指輪
なりひさ
DOODLEガンマト。ガンガさんのこと大好きマトがこっそりお揃いの指輪にしようと企む手「ちょっと手ぇ貸してくれ」
部屋の片付けをしていたマトリフに呼ばれて、ガンガディアは物置き部屋へと向かった。そこはマトリフの魔法道具などが無秩序に放り込まれており、足の踏み場もない。
「マトリフ?」
マトリフは魔法道具に埋もれているように見えた。手招きされたので魔法道具をかき分けながら進む。
「手ぇ出してくれ」
言われてガンガディアは手のひらを上に向けて差し出す。するとマトリフはその手にいくつかの魔法道具を乗せていった。発掘した道具を運び出したかったのだろう。
「もう片方の手もくれ」
「そんなに大荷物なのかね」
空いてる手を差し出すと、その手に乗ったのはマトリフだった。
「よし、いいぜ」
ガンガディアは左手に魔法道具を、右手にはマトリフを乗せて立ち上がる。どちらも大して重くなく、ガンガディアは部屋を出てからマトリフを下ろした。
1853部屋の片付けをしていたマトリフに呼ばれて、ガンガディアは物置き部屋へと向かった。そこはマトリフの魔法道具などが無秩序に放り込まれており、足の踏み場もない。
「マトリフ?」
マトリフは魔法道具に埋もれているように見えた。手招きされたので魔法道具をかき分けながら進む。
「手ぇ出してくれ」
言われてガンガディアは手のひらを上に向けて差し出す。するとマトリフはその手にいくつかの魔法道具を乗せていった。発掘した道具を運び出したかったのだろう。
「もう片方の手もくれ」
「そんなに大荷物なのかね」
空いてる手を差し出すと、その手に乗ったのはマトリフだった。
「よし、いいぜ」
ガンガディアは左手に魔法道具を、右手にはマトリフを乗せて立ち上がる。どちらも大して重くなく、ガンガディアは部屋を出てからマトリフを下ろした。
なりひさ
DOODLEガンマトと指輪2君から貰ったひとつの指輪「本当に貰っていいのだろうか」
ガンガディアは感激のあまり打ち震えながら手にした指輪を見た。
「ああ、貰っとけ貰っとけ」
マトリフはやや投げやりに言いながらベッドに寝そべっている。昼前になってようやく起きたマトリフに、ガンガディアは指輪のことについて訊ねた。するとマトリフは寝癖のついた頭を掻きながら「お前にやる」とだけ言った。
「私に? 何故?」
「理由なんていいんだよ。それはただの指輪だ。呪いもなければ効果もない」
マトリフは随分と寝たのに、まだ眠たそうに欠伸をしている。ガンガディアは礼を言って指輪を受け取った。思えばそれはマトリフから貰った初めての物だった。
マトリフはまだ起きる気がないらしく、頬杖をついてガンガディアを見ている。そしてガンガディアの持つ指輪を指差した。
2976ガンガディアは感激のあまり打ち震えながら手にした指輪を見た。
「ああ、貰っとけ貰っとけ」
マトリフはやや投げやりに言いながらベッドに寝そべっている。昼前になってようやく起きたマトリフに、ガンガディアは指輪のことについて訊ねた。するとマトリフは寝癖のついた頭を掻きながら「お前にやる」とだけ言った。
「私に? 何故?」
「理由なんていいんだよ。それはただの指輪だ。呪いもなければ効果もない」
マトリフは随分と寝たのに、まだ眠たそうに欠伸をしている。ガンガディアは礼を言って指輪を受け取った。思えばそれはマトリフから貰った初めての物だった。
マトリフはまだ起きる気がないらしく、頬杖をついてガンガディアを見ている。そしてガンガディアの持つ指輪を指差した。
なりひさ
DOODLEガンマトと指輪君に渡すひとつの指輪「師匠〜!」
元気のいい声が外から響いて、ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じた。
「いらっしゃいポップ君」
「おじゃましまーすって、あれ、師匠は?」
ポップは洞窟内を見渡してマトリフがいないことに気づいた。ガンガディアは立ち上がるとポップに椅子をすすめる。
