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    ロマン

    zeppei27

    DONEハサアオの続きだよ!アオキに振り回される世話焼きハッサクが、チリちゃんとオモダカの入れ知恵を手に日常を逸脱してゆく話。

    前話 #2
    >https://poipiku.com/271957/8178676.html

    人格者だと見なされている人の歪みや破綻、人間性の露呈が好きなので、ハッサク先生に色々なロマンを感じています。もっと生臭い部分も見てみたい……!
    正しさの証明 #3 一日の時間の流れが、まるで降る星のように早い。朝を見かけたかと思えば、来たばかりだと言うのにもう夜が闇を流し込んで世界を真っ黒に塗りつぶしてしまう。星を数えるにつれて瞼は重くなり、そして朝日が頬を照らすだろう。一日に何が起こっているかは大体同じ、繰り返し、繰り返し。大人になるにつれてこの繰り返しの部分はどんどんと増えてゆき、たとえ新しい出来事に出くわそうとも物珍しさは束の間の出来事だ。何物も、こちらを大きく変化させることはない。世界は緩慢に動いている。

     ハッサクにとって、子供は千変万化の可能性を秘めた希望だった。彼らこそは長い一日を過ごし、朝から夜まで変化し続ける生き物である。全身で世界を受け止め、見知らぬものを素直に浴びるのだ。繰り返しからは程遠く、身も心も瞬く間に変化してゆく。感電すれば心の底から燃え上がるような繊細さは、かつてのハッサクの姿そのものでもあった。最初こそ窮屈に狭められていたものの、自ら現状を打破して羽化できたのは未熟さが助けた部分も大きかったように思う。青い果実は日の光を良く吸収し、気づけば大樹へと姿を変えていた。
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    michiru_wr110

    PASTanzr
    初出2022.8.28.
    イベストバレ有(遊園地の怪人+ハイサマーロマンス)
    どうかしている。君も俺も(夏メイ) 夏井流星はけたたましい音を立てながらスマホを伏せた。
     液晶ディスプレイに表示された画像の正体に気づいたからである。

    (…………何なの)

     いつもより比較的静けさ漂う特対内。スマホを叩きつけた勢いで右手が僅かに痺れたまま、夏井は自席のデスクに勢いよく突っ伏す。一連の動作に、休日出勤中の他数名の課員たちは遠巻きに夏井の様子を伺うばかりだ。

     瞼の裏に過ぎるのは、後輩である秋元からFINEに送信された1枚の画像。青い空と透き通るほど眩しい海を背景に寛ぐ七篠メイの写真である。
     海の家らしいチープなつくりのテーブルの上には鮮やかな色味のスムージーが入ったグラスがいくつも乗っており、七篠はそのうちのひとつを口にしながら僅かに目を見開いていた。秋元は「個人的な用件」で春野と行動を共にしていたはずだったが、何がどうしてこうなったのか現時点では予想もつかない。それに、不意打ちの如く無防備な姿を撮られている七篠も七篠だ。身にまとう眩しい色味のチューブトップは七篠の肌の白さを殊更に強調している。しかもわき腹の辺りにはうっすらと不自然な翳りがあり、見方によっては影のようにも古傷や火傷の跡のようにも受け取れる。羽織るものを何も身につけていない点も相まって、夏井の平常心はすっかり隅に追いやられてしまっている最中だった。
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