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    指輪

    リリ小屋

    DONE婚約指輪を見せつけられるモブとくらおう
    窓際の彼 木曜三限。
     退屈な第二外国語の授業で、彼はきまって窓際の、光が当たる暖かくて気持ちよさそうな位置に座っている。
     俺の席は、彼からだいたい三、四列ぐらい後方だ。彼の左斜め後ろに座っているから、いつも彼の憂いを帯びた左半分の顔だけが、見えている。
     友達はいたりいなかったりするようだ。ときどき、食堂で彼が誰かとランチしている姿を目にする。でもこのフランス語の授業を彼の友人は誰も取っていないのか、ただいつも、ぽつん、とつまらなさそうに座っているばかりなのが印象的だった。
     明るい色の髪に、角度によって少し色を変える、ターコイズブルーの瞳。それが、俺が知る彼の全てだ。ああ、でも、誓って言う。俺は特にゲイじゃない。それに、彼は綺麗な顔立ちに反して意外と背が高い。授業終わり、プリントを出しに行くために立った彼の、予想以上のガタイの良さにちょっとびびったのも正直ある。夏だからか、剥き出しになった腕は割とかなりマッチョで、俺はちょっとぎょっとした。それで、めちゃくちゃ男だな、と思ったし、なんかこんな綺麗な顔してこんなに体格いいのかよ、と舌打ちしたくなるような気分にもなった。
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