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    北村

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    DONE雨想

    過去の自分を乗り越えて愛の受け止め方を識る北村の話です。

    ※元カノ、ストーカー(男)の話出てきます
    ※兄村がいる
    正しい愛の受け止め方「北村。俺と一緒に住まないか」

     真剣な眼差しで僕を見据えた雨彦さんの手の中には、ポストに投函されても滅多に目を通すことの無い不動産のチラシが数枚。いくつかに蛍光ペンで印がつけられている当たり、何度か目を通しているのだろう。
     動揺した僕は、上手く返事を返すことが出来なくて。とりあえず印のつけられた用紙を受け取って、また改めて考えさせて欲しいと伝えた以降の記憶がだいぶあやふやだ。その数枚の紙を握りしめたまま、いつの間にか僕は自分の家の扉の前に立っていた。


     ……まさか、雨彦さん側からこんなことを切り出されるとはねー。渡された数枚のチラシを見て、ふう、とため息をつく。
     確かに僕達はただのビジネスライクな関係を築くアイドルグループのメンバー同士では無くなっていた。お互いを好きあっていたくせに理由をつけ合って告白せずに居たところを見ていられないと二人してクリスさんに諭され、らしくもなく膝を突合せてお付き合いをする流れに発展したのだが。それでも僕達は二人とも四六時中一緒に居たいと考える様な性格では無かったし、たまの仕事帰りやオフの日に主に雨彦さんの家で二人きりで時間を共に出来るだけで心地が良いと思っていた。
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    MOURNING年末の大掃除を頼みたいと声をかけられた雨彦さんが北村の家にいったらおうちが片付いてて、何を掃除すればいいんだい?って聞いたら僕の雨彦さんへの気持ちだよーって返される年末の雨想がかきたかったんだ………………

    続きは雨彦さんがお掃除してくれたのでありません!
    「雨彦さん。お金は払うから、僕の大掃除手伝ってくれませんかー?」

     雨彦が同じユニットの最年少からそう頼まれたのが、つい半刻ほど前のこと。別に金は取らないからと、個人の仕事終わりが終わると社用のミニバンで想楽の家まで向かっていた。想楽が兄と住んでいるというその家には仕事の説明や契約についてご家族と話すというプロデューサーに同行した際に雨彦も一度だけ行ったことがあったが、仕事と関係ない場で来るのは初めてだった。
     例年この時期は色々な掃除を目的とした仕事が建て込んでいたが、アイドルになってからは年の瀬に時間を工面する事もままならない状況だ。見かねた雨彦の叔母がこっちの事は気にしなくていいと活動に専念させてくれたものの、師走は忙しいとは上手く言ったものだ。年末から正月にかけて一気に放送される番組の収録などが立て込みオフの日は以前よりも少なかった。それに加えて想楽はまだ学生だ。この時期は課題に加えて試験などもあったのだろう。移動中のバスや車の中でノートと睨めっこをしている姿はここ二週間程で雨彦やクリスの中の日常風景と化していた。
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