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    憂鬱

    おとなし

    DONE「シンドバッド少年の憂鬱」の後日談、子ジャちゃん視点の話です。あと一話の予定でしたが分かれてしまいました。読んでくださっている方がおられましたらごめんなさい。
    この話単体では健全ですが後編は年齢制限が入ります。

    ※倫理的に問題のある描写を含んでいますが該当行為を推奨するものではありません。
    ジャーファル少年の憂鬱 前編 二日ほど寝込んだあいだに、雪はすっかり溶けていた。寒々しくきれいな冬の朝は、呼吸をするだけで病み上がりの肺を洗うようだ。分厚い窓ガラスの結露を手のひらで拭うと、なめらかな藍色に沈んだ寒々しい街並みを、昇りくる朝日がまばゆい白に塗り替えてゆくのが見えた。屋根の上を走る朝焼けが議事堂の尖塔を照らし、そこから落ちた影がまっすぐに商館へ伸びて来ている。次いで商館沿いの大通りを見下ろすと、ボロを着た新聞配達の子どもが尖塔の影をくぐり息を切らせて駆けていくのが視界に入る。遠目から見てもあっちのほうが上背があるけど、たぶん同い年くらい。この時間、あの子はいつも山盛りの新聞を両脇に抱えて南へ走ってゆく。普段通りの光景。私が寝込んでいた間も、街の時間は日々同じように流れていたに違いない。
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    pagupagu14

    DONE菊池忠の憂鬱
    愛忠前提の高校三年忠と中学一年愛之介(五歳差想定)の忠の憂鬱な学校生活の話。
    忠がモブ女に告白されたり、既に愛之介の犬である自覚あったりします
    菊池忠の憂鬱
     学校は退屈極まりなかった。
    愛之介様がこの場所にはいない。それだけでひどく空虚でぽっかりとした気になる理由を私は知っていた。勉強をしているときは、愛之介様のことを考えて勉学に励むときは、知識をつけるときは楽しい。けれど以前は一介の使用人の息子である私がずっと愛之介様側にいる方法なんて見つけられず勉学にも身が入らなかったのだが以前、愛一郎様が私に『もし愛之介の傍にいたいと願うのならば歩みを止めないことだ』とおっしゃってくれた。
    それは、それは――もしかしたら、と淡い期待を寄せてしまうには十分の言葉で今では私のとって学校というのは愛之介様がいない空虚な場所には変わりないが、愛之介様の側にいるための学び舎という風に認識が変えられていた。
     放課後、とてもとても今日は面倒なことがあった。それを無視すればいいはずなのにそうして起こるであろう弊害と天秤に乗せた結果私は、その一方的に結ばせられた約束の場へと向かう。そこには一人の女子生徒が立っていた。恥ずかしそうに顔を俯かせながら。
    (誰…だっただろうか)
    恐らく同学年なのだろう。
    けれどずっと愛之介様のことを考えて学校生活を過ごして 1477

    甘味。/konpeito

    TRAINING本日の800文字チャレンジ
    クロ←リン/六月の憂鬱/Ⅰの頃の話
    改稿
    「リィンくんいつもありがとうね」
    「そんな、俺は手伝いをしているだけなので」
     もはや恒例となった生徒会の手伝いを終えたリィンはその報告をしに生徒会室を訪れていた。生徒会長であるトワへの報告を済ませ、彼女から礼を受け取りその場を辞した。
     朝から少し、身体が重い。指を引っかけネクタイを緩めた。
     六月に入ってから初めての中間試験、実技試験に加え、ノルド高原での特別実習。これくらいで疲れてしまうほど柔ではないつもりだったが、身体の疲れを意識した途端に頭痛までしてきた。早く寮へ戻って寝てしまおうと歩く速度を上げた。
    「よっ、後輩くん。またトワのお手伝いか」
     学生会館からトリスタにある第三学生寮へ帰る途中だった。
    話しかけてきたクロウは寮へ帰るリィンに並んで歩きはじめる。彼の寮もトリスタにあるのだから、途中まで同じ帰り道になるかとひとり納得した。
    「クロウ先輩。ええ、そうですね」
    「ふうん? 後輩くん、バンザイ」
    「え、あっはい」
     言われるまま両手をうえに挙げる。リィンの腹から背中に回った手に驚いている間に彼の肩へ担ぎ上げられていた。
    「う、わっ」
     視界が回る。目の前にある緑の背中へ手 803