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    貧血

    k0510_o0720

    DONEフォロワーさんの誕生日にささげる体調不良レイチュリ
    🦚が体調不良(貧血)

    ※作者に医学的な詳しい知識はありません。ご了承の上お読みください。
    この世で最も安全な場所 あ、まずい。そう思ったのは商談の最中だった。相手はとある工場を運営する若社長で、この星での五本指に入るほどの権力者だ。カンパニーに対して友好的ではあるものの虎視眈々とその足元を狙ってる気配もあり、だからこそボロが出ないようにレイシオまで呼び出したのだ。彼であれば、技術的な会話でも引けを取ることはないだろうから。
     けれどボロを出しそうなのはアベンチュリンの方だった。ぐら、と視界がゆがむ。なんだ、毒か? 薬や毒の類であればそれなりに耐性があるはずで、そもそも同じものを出されているレイシオは何の問題もなさそうに会話を続けている。ではこれは。
    「……? 、その件については、」
     そんなアベンチュリンの様子に、目ざといレイシオは気付いたみたいだった。しかし視線のひとつでこちらの意図は伝わったらしい。耳朶を打つ低い音に集中して、ぎゅう、と手のひらを握りこんだ。レイシオが話している間にどうにかこの気持ち悪さをやり過ごして、正常に会話ができるぐらいにはしておかなければ。ぐらりと揺れた頭に息を細く吐き出して、黒くかすんだ視界は瞬きで追いやって。
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    すいか寄りの召

    DONE【kmt*杏千】
    貧血のムズムズが辛い千くん
    「ん……」

     真夜中、ふと目が覚めて寝返りを打った瞬間のことだった。
     右手の平を支配するムズムズとした不快感に気付いた千寿郎は、また貧血か、と小さな音で溜め息を吐いた。
     体から鉄分が不足すると、どういうわけか四肢に痒さともまた違ったムズムズ感が襲ってくる時がある。
     中にはこの感覚が苦痛過ぎて自ら命を絶ってしまう人もいるとか。
     確かに、自分はまだそこまで追い詰められたことはないけれど、気持ちが全く分からないわけではない。
     例えば傍らに自分にとってとても大切な人、恋人のような人が寝ていたとしよう。
     その寝顔を眺めながら、自分だってまだ眠っていたいと思うのに体がそれを許さない状況、こんなのは最早苦痛というよりも拷問と言った方が正しいような気さえする。

    「ッ!」

     千寿郎は不快感を紛らわすため自らの右手に噛み付いた。
     噛んでいる間は少しだけ楽になる。それは経験で知っていた。そうして、再び寝落ちする時まで一人でやり過ごすのだ。

     いつもならば。

    「眠れないのか……?」
    「……兄上」

     それまで正面で寝息を立てていた杏寿郎の目が徐に開かれ、千寿郎を見据える。眠そうな声。大 1446