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    ボレ

    k0510_o0720

    DONEレイチュリ🧂🦚
    ワンウィーク【こぼれ話】

    🧂が語る、取るに足らない話
     ひとつの大きな仕事が終わった。カンパニーに不利益を被らせた大罪人の処刑、という大きな仕事だ。今はもう死刑なんてボタンひとつでできるようになっていて、だからレイシオがやったことといえばそれを押すことだけなのだけれど。でも、やっぱり精神的にきているのかもしれない。だって大罪人とはいえ、死刑囚とはいえ、元奴隷とはいえ。ずっと一緒に仕事をしてきた人だったから。
    「にゃう?」
    「……すまない、朝食の時間だな」
    「にー!」
     みっつの生命体に急かされて、持ったままだったそれを皿に移してやる。食事をするようになったのは彼の影響らしい。彼らの面倒を見ていた彼、その処刑された死刑囚の彼は、なんとも美味しそうに食事をしていたのだとか。最初は得体の知れない棒状の何かを口に突っ込んだり、パックの口から何かを吸い上げたりするだけのところしか見たことがなかったのに。でもそんな彼がいつからか大切そうに抱えられるくらいの包みを持って帰ってくるようになって、それを楽しそうに開いて、その中のものを口元を綻ばせながら食べて。だからどうしても気になってしまったのだと。ビーコンで翻訳された彼らの言葉は、如実にそれを伝えてくれた。
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    サアユ

    DONE2024.11/23ハロウィンパロディ(仁玖(じんくお)/十六夜さん,他)

    【!注意事項!】
    ・完全捏造、独自設定です。
    ・拙宅の世界・キャラ設定は、https://x.com/yu_meer_i/status/1845813819572105306?t=XCTXP37-iLxxAYHTypKp-g&s=19
     をご覧ください。
    ・物語が暗く重く始まります。ご注意下さい。

    ☆下記文章 → 漫画 (下部の"すべて表示"ボタンより)





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    「母さん…」
    冷たくなっていく母の、優しかった手を固く握りしめ玖苑はすすり泣いていた。
    日々弱っていく母に何もできなかった後悔ばかりが心を強く締め付け、涙がこぼれるのを止められそうにない。

    部屋が静寂に包まれて、どのくらい経ったかわからない。
    突然、この部屋の唯一の出入り口、金属の格子の入った重々しい木の扉が乱暴に開かれた。
    「玖苑、それを渡せ。…遺体とはいえ魔女はどんな悪さをするかわらん」
    「っ!…母さんは悪いことなんかしない!」
    母を守るように立ち上がった怒りに震える玖苑に臆することなく、無遠慮に部屋に入ってきた高位の神官服の男はギラギラした目で親子を睨み据える。
    「とっくに火あぶりになっているはずの貴様ら親子をかくまってやったのに、つくづく忌々しい」
    「ボクたちを利用してきたのは貴方たちだ!もう教会の、貴方の言うことは聞かない!」
    「馬鹿め」
    「そこまでだ」
    腰に手を伸ばそうとしていた男は動きを止める。
    その背後にはいつの間に部屋に入ったのか、神官というよりは軍人のようにいかつい面持ちの男が立っていた。
    右手に持った拳銃を室内に向けて。
    「玖苑、教会にたてついたお前は破門だ。早く出ていけ」
    「…!」
    「何を勝手なことを。貴様私に銃口を向けてただで済むと思っているのか」
    「これは失礼。方向を誤ったようだ。…それよりも、お前は早く出ていけ」
    そう言って、小さな袋を玖苑に投げてよこした。
    じゃらと金属の音のする皮製の小さな袋が、玖苑の手の中に納まる。
    「これ…」
    「出て行けと言っている。早く!」
    「…」
    玖苑は深く頭を下げると、素早く母の体を抱え、窓を割って外に飛び出した。
    そしてどこからともなく取り出した木の箒に腰を乗せると、教会の鐘の屋根よりも高く空中に浮き上がった。
    割った窓からは言い争う怒鳴り声が聞こえる。
    次いで、銃声も。
    「!!」
    玖苑は息をのんだ。片腕に抱えた、冷たい母の体を強く抱きしめる。
    後ろ髪をひかれる思いで、それでも、
    自分を逃がしてくれた笹鬼神父の無事を祈りながら、
    冴えわたる月に向かって、玖苑は高く飛んだ。
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