七海
blackberryO7I5
DONEキスの日の五七七海サイド 目覚めたときから、喉の調子がよくなかった。
喉の奥に張りつくような痛みは、起き抜けの喉の渇きとは異質なもので。わずかにではあるが声を出しづらい感覚に七海は眉を顰めた。風邪でもひいたのだろうか。季節の変わり目、1日のうちでの寒暖差が大きい時季だ。幸い、明日は久しぶりの休み。今日は仕事をさっさと終らせてしっかり休もうと決めて七海は、ベッドから重い身体を起こした。
◆
きょうの仕事は、午前に1件、午後に2件。
2件めは七海を慕う術師、猪野と同行だ。軽く昼食を済ませてから行こうと待ち合わせた喫茶店で席に着くなり、開口一番に彼が言った。
「あれ? 七海サン、調子悪い?」
猪野へメニューを差しだそうとしていた手を止めて七海は軽く眼を瞠る。自分では平常通り振舞っていたつもりだが、それほどわかりやすかっただろうか。たしかに朝よりも喉の痛みと身体の怠さはやや強くなってはいたけれど。
「いえ。……すこし喉の調子は悪いですが、問題ありませんよ」
否定しようとしたが、声嗄れは誤魔化せなさそうだと判断して七海は、事実の一部だけを端的に告げる。その言葉にしかし猪野は 3947
blackberryO7I5
DONE五条の匂いをかいで「五条さん、良い匂い……」って言いながら、しゅきしゅきぺろぺろしちゃう七海の五七を書こうと思っていたのに気がついたらまったく別の話になっていました……どうしてなの教えておじいさん とさ、と不意に肩にかかった重みに五条は首を巡らせた。
「七海?」
問いかけに返ってきたのは規則的な呼吸音。
七海のやわらかな髪が五条の首筋をくすぐる。ふだんと違い起き抜けに軽く櫛を通しただけの髪が閉じた目蓋にかかる七海は、どこかあどけなさを感じさせた。
ほぼ一方的に話していた五条に時おり相槌を返していた七海だが、どうやら眠ってしまったらしかった。七海はいつも五条の話を適当に受け流しているようできちんと聴いてくれる。こうして途中で意識を落とすのはだから、滅多にないことだ。
……まあ、きょうは仕方ない。
七海の体力を削ったのは五条自身なのだから。
つい数時間前の七海の姿を思いだして五条の口許が緩む。ふたり揃ってとれた休みに浮かれて先に羽目を外してしまったのは五条だが、七海も乗り気で。いつになく盛り上がったベッドのなかの七海はとにかく官能的であった。
全身から色香を立ちのぼらせる恋人に五条は煽りに煽られ、欲望の赴くままにその肌を堪能した。──結果、いまは服の下に隠れている七海の身体は、当面だれかの前に晒すことができない有様だ。
連勤明けのほぼ夜を徹した情交は、 5810
しんした
DOODLE七灰(吸血鬼パロ)人間七海×吸血鬼灰原くん
己の魂に刻まれていた吸血鬼パロ欲が疼いたので手癖で書きたいとこだけ書きました。雰囲気で読んでいただければと思います。
一応出会いからざっくりと考えてるので、また気が向いたら書いてるかも(この一個前の投稿にざっくり吸血鬼パロツイートまとめてます)
ちなみにこの小話の七海は十代後半くらい。 4
しんした
MEMO吸血鬼パロ七灰。ずっと若いままの灰原くん(吸血鬼)の側で寄り添い続ける七海(少年期〜壮年期)が見たいという願望。明治〜大正くらいの日本。
灰原くんが居るお屋敷は日本家屋。
灰原くんの外見は15〜6くらいで原作通り綺麗よりも可愛い系なので血をもらうために声をかける相手は女性よりも男性の方が多い。
七海は12〜3くらいで、父の故郷である日本に移り住んできた。
外見のことで周りから距離を置かれていて、家族以外とはほとんど交流がない。
*
ちょっとした好奇心で入った古いお屋敷の中で出会った黒髪のお兄ちゃんと仲良くなった少年七海。
彼とはお屋敷の中でしか会えなくて、それに何年たっても初めて会った時と顔が変わらないことに疑問を抱いていく。
ある日、暗い夜道で彼を見かけた七海は声をかけようと後を追うが、入り組んだ道の先で見たものは、知らない男の首筋に噛み付いている彼の姿だった。
恐ろしい光景のはずが、今まで見たことのない雰囲気の彼が頭から離れなくなった七海は、後日屋敷を訪れ彼に尋ねた。
「きみは吸血鬼なのか?」
「……七海にはバレたくなかったなぁ」
──ごめんね。
困ったように小さく笑った彼を見た七海は、咄嗟に彼を抱きしめてしまう。
「迷惑じゃないなら今まで通りここに来させてくれ。いや、側に居させてくれ 803
yu_2710_
DONE五七版GW企画テーマ『寝坊助』
寝ぼけて思わずな七海と凄いものを朝から見せられた五条の話。
https://twitter.com/yu_2710_/status/1388067989291888645?s=19
(これをちゃんと書いたやつ)昔、高専内を我が物顔で歩く一匹の黒猫が居た。みんなそれを『ルドルフ』と呼んで、それなりに可愛がっていた気がする。最初、なんでルドルフなのかわからず、しかも黒猫って不吉なんでしょと親友に問うと、そういう絵本があってきっとそこから取ったんだろうと教えてもらった。呪術を学ぶ学校で洋名とは。何ともしゃれた名前を付けられたもんだなと思ったが、見かけたときには名を呼んでやった。きっと、傑と硝子、あと夜蛾セン以外は大変奇妙なものを見る目で自分を見ていたんだろうなと、そう思う。
そのうち、初めての後輩が出来て、そいつらにも猫のことを教えてやった。同じような黒い髪の後輩は、その人懐っこさを人以外にも発揮してルドルフとずいぶん仲良くなったようだが、もう一人の金髪の後輩は猫自体が苦手なのかあまり近寄ることもしなかった。
「何、猫怖いとか?」
「は?違いますけど」
「いやお前さ、俺に一回喧嘩売らないとおしゃべりできねぇの?」
「喧嘩腰で人を馬鹿にすることが当たり前みたいな人間と普通に話をしているだけでも褒められるべきでは?」
あと、猫は怖くありません。……苦手なだけです。
小さく続いた声に、それ同じじゃね?と 2147