「大魔道士は出かけている。だがすぐに帰ってくるだろう。かけたまえ。お茶を淹れる」
「そっかー。あ、これお土産」
ポップは椅子に腰掛けると手土産を机に並べた。それらは焼き菓子で、アバン特製のものだろう。それに合う茶葉があったはずだとガンガディアは棚の中を探した。
「師匠どこ行ってんの?」
「ベンガーナだ。探し物だと言っていたが」
「じゃあ帰ってくんの遅いんじゃねえの?」
8335元気のいい声が外から響いて、ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じた。
「いらっしゃいポップ君」
「おじゃましまーすって、あれ、師匠は?」
ポップは洞窟内を見渡してマトリフがいないことに気づいた。ガンガディアは立ち上がるとポップに椅子をすすめる。
「大魔道士は出かけている。だがすぐに帰ってくるだろう。かけたまえ。お茶を淹れる」
「そっかー。あ、これお土産」
ポップは椅子に腰掛けると手土産を机に並べた。それらは焼き菓子で、アバン特製のものだろう。それに合う茶葉があったはずだとガンガディアは棚の中を探した。
「師匠どこ行ってんの?」
「ベンガーナだ。探し物だと言っていたが」
「じゃあ帰ってくんの遅いんじゃねえの?」
Ehrenfried_st
SPOILER※海も枯れるまで未履修現行❌履修者はokでどうぞ
こっちはネタバレありの封入物です。ポストカードはバレではないんだろうけど念には念をと一応こっちに入れた。
丁寧だよ〜〜何もかもが……シナリオの思い出をこんなに入れてくれてありがとう…………
後々指輪単品配布してくれるらしいのでオイスターカッパーターコイズを狙ってます、余裕があればラリマーも……
ぼたもち
DOODLE突然指輪を貰って大混乱するジェミと、使えるものはなんでも使うルクの話※いろんな人が出てくるけど関係性捏造
※モブ多数出る
※ルクが結構ヤバい人になってる
交際を前提に結婚してください!ダイアモンド、というモノを知っているだろうか。
え?当たり前だろって?
いや分かってるよそんなことは……一応だろうが一応。
ダイアモンド。
炭素から構成される鉱物で、地球上で一番固いとも言われている。
ほとんどは宝石に加工され、アクセサリーなどに使われることが多い。
その輝きはいつの時代も男女問わず魅了し、時には呪いがかかっているだとか世界を征服するだとかいう、曰くつきのものまで存在するのだ。
そんなたくさんの人間を虜にするダイアモンドだが、このオレ様にはあまり縁がない。
そもそも宝石の類には正直興味があまりないし、派手で着飾ることを好んでいた母親はいろいろ集めていた気もするが、オレにとってはただの石とそう大差ない。
12450え?当たり前だろって?
いや分かってるよそんなことは……一応だろうが一応。
ダイアモンド。
炭素から構成される鉱物で、地球上で一番固いとも言われている。
ほとんどは宝石に加工され、アクセサリーなどに使われることが多い。
その輝きはいつの時代も男女問わず魅了し、時には呪いがかかっているだとか世界を征服するだとかいう、曰くつきのものまで存在するのだ。
そんなたくさんの人間を虜にするダイアモンドだが、このオレ様にはあまり縁がない。
そもそも宝石の類には正直興味があまりないし、派手で着飾ることを好んでいた母親はいろいろ集めていた気もするが、オレにとってはただの石とそう大差ない。
momona_plm
DONEマリちゃんのおうちのカプロゴ作らせていただきました!お二人の記念のおっきな指輪と、💙💛に八馬さんのサンドイッチ!で仕上げました〜!お二人が柄っぽいイメージよりシンプルすっきり✨な印象だったので飾り少なめにしつつお二人らしい綺麗な色味になってよかった!作らせていただいてありがとうございます!SakuraK_0414
MOURNINGアンソロ没原稿その2です。パンの袋留めてる針金を指輪代わりにするのかわいくていいかもしれん、とか思って書いた。サンディエゴに行きたい!
