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    師走

    jbhw_p

    DONE師走の仕事納めをして、二人で迎える朝の話。
    冬の朝 師走の忙しさを身をもって経験したジュンと茨は、カウントダウンイベント後すぐに用意していたホテルへと向かった。日和と凪砂はその脚で巴家へ向かった。ライブに出演していたアイドルたちもそれぞれのいるべきところへ帰っていき、こうしてやっと各々の正月を迎えることができた。
     茨もジュンも一年の仕事納めのあとはいつも疲労困憊といった感じで、ホテルに着いてからなんとかお互いを鼓舞しあいシャワーを浴びて、言葉を交わす余裕もなく眠りについた。おやすみと言ったかどうかすらも曖昧な年明け。新しい年を迎えた実感もないまま朝を迎えるのが二人の定石だった。
     しかし、ルーティンとは恐ろしいもので、眠る前の疲労感とは裏腹にジュンはいつも通りの時間に目が覚めてしまった。ゆっくりと首を捻り、時計の時刻を確認する。ベッドに備え付けられたデジタル時計は6時18分を示していた。アラームは消していたので多少の誤差はあるものの、ジュンがいつも目を覚ます時間と近い。反対側には布団に包まって眠る茨の姿。死んだように眠るを体現したように静かでジュンは一瞬どきりとする。しかし、毛布の下の身体が上下して呼吸をしていることを示していれば、ほっと胸を撫でおろした。
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    ehara5

    DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その5)
    師走です。
    021_大雪(12月7日頃) 暦の上でも本格的な冬が到来していた。今週に入ってから、平均気温が十度を割るようになった。ハロウィンの終了後、世間は速やかにクリスマスの準備を整えつつあったが、いよいよ聖夜間近という空気が漂い始めていた。
     風見はコンビニで購入したホットコーヒーのカップを片手に、駅前広場の中央に飾られたツリーを眺めていた。そこそこの大きさで、しかし、これでもかと電飾が施されている。待ち合わせにはちょうど良い目印だ。風見がここにいるのは、イルミネーションを見る約束がある訳ではなく、上司に物品を渡すためだ。
     先日、薄手のカーディガンが欲しいと降谷から連絡が入った。何かの暗号ではないかと一瞬考えを巡らせたが、折り返してみると彼の持っている服では、涼しいか暑すぎるかになってしまうとのことだった。確かに冬に備えて、厚手のセーターやら裏起毛のトレーナーやらを購入した覚えがあったが、体温調節に適した物を買っていなかった。というのは、冬物の備品を渡した際、彼はちょうど薄手のカーディガンを着ていたからだ。降谷のことなので、何らかの理由で汚すなり破くなりしたのだろう。
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