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    実験

    おうり

    MOURNING◆ゲン/千。素直ではないゲンと千空が付き合うまでの話。
    ◇出てくる知識は個人が調べた知識で書かれたものです。作中の実験などはお試しになられても責任は取れません。
    愛の言葉が足りない 適当に細かく刻んだ鹿の脂を鍋で煮溶かす。獣臭さが漂うがここストーンワールドでの生活に慣れた今では全く気にはならない。鍋の中で良く溶けたら次は薄い海綿で濾して、不純物を除く。
    いつもならこのあたりで誰かが近寄って声をかけてくるのだが、今日は誰も声をかけてこない。もしかすると、いやこちらの方が恐らく正解だろうが、声をかけると千空の科学実験に巻き込まれてハードな助手を任されることを懸念しているのだ。
    千空にとっては難しくない科学知識と楽しい作業が他の人間にとってはそうでないらしい。
     邪魔されないのはありがたくはあるが、一人じゃ作れる量に限りがあり増産は出来ない。
     海綿に吸われ量が減った分の油を搾って多少回収する。減るのは想定内だが減り過ぎるのは困る。便利な近代文明の道具のように理想を実現した実験道具、例えばこの場合金属の濾し器などはここストーンワールドにはない。あるものの中で使えるものを利用してのトライアンドエラーだ。
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