薬指に予約「徹郎さん、は……また家出?」
妙に静かな家をぐるりと一巡して、起き抜けの和久井譲介は仕方ないなぁと肩をすくめた。最近ちょっと朝倉先生に似てきたよね、というこの間の通話での一也と宮坂の言葉を思い出しながら譲介は身支度をする。Tシャツに首を突っ込みつつ、棚の上の食パンの袋を手に取る。どうやら最後の一枚らしい。袋の口をとめていた針金をひとまずジーンズのポケットに突っ込み、食パンはトースターにセット。熱したフライパンに卵と落としてベーコンを添える。コーヒーを注いだマグカップを持って家の表に出た。
夏を目前に控えた眩しい朝の光にきつく目を伏せ、瞬きを繰り返して譲介はガレージに向かう。一人暮らしには広すぎるけれどファミリー向けでもないこの家のサイズには似合わない大きなガレージには、これまた大きくて黒い車がデデンと鎮座していた。
9547妙に静かな家をぐるりと一巡して、起き抜けの和久井譲介は仕方ないなぁと肩をすくめた。最近ちょっと朝倉先生に似てきたよね、というこの間の通話での一也と宮坂の言葉を思い出しながら譲介は身支度をする。Tシャツに首を突っ込みつつ、棚の上の食パンの袋を手に取る。どうやら最後の一枚らしい。袋の口をとめていた針金をひとまずジーンズのポケットに突っ込み、食パンはトースターにセット。熱したフライパンに卵と落としてベーコンを添える。コーヒーを注いだマグカップを持って家の表に出た。
夏を目前に控えた眩しい朝の光にきつく目を伏せ、瞬きを繰り返して譲介はガレージに向かう。一人暮らしには広すぎるけれどファミリー向けでもないこの家のサイズには似合わない大きなガレージには、これまた大きくて黒い車がデデンと鎮座していた。
sari
DOODLE🌹❄️「025:銀の指輪」💍このお題ってすっごく描きづらい…❄️はファッションで指輪なんてつけなさそうだし🌹がプロポーズで贈るとしたらプラチナになると思うんだよね……ということで
↓自サイトに移しました
https://seven-souls.fool.jp/fanfic/96025.html 1825
kira_tenma
DOODLEフルーツポット様主催のムルクくんのリアルイベントに参加したレポ(即席)文字読ませる気無いくらい汚いのと、記憶曖昧だったり飛んだりしているので、
こんな感じ…くらいで描いてます。
私は1部だけの参加でしたー。
たーーーーーのしかった…。
指輪の「輪」とか誤字ってるけど許せ。 5
Karen_Sn0w
DOODLE【えふえふ小話】うちの子。ヨヒラ→(←?)マークの続きの小話③。
狼の巣ハウスから自宅に運ばれたようです。
お互いの名入りの指輪って良いですね✨
所々に出てくるおかっぱロン毛のオスラはヨヒラの悪友でリテイナーでした。 3
osyokujidokoro
DONE往来が指輪を選んだり、結婚式をする話です!はなやしきさんのクリスマスのお話と、結婚式のお話の流れをお借りしています!
誓いの言葉は、はなやしきさんの漫画からお借りしました。 27
うしろぎいぬいぬ
MEMO【アキデン♀】のこと(おっぱいもあるよ!カラーにしたよ!塗りたかったんですね。)を縦長でメモしました。※漢字間違い(見越す&防止策)
※スターター・指輪描き忘れ
詰めが甘いので今からまじでやらないとやばいと思います……
直しました😭 https://backdog-w.blogspot.com/2023/08/blog-post.html
話がなげえなオタクはよ 完
wal
SPOILER26ソワレのクライマックスシーンが凄く距離近くて耳元でブレス入った時とてもびっくりしたんだけど、これまでの二人を想うと凄く自然な距離感なのかもって思えて一番好きな機微のあるやり取りだったなと思う。おでこくっつけても驚かないな…と自然に思った。なりふり構わないあまり指輪が落ちて聖遺物化したところ、少ししか見れなくて心残り。🐟️( ’-’ 🌭)
DOODLEサンダル焼けで足先が縞々になってしまいました。このままじゃしまママになっちゃう!
>リアクション
ありがとうございます!馬~!
足先は縞々だし指輪と腕時計としまいにはVネックみたいな日焼けもできてしまいました。おじさんか?
