A英
sss333me
MEMOA英/獣人と人間シリーズまとめ。支部に投稿していた、猫の花通い、君に花束を、のまとめたものです。
猫の花通い 君に花束を猫の花通い
よく日が当たる二階の窓。
白いカーテンが風と光と遊んでいる。
窓辺の椅子に腰掛けて木々の隙間からこぼれる太陽に目を細めていると、トンッと軽い音がした。
視線を下ろすとそこには黄金の麦畑を連想させる柔らかな毛並みをした一匹の猫がこちらを見上げている。その瞳は鮮やかな翡翠のようで、遠い宇宙の星のように輝いていた。
その口には一輪の花が咥えられている。
「やあ、おはよう。今日も素敵な花をありがとう」
そう声をかけると、猫はまるで受け取れと言うように顔を僅かに動かす。猫が持ってきた花はそっと差し出した掌に乗せられた。
花を贈られた青年は大事そうに花を見つめ、そして伺いを立てるように空いている方の手を猫に差し出す。
50238よく日が当たる二階の窓。
白いカーテンが風と光と遊んでいる。
窓辺の椅子に腰掛けて木々の隙間からこぼれる太陽に目を細めていると、トンッと軽い音がした。
視線を下ろすとそこには黄金の麦畑を連想させる柔らかな毛並みをした一匹の猫がこちらを見上げている。その瞳は鮮やかな翡翠のようで、遠い宇宙の星のように輝いていた。
その口には一輪の花が咥えられている。
「やあ、おはよう。今日も素敵な花をありがとう」
そう声をかけると、猫はまるで受け取れと言うように顔を僅かに動かす。猫が持ってきた花はそっと差し出した掌に乗せられた。
花を贈られた青年は大事そうに花を見つめ、そして伺いを立てるように空いている方の手を猫に差し出す。
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MEMOA英/僕の小さな旦那様出会い編まとめ。支部にて投稿したまとめたものです。
僕の小さな旦那様【出会い編】1〜3僕の小さな旦那様【出会い編】
「……大きいなぁ……」
これ以上見上げられないほど首が上を向く。今の自分はよほど間抜けな顔をしているだろう。
目の前には見たこともないような立派な屋敷が建っている。派手、というより荘厳で重々しく、長い時間を感じる。英二は緊張からゴクリと唾を飲み込んだ。無理を言って自分で運ぶと言ったカバンを握る手に力が入る。
ここまで乗せられた馬車も4頭立てだった。乗る前から通りの注目の的になってしまった。見送ってくれた両親が呆然としてしまうのも無理もない。英二もそうだった。
改めて自分の状況に困惑していると、これまた大きな扉の前に立つと重たげな音を立てて開いた。
目に飛び込んできたのはだだっ広い玄関ホールとそこに並んでいる使用人達の姿だった。奥の階段までの道の両脇にずらりと並び皆、どうしてそこまで揃えられるのかと不思議に思うくらいきっちりと同じ角度で頭を下げている。高い天井に飾られたシャンデリアの光を反射して大理石の床まで光っているように見える。
45569「……大きいなぁ……」
これ以上見上げられないほど首が上を向く。今の自分はよほど間抜けな顔をしているだろう。
目の前には見たこともないような立派な屋敷が建っている。派手、というより荘厳で重々しく、長い時間を感じる。英二は緊張からゴクリと唾を飲み込んだ。無理を言って自分で運ぶと言ったカバンを握る手に力が入る。
ここまで乗せられた馬車も4頭立てだった。乗る前から通りの注目の的になってしまった。見送ってくれた両親が呆然としてしまうのも無理もない。英二もそうだった。
改めて自分の状況に困惑していると、これまた大きな扉の前に立つと重たげな音を立てて開いた。
目に飛び込んできたのはだだっ広い玄関ホールとそこに並んでいる使用人達の姿だった。奥の階段までの道の両脇にずらりと並び皆、どうしてそこまで揃えられるのかと不思議に思うくらいきっちりと同じ角度で頭を下げている。高い天井に飾られたシャンデリアの光を反射して大理石の床まで光っているように見える。
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MEMOA英/灰の色の怪物シリーズまとめ。支部にて投稿していたものをまとめたものです。
灰の色の怪物1〜2灰の色の怪物
狭い小さな部屋。向かい合った医者からの丁寧な説明を淡々と聞き流す。語られる現実はやはりそうかと、今更な気持ちと、ようやくという喜びに近かった。
強い日差しが木々に遮られガラスの破片のようにコンクリートに散らばる。通り抜ける風はこの季節にしては涼しくて英二の切り揃えられた黒髪を揺らし去っていく。ぼんやりと見上げた先には濃淡のない作り物のような空が広がっていた。白く照った中庭で子供達が駆け回る。日陰の中の静寂で英二は目を閉じた。
英二の隣、空いたベンチの上には無造作に大きな白い封筒が置かれている。これからすべき手続きのための書類だが今は目を通す気にはなれなかった。
「隣、いいですか」
22529狭い小さな部屋。向かい合った医者からの丁寧な説明を淡々と聞き流す。語られる現実はやはりそうかと、今更な気持ちと、ようやくという喜びに近かった。
強い日差しが木々に遮られガラスの破片のようにコンクリートに散らばる。通り抜ける風はこの季節にしては涼しくて英二の切り揃えられた黒髪を揺らし去っていく。ぼんやりと見上げた先には濃淡のない作り物のような空が広がっていた。白く照った中庭で子供達が駆け回る。日陰の中の静寂で英二は目を閉じた。
英二の隣、空いたベンチの上には無造作に大きな白い封筒が置かれている。これからすべき手続きのための書類だが今は目を通す気にはなれなかった。
