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    back_side_moon

    TRAINING桜樹の化身の守沢と、高校生鬼龍です
    とむさんとかほさんの桜紅千に触発されて、設定一部お借りしました🙏
    守沢が嬉しいと花びらが出現して花まみれになるので桜の傘を差しかける鬼龍…という理解をしました
    「鬼龍が傍にきてくれると嬉しくて花びらをよけいに降らせる(物理的にある以上に)守沢」しか書けてません(しかも人外)が、イメージがなければ書くこともなかったので…
    素敵なツイートありがとうございました🌸





    .はらはらと薄紅色の花弁が舞い落ちる。
     その広場はいつもひと気がない印象だった。奥に、ひときわ存在感を放つ桜の古木があるほかは、風雨にさらされて文字も判別しづらい歌碑のようなものが置かれているだけだ。樹からほどよく離れた位置に、石の腰掛けが二基。
     紅郎は自宅に近いこの場所によく足踏みする。
     日課のランニングの終わりにここのベンチで息をととのえたり、空手の型をさらったりするのだ。幼い頃から好きで続けているが、体格にもめぐまれた紅郎に向いていたのだろう。もうすぐ昇段試験というときなど、時間を忘れて鍛錬することもある。
     そんなときは、気づけば日の落ちた空を半分覆うように枝を伸ばした桜が、静かな風に葉を揺らしている。いちどに視界におさめきれないほどの樹勢をみやれば、高みから自分を見守る視線がそこにあるような気がしてくる。幼い紅郎はそう感じることを特に不思議にも思わず、かえって親しみをおぼえていた。

     冬がおわりに近づくにつれ、桜の樹は春への憧れを秘めてはりつめた気配を漂わせる。息をひそめて指折りかぞえてその日を待ち、花びらのまじないで閉じ込める。過ぎ去る刻を、人を 1099

    case669

    MEMO傍に居ろと素直に言え
    エスアイ
    「お前、結婚したい相手とか居ないのか?」
    今まさに欲を吐きだしたばかりの、息も整わぬままに向かい合った姿勢で問われてさすがのエスティニアンも閉口した。人の事をとやかく言えるような身でも無いが、もう少しタイミングを考えられなかったのかと思う。
    「……何だ、藪から棒に」
    だがそれを責めた所で伝わらないのは重々身に染みている。というよりも、わかっていてやっている相手に何を言った所で無駄だ。
    「いやなに、我々も良い歳だから、好いた相手がいるならばそろそろ身を固めるのもどうかと思ったのだよ」
    「本音は?」
    驚いた、と言わんばかりに目の前でアイメリクの目が見開かれ、それから眉尻を下げて笑う。一応そうして恥じらって見せるのは素なのかそれとも礼儀だとでも思ってるのか判断に迷う所だ。
    「お前を皇都に留めるにはどうしたら良いかと思ってな」
    「なんだ、寂しいのか」
    「寂しいというよりも心許ないというのが正しいな」
    「熱狂的な信者ともいえる部下やら四大名家の元当主やら、最近では平民の信仰まで集めておいて?」
    「だって彼らは私を殺せないだろう」
    またわけのわからないことを言い始めた、というのがエスティニアンの素 1157