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    リーガ

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    MAIKINGリーガン公の葬儀後てんでばらばらに過ごしていた時期〜アリルの話なのでCP要素は薄いですが続きではあるのでタグはそのまま付けてあります。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    13.A-(side:L) 冬のオグマ山脈の寒さは皆の身体を痛めつけたが修道士の資格を持つマリアンヌとメルセデスの活躍により誰も手足の指を失うことなく帰郷することが出来た。魔道学院に続き士官学校も最後まで通うことが叶わなかったローレンツは暖炉の火に照らされながらグロスタール家が各地方に放っている密偵からの報告書を読んでいる。どうやらファーガスで政変が起きたらしい。ディミトリが亡くなった、逃亡した、と情報がかなり錯綜している。共に冬山を踏破したファーガス出身の者たちのことを思うとローレンツは心が痛んだ。皆ディミトリ王に仕える日を楽しみにしていたのだ。

     ローレンツの掌に円形の魔法陣が浮かぶ。暖炉で燃やせば燃えさしが残る可能性がある。読み終わった報告書を暖炉ではなく掌の上で完全に灰になるまで燃やした。紙は貴重だが仕方ない。近々また円卓会議が開かれる。その際にグロスタール家が本当はどこまで事態を把握しているのか気取られてはならない。ローレンツは幼い子供の頃から物覚えを父から試されながら育っていた。すれ違った者の服装やちらりと見せられた紙に書いてある文章などをよく見て覚えておく遊びだと思っていたが自然と訓練されていたらしい。そんなこともあり灰となった報告書の中身はローレンツの脳内に残っている。ある密偵は従者が命懸けでディミトリを逃したと報告したが他の密偵はディミトリは処断されたと報告した。
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    すすき

    DOODLE魔法舎ブラカイ。
    最近めちゃくちゃ多忙なカインのことを賢者とブラッドリーが話してるだけ。

    「何かちょっとやばい気がするから、ブラッドリーちゃんあとよろしく!」
    「オズちゃんも気にしてたから早めにね!」
    どうぞ、と紙を差し出され、ブラッドリーは眉間に皺を寄せた。その表情に、あれと賢者が首を傾げる。
    「ブラッドリーが頼んだって聞いたんですけど…」
    「んなもん頼んでねえよ」
    ここ最近ブラッドリーが頼んだものと言えばフライドチキンぐらいなものである。それに賢者に何か頼むのならこんな回りくどいことはしない。必要ないと言い換えてもいい。
    つまり、賢者に嘘を吹き込んでこの紙を用意させた者がいる。
    「誰に言われた?」
    問いかければ、賢者も何かを察したのか途端に視線が泳ぎだす。その顔を見れば自ずと答えはわかる。案の定小さく呟かれた双子の名に、ため息を吐いた。
    「いいように遊ばれてんじゃねえぞ」
    「うう、すみません…」
    項垂れて小さくなった賢者の手から、紙を抜き取る。懲りずに双子に遊ばれた賢者に呆れはするが、それはそれとして何が書かれているかが気になった。あの二人がわざわざブラッドリーの名前を出してまで頼んだというのも引っかかる。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第3話
    後にクロウリーが学園長となるカラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第三話です。
    今回は王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の結婚式のシーンです。
    本文約1450文字+カラス豆知識約740文字のおまけ付き。今回の豆知識はカラスがお互いを確認する方法「コンタクトコール」についてです(資料リンクあり)。
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部三話「結婚式」 五月のよく晴れた朝、王城は晴ればれとした雰囲気に包まれていた。
     城のすべての尖塔に美しい三角旗がはためき、城門は春の花々を編み込んだ花綱で飾り立てられて開放されている。城門からは次々と来客が流れ込み、城はかつてない賑わいに沸き立っていた。
     今日は、この国の王が新たな王妃をめとる、その結婚の式典が催されるのだ。城の庭園は民草にも開放され、たくさんのご馳走と飲み物が振る舞われる。
     麗々しい式典のクライマックスは、正午の結婚の誓いだ。国の最も高位の聖職者がやってきて王と新たな王妃の誓いに立ち会い、この結婚に祝福を与えることになっている。
     その場には、もちろんディアヴァルも訪れていた。なにせ不吉とされてしまうカラスの身、あまりおおっぴらに姿を表すことはしなかったけれど、物陰から人々を観察し、ちらりとでもグリムヒルデの姿が見えないかと期待していたのだ。
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    Daisy_mhyk

    DONE盗賊団時代のブラネロ
    …になる前の、二人が出会ったばかりの頃のお話。

    ブラッドリーがネロを拾うに至るまでと、
    ネロが人生で一番感激した時のお話です。
    絡んだ糸の、その先は 魔法使いの一生は長い。
     そう頭では理解していたものの、ああ、こういう事なのか、と納得出来たのは五十年ほど生きた頃だったか。

     北の厳しい大地では、人間は生きる事すら難しい。
     俺が生まれ育った、親父の庇護下にあった村の人間たちは、四十年も生きれば御の字という程儚い存在だった。
     子供はまず育たない。十人のうち、成人出来るのは片手にも満たない。それでも貴重な働き手であるから、どの家も大概子沢山だった。
     人間たちとは別の理由で、といっても家族の中で魔法使いなのは俺と親父だけだったが、俺は大家族の末子として生まれた。悪党一味の頭であり魔法使いの親父が、同じく魔法使いの息子を望んで大量に子種を撒いたのだ。
     ハズレを引いた兄弟達に囲まれ、アタリを引いた俺は明らかな別待遇と英才教育を受けた。けれど、手足となるべく育てられた兄弟達にとってそれは当たり前の事であり、妬むよりむしろ、俺に取り入ってでも生き延びようという腹積もりの奴が多かったように思う。
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