pandatunamogu
DONERんちゃんとの別れでモラルがぶっ壊れた新ちくんは人のものを欲しがるイケない子。過去1度フッた降が久しぶりに再会すると左手薬指に指輪が。その瞬間、ターゲットとしてロックオンする新と、更に上を行く降の話。つみのみつ-第1話-つみ の みつ
欲しいものを手に入れるのに
手段なんか、選ばない
動機がなんであれ
誰のものであれ
ここまで落とせば
ここまで沈めれば
ほぅら、ね
これでもう
おれのもの
俺の嗜好が邪悪に狂ったのは、まず間違いなく蘭との別れからだ。
どれだけ純粋に相手を想っていたとしても、突如として別れはやってくる。
どれだけ誠意を持って接しても、決して切れない絆だと思っていても、運命の相手だと確信していたとしても。別れなんてものは無情にも突然やってくる。そうして根こそぎ奪って無に還していく。
それならばいっそ────。
純粋で一途で誠実な優等生を辞めちまえばいい。
極論に至った結果、息をするのが随分と楽になった。生きるのも、同様に。
3574欲しいものを手に入れるのに
手段なんか、選ばない
動機がなんであれ
誰のものであれ
ここまで落とせば
ここまで沈めれば
ほぅら、ね
これでもう
おれのもの
俺の嗜好が邪悪に狂ったのは、まず間違いなく蘭との別れからだ。
どれだけ純粋に相手を想っていたとしても、突如として別れはやってくる。
どれだけ誠意を持って接しても、決して切れない絆だと思っていても、運命の相手だと確信していたとしても。別れなんてものは無情にも突然やってくる。そうして根こそぎ奪って無に還していく。
それならばいっそ────。
純粋で一途で誠実な優等生を辞めちまえばいい。
極論に至った結果、息をするのが随分と楽になった。生きるのも、同様に。
白無地自由帳(なまえ:いずうら)
TRAINING20230812。神竜様は約束の指輪をお渡しになりたいお相手がいらっしゃるんですかとか普通に聞いて神竜を悲しませてそうなのが好き😊※スタンプありがとうございます☺💕🙇🙏💞♥
※スタンプありがとうございます🙏🙏♥💖🙏🙏
ユキ❄
MEMO◤ 𝐂𝐚𝐥𝐥 𝐨𝐟 𝐂𝐭𝐡𝐮𝐥𝐡𝐮 𝟔𝐭𝐡 ◢指輪は人を二度殺す
▍𝐏𝐋/𝐏𝐂 (継続)
𝐊𝐏𝐂 闇医者 (ななくさ)
▹▸ 一ノ瀬 凪雲
𝐏𝐂 裏社会の探偵 (ユキ)
▹▸ 氷川 詩乃
2023/8/8 ▷▶︎▷ 𝐒𝐓𝐀𝐑𝐓
あびこ
PROGRESS茨あんプロポーズの話の続きのようなもの
指輪の話
一応終わり
茨あん 指輪の話「ご、ごめんなさい。受け取れ、ません……」
「はぁ⁉︎」
七種茨の手によって開けられているケースに輝くダイヤの指輪は、あんずの手に乗ることはなかった。
由緒あるブランドのものにしたし、価格もいわゆる「給料三ヶ月分」程度のものにした。何が足りなかった?
「試しに指にはめることすらしなかったし、ほんと何なんだ……」
「茨、眉間のシワと目つきヤバいっすよ」
「別にジュンしかいないので構いません」
「写真撮ってあんずさんに送りますよ」
「やったらスマホぶち割るからな」
「だんだんオレの扱い酷くなってません?」
「親しみをこめてます!」
「そう言えば許されるわけじゃないですからね⁉︎で?どうしたんです?」
「何が」
「あんずさんと何があったんすか?」
3113「はぁ⁉︎」
七種茨の手によって開けられているケースに輝くダイヤの指輪は、あんずの手に乗ることはなかった。
由緒あるブランドのものにしたし、価格もいわゆる「給料三ヶ月分」程度のものにした。何が足りなかった?
「試しに指にはめることすらしなかったし、ほんと何なんだ……」
「茨、眉間のシワと目つきヤバいっすよ」
「別にジュンしかいないので構いません」
「写真撮ってあんずさんに送りますよ」
「やったらスマホぶち割るからな」
「だんだんオレの扱い酷くなってません?」
「親しみをこめてます!」
「そう言えば許されるわけじゃないですからね⁉︎で?どうしたんです?」
「何が」
「あんずさんと何があったんすか?」
fgo_sawara
DOODLEケイぐだちゃんワンドロお題「指輪」妖精の薬指「お待たせしました!」
「いえ、今来たばかりです」
業務が少し長引いたおかげで、恋人との待ち合わせに数分遅刻してしまった。優しい彼は、気にすることなど何もないという風に微笑んでくれる。
「よかった……あ、服装ってこれでいいかな?」
おしゃれなお店で食事をするに、ふさわしい格好だろうか。濃紺色のワンピースの裾を軽くつまみ、ちらりと彼を見上げてみる。すると、深い緑の瞳がキュッと細められた。
「ええ、非常に愛らしい……このまま攫ってしまいたいほどに」
「えっ! えへ……ありがと」
想像の倍以上の賛辞に、一気に頬が熱くなった。それを隠すように早く行こうと広い背を押せば、ケイローンはクスクスと可笑しそうに笑う。軽口を交わしながら、近くに停めてあった車に乗り込んだ。
