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    1122

    Na0

    PROGRESS1122の日に向けてポツポツ更新していきたい。『それはきっとあなたとだから』の続きです。当日まで書ききれるか微妙というか無理な気もするのですが、あきらめたくないので。ハテノ村の人達と夫婦な二人の話になる予定。(11/02一部校正)
    それはきっとあなたとおなじ(仮)11
     常に冷たい風が吹き下ろすハテノ村。
    だがふいに勢いが増し、あたたかな物が混じると、灰白色の雲が筋状に浮かぶ漆黒の空がやにわに明るくなり、水平線が光の線を描いて、その向こうから太陽がゆっくりと昇りはじめた。
     ラネール連峰のウォルナット山の影を切り抜くように空が白み、村の赤い屋根や風車の白い帆が大地に浮かび上がる様にして姿を現してくる。そうして静かに、しかし、速やかに村外れまで夜が明けて、それからようやくエボニ山の裾野に建つ古民家にも朝日がさすのだ。
     夜半過ぎの雨で濡れた屋根が、キラキラと光を空へ帰すように輝き、シンボルツリーの緑は負けじと風に揺れながら緑を飾る光の粒を大地に落としていた。
     鎧戸を閉め切った暗い部屋。明り採り用の小窓から、それらが優しく反射して差し込み始めると、寝台の上でぴったりと身を寄せ合った2つの姿を浮かび上がらせた。
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