しやすい過程は各々違うものだ」
「シノの魔力がひとつひとつを辿っていくように?」
「ヒースの魔力がゆっくりと浸透していくように?」
「そう。経験が身になっているな」
軽く誉める形となった。シノは得意気に、ヒースクリフははにかんで、本当に素直な子供達だなと和みかけて授業中だとファウストは気を引きしめた。
ネロに魔力を込めさせた殻付きの胡桃を、両手で持てる箱の中に入れて、ぱたんと蓋をしめる。呪文を唱えて魔力で包み、地面に置いたその箱に攻撃するようシノに促す。本気でふるった大鎌は跳ね返され、その手応えにシノが目を輝かせた。
「脆そうな木箱なのに、物凄く強固だ」
7372「シノの魔力がひとつひとつを辿っていくように?」
「ヒースの魔力がゆっくりと浸透していくように?」
「そう。経験が身になっているな」
軽く誉める形となった。シノは得意気に、ヒースクリフははにかんで、本当に素直な子供達だなと和みかけて授業中だとファウストは気を引きしめた。
ネロに魔力を込めさせた殻付きの胡桃を、両手で持てる箱の中に入れて、ぱたんと蓋をしめる。呪文を唱えて魔力で包み、地面に置いたその箱に攻撃するようシノに促す。本気でふるった大鎌は跳ね返され、その手応えにシノが目を輝かせた。
「脆そうな木箱なのに、物凄く強固だ」
あいぐさ
TRAININGうっかりファウストとお揃いの服を買ってしまったフィガロの話/師弟時代/フィガファウ/ブロマンスだよーおそろい お揃いは嬉しいのう、きゃっきゃ!
そんな言葉が頭によぎり、手に取ったのは二着の洋服。
身長分装飾の数が変わったり、ブレザーやリボンが黒と白で色が違ったりするものの、デザインや形はほとんど同じである。
つまり、お揃いだ。
「はぁ……」
つい、出来心。そう誤魔化すには、あまりにも己の欲が見えている。
やってしまった、と思った。
ファウストを連れて、双子たちの暮らす家を訪れることになった。その時のための、着ていく服を見繕うつもりだった。
何せ、彼は普段はあまり見た目を気にしたいタチだ。動きやすい、脱ぎやすい、シワになりにくい。きっと、その辺りのことしか考えていない。
せっかくなら、ちゃんとした格好をさせてやりたい。
2018そんな言葉が頭によぎり、手に取ったのは二着の洋服。
身長分装飾の数が変わったり、ブレザーやリボンが黒と白で色が違ったりするものの、デザインや形はほとんど同じである。
つまり、お揃いだ。
「はぁ……」
つい、出来心。そう誤魔化すには、あまりにも己の欲が見えている。
やってしまった、と思った。
ファウストを連れて、双子たちの暮らす家を訪れることになった。その時のための、着ていく服を見繕うつもりだった。
何せ、彼は普段はあまり見た目を気にしたいタチだ。動きやすい、脱ぎやすい、シワになりにくい。きっと、その辺りのことしか考えていない。
せっかくなら、ちゃんとした格好をさせてやりたい。
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DOODLEルチルが出演しているドラマの打ち上げに迎えに行ったフィガロだったけれど、酔い潰れていたファウストをお持ち帰りする話。クリスマスに書いた芸能パロと同じ設定(ルチミチが所属する芸能事務所社長のフィガロ×フィガロに憧れて俳優になったファウスト)で、付き合う前の話です。
【芸能パロ】分からないこと ぐるんぐるん、と回るのは世界なのか自分なのか――。
そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。
5581そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。