976「いえ、今来たばかりです」
業務が少し長引いたおかげで、恋人との待ち合わせに数分遅刻してしまった。優しい彼は、気にすることなど何もないという風に微笑んでくれる。
「よかった……あ、服装ってこれでいいかな?」
おしゃれなお店で食事をするに、ふさわしい格好だろうか。濃紺色のワンピースの裾を軽くつまみ、ちらりと彼を見上げてみる。すると、深い緑の瞳がキュッと細められた。
「ええ、非常に愛らしい……このまま攫ってしまいたいほどに」
「えっ! えへ……ありがと」
想像の倍以上の賛辞に、一気に頬が熱くなった。それを隠すように早く行こうと広い背を押せば、ケイローンはクスクスと可笑しそうに笑う。軽口を交わしながら、近くに停めてあった車に乗り込んだ。
umiyukisandesu
DOODLE『返景(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20084139)』のタル鍾♀が指輪を贈り合う話。別に『返景』を読まなくても大丈夫なはず。推敲したら支部にあげます。
1
鍾離には気掛かりなことがあった。
目の前に座る男がどうも挙動不審なのだ。用意した夕飯を──箸の使い方が上達したのもあり──しっかり口に運んではいるものの、鍾離が声を掛けても返事は上の空で、それでいて時折ちらちらと鍾離の様子を窺っている。それも表情ではなく、手元の方を。
「……アヤックス。一体どうしたんだ?」
「へ?」
鍾離がそう声を掛けると、彼──アヤックスは肩をびくりと震わせた。ぼとり、と箸で摘んでいた肉が重力に従ってテーブルへと落下する。アヤックスは片眉を持ち上げるとすぐさま墜落したそれを箸で摘み直し、セーフ、と呟いて口へと納める。
「いいや、何でもないよ」
「……」
アヤックスは首を振るも、鍾離からの視線の圧は弱まらない。アヤックスは眉根を寄せると咀嚼物を嚥下し、観念したように肩をすくめた。
10369鍾離には気掛かりなことがあった。
目の前に座る男がどうも挙動不審なのだ。用意した夕飯を──箸の使い方が上達したのもあり──しっかり口に運んではいるものの、鍾離が声を掛けても返事は上の空で、それでいて時折ちらちらと鍾離の様子を窺っている。それも表情ではなく、手元の方を。
「……アヤックス。一体どうしたんだ?」
「へ?」
鍾離がそう声を掛けると、彼──アヤックスは肩をびくりと震わせた。ぼとり、と箸で摘んでいた肉が重力に従ってテーブルへと落下する。アヤックスは片眉を持ち上げるとすぐさま墜落したそれを箸で摘み直し、セーフ、と呟いて口へと納める。
「いいや、何でもないよ」
「……」
アヤックスは首を振るも、鍾離からの視線の圧は弱まらない。アヤックスは眉根を寄せると咀嚼物を嚥下し、観念したように肩をすくめた。
時緒🍴自家通販実施中
TRAINING8/5 ブラネロ版ワンドロライお題:「エスコート」「秘めたもの」「赤面」
ネロが寝ているところに、不思議な指輪を持って箒で訪ねてくるブラッドリーのお話です。ちょっと甘め。
月の魚 夏の日の夜半すぎ、コツコツと窓が叩かれる音がした。
俺はちょうどその時自室のベッドでまどろんでいて、意識があやふやだったから、最初のうちはそれを夢の中の幻だと思った。けれどその音はしつこく鳴り続けたので、俺はいよいよ目を覚まし(久しぶりに早寝をして気分がよかったのに最悪だと思った。汗はかいていたが)身体を起こし窓を見た。
あたりは月と星の明かりしかなく薄暗かったけれど、分厚い硝子窓越しに映る人影はきちんと見えた。それは紛れもない、俺の元相棒であるブラッドのものだった。どういうわけか知らないが、彼は愛用の箒に乗り、何やらリズムを刻んで不透明な窓を叩いている。鼻歌を歌うようなそれに俺はため息をついたけれど、彼が何かを思いついてしまった時にはことは全て遅く、俺に出来ることは一つもなかった。今夜も、ブラッドは空想を現実にしようとしているか、もうしてしまったのだろう。
3448俺はちょうどその時自室のベッドでまどろんでいて、意識があやふやだったから、最初のうちはそれを夢の中の幻だと思った。けれどその音はしつこく鳴り続けたので、俺はいよいよ目を覚まし(久しぶりに早寝をして気分がよかったのに最悪だと思った。汗はかいていたが)身体を起こし窓を見た。
あたりは月と星の明かりしかなく薄暗かったけれど、分厚い硝子窓越しに映る人影はきちんと見えた。それは紛れもない、俺の元相棒であるブラッドのものだった。どういうわけか知らないが、彼は愛用の箒に乗り、何やらリズムを刻んで不透明な窓を叩いている。鼻歌を歌うようなそれに俺はため息をついたけれど、彼が何かを思いついてしまった時にはことは全て遅く、俺に出来ることは一つもなかった。今夜も、ブラッドは空想を現実にしようとしているか、もうしてしまったのだろう。