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    リーグ

    金も時間もない

    DOODLEグリレ
    リーグ戦から3年後、シロガネ山に出るという幽霊の噂を聞いたグリーンの話。
    幽霊下山「お邪魔しまーす」
    事務室の扉が開いて、黒に稲妻が走ったような柄のキャップを被った少年が部屋に入ってきた。足音は段々と近づいてくる。
    「今忙しいんだよ、帰んな」
    書類に目を落としたまま、少年に向かって手をシッシッとジェスチャーで返す。カントー地方にある8つのジムの中で一番難易度の高いトキワジムは、たどり着く人間が限られるため普段挑戦者は滅多に来ない。だが、今日は久しぶりに来客が多かった。お陰でこなさなければならない書類が山ほどある。
    「えー!酷いですよグリーン先輩」
    リーグチャンピオンであり、少し前にトキワジムを訪れオレを破ってジムバッチを手に入れた凄腕のポケモントレーナーであるこの少年、ヒビキはオレの後輩のような存在だった。コイツはチャンピオンになってからも度々トキワジムに顔を出す。お守り小判持ってジムから金をかっさらってったり、オレを煽るだけ煽って帰って行ったり……大変騒がしい少年である。普段の優しい優しいオレ様ならこんなガキにだって付き合ってやるが、今日はそんな暇もない。シルバーに引き取ってもらってお帰り頂こう。救援の電話をしようか、と受話器に手を伸ばそうとした。
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    phnoch

    PROGRESS野球留学生たなかくんと、元プロ選手のタケチ監督と、新兵衛は俺が育てたと思っている地元リトルリーグ監督俺の幻覚です!!!!!https://x.com/phnoch/status/1835224802514399563
    夏を待っていましたこのサイレンの音を聞くと、夏が来たという感じがする。蝉の声でも花火の音でもない。野球人にとっての夏は、甲子園に始まり甲子園に終わる。テレビに群がる子供らのうち何人かは、数年以内にあの土を踏むのかもしれない。このサイレンの音を、全身の肌で聞くのかもしれない。
    「田中先輩どけおっと? 先発じゃなかと?」
    「こんた相手チームやっど。先輩は高知じゃ」
    練習を早々に切り上げたのは、もちろん甲子園中継に合わせてだ。集会所を借り切り、希望者はそこで見られるようにした。二日目、第二試合。この春に我がチームを巣立ったばかりの超大型選手、田中新兵衛が出場するはずだからだ。
    超大型、というのは比喩的な意味だけでなく、とにかく体が大きかった。小学生の頃から見てきたが、著しい成長期があったわけではなく最初からずっと同学年の子に比べひとまわりデカい体、強い力を持っていた。あまりに差がありすぎるので、物心ついた頃から遊びのドッヂボールでは利き手を封じられていたらしい。大きい子、特に急激に背が伸びた子は体のバランスを見失いやすいものだが、新兵衛は体幹が恐ろしく強く、ボディコントロールもしっかりしていた。
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