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    DONEリリーベルが魔法舎に呼ばれる話。
    1部終了直後。
    燻想 中央の国で賢者とその魔法使いの叙任式を終えてすぐのことだった。気紛れで部屋から出たところ、南の魔法使い達の会話が聞こえてきた。
    「賢者様に確認を取ってからだけど、リリーを魔法舎に呼ぼうと思ってるんだ」
    「リリーさんをですか?」
    「この間の戦い、完全には無事にすまなかっただろう?誰か俺の他にも治癒に長けた魔法使いにいてもらった方がいいんじゃないかと思ってね」
    「リリーの治癒の力は折り紙つきですからね」
    「うん、今まで出会った魔法使いの中でも一番なんじゃないかな」
    「そういうことならリリーさんがいれば百人力ですね!」
     フィガロが親しそうに呼ぶ名前。聞き覚えのある愛称。まさかと思う。あの男がそんな風に優しく名を呼び、治癒の魔法が得意な魔法使いなんて一人しか心当たりがない。それはかつて共に戦場に立った魔女だった。とびきり優しく、とんでもなくお人好しな娘だった。彼女は周囲に重責を負わされ、その重圧に耐えきれず勝利を目前に仲間の前から姿を消した。その後の消息は知らない。ただ無事であってほしいと願っていた。その後自分達も人間達に命の危機に曝されたから余計に。
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