「隣、いいですか」
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MEMOA英/1枚の愛からシリーズまとめ下。支部に投稿していた、猫の瞳は宝石より尊い、塀の向こうで【A】【E】をまとめたものです。
猫の瞳は宝石より尊い猫の瞳は宝石より尊い
まるで金色の猫だ。
その名前の通り、彼は山猫だった。
恩人であり弟子とも言える奥村英二がはるか海を越えたあの大国で永住権を取得したのはもう数年前だ。
彼が陸上選手としてスランプに陥ったときアメリカに連れて行ったのは気分転換になればと思ったからだ。スランプを脱する方法なんて自分にはわからない。けれど違った環境に行けばなにかあるのではと、我ながら考えなしの行動だ。
それは結果として言えば彼に大きな転機をもたらしたらしい。何があったのか、何度聞いても「一目惚れです」と返ってくる。
事実その通りなのだろうと本当に理解したのは彼がアメリカで働き出したと電話越しに報告されたときのことだった。
40860まるで金色の猫だ。
その名前の通り、彼は山猫だった。
恩人であり弟子とも言える奥村英二がはるか海を越えたあの大国で永住権を取得したのはもう数年前だ。
彼が陸上選手としてスランプに陥ったときアメリカに連れて行ったのは気分転換になればと思ったからだ。スランプを脱する方法なんて自分にはわからない。けれど違った環境に行けばなにかあるのではと、我ながら考えなしの行動だ。
それは結果として言えば彼に大きな転機をもたらしたらしい。何があったのか、何度聞いても「一目惚れです」と返ってくる。
事実その通りなのだろうと本当に理解したのは彼がアメリカで働き出したと電話越しに報告されたときのことだった。
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MEMOA英/1枚の愛からシリーズまとめ上。支部にて投稿していた1〜4をまとめたものです。
1枚の愛から1〜41枚の愛から
カシャっと世界を切り取る音がする。
そっと覗いていた小さな窓から目を離し、奥村英二は目の前に広がる風景をじっと見つめた。後ろに束ねた黒髪が風に揺れる。
眩しく滲む光は空も街も何もかもを照らす。光の波が夜空を薄め、淡い色が広がる。強く燃え盛る太陽がこのときだけはひどく穏やかに感じられる瞬間だった。
騒がしく、ぎゅうぎゅう詰めのこの街を染め上げる。
変わることなく繰り返される光を何度も見てきた。その度に英二の胸の奥には何かが揺らいでいた。
まるでこの街の夜明けのように、その一瞬だけに顔を覗かせる。呆然となるほどの安堵と僅かな焦燥。
それはずっと、彼がカメラを手にし夜明けの空を撮った十年前から変わらないものだった。
74136カシャっと世界を切り取る音がする。
そっと覗いていた小さな窓から目を離し、奥村英二は目の前に広がる風景をじっと見つめた。後ろに束ねた黒髪が風に揺れる。
眩しく滲む光は空も街も何もかもを照らす。光の波が夜空を薄め、淡い色が広がる。強く燃え盛る太陽がこのときだけはひどく穏やかに感じられる瞬間だった。
騒がしく、ぎゅうぎゅう詰めのこの街を染め上げる。
変わることなく繰り返される光を何度も見てきた。その度に英二の胸の奥には何かが揺らいでいた。
まるでこの街の夜明けのように、その一瞬だけに顔を覗かせる。呆然となるほどの安堵と僅かな焦燥。
それはずっと、彼がカメラを手にし夜明けの空を撮った十年前から変わらないものだった。
tenranana
DONE【A英】大切なものが自分の手の中にあるとき、喜びよりも先に失った時の恐怖を感じてしまうAと、声にならないその不安を拭いとる英
・付き合ってる
・行為描写あり
続きはポイにて
※モロ描写は無いですが一応ワンクッションです 3
𝑙𝑒𝑛𝑎 ♂
PAST140文字SS A英・こたえられない
・ただの友達は、こんなこと、しない
・給料三ヶ月分の、
・最後の言葉
・嫌味なくらい、できたやつ
・誰にも渡さない
・新手の誘い文句ですか?
・駄目にならない程度でお願いします
・寄るな、色男
・No Thank you 20
umeneko877
DONE「カーレンリース一家の温泉旅行」ペーパーラリー企画【A英クロスワードラリー】の特典小説です。クロスワードの答えをカタカナで入れると読めます。
※注意事項※
拙作「Summer Vacation」のその後の設定で、A英の子供が出てきます。英は男性ですが母親表記です。
前作を読んでいなくても問題ないですが、本編と新刊の書き下ろしとベッターに上げている小話を読んでからだとより楽しめるかと思います。 16
fuuumi_new
PROGRESSとーとつに!衝動的に!A英!5年前位に書いてた転生パロのお話より、あの2人の部屋へ訪れ記憶を取り戻した英二のシーン
「君はっ、僕を囲って一生離さなければいいんだ!ベッドがふたつ並んだこの部屋に閉じ込めとけばいい。すっごく傲慢な癖してなんで、なんでっ」
「英二」
「うっ、うぅ。なんでよ、なんで僕は日本にかえったんだよぉ」
ぽす、ぽす、とアッシュの胸を緩く握った拳で叩きながらどうしよもなく零れる涙を床に落とした。
「英二、顔を上げて」
「やだ、アッシュのばか、わからずや、」
叩くのをやめないその拳を、その身体をそのままにそっと抱き寄せられ身動きをアッシュに封じられた。困ってるだろうか、面倒くさがっているのだろうか。
「……俺にとって、お前は自分の命よりも大切で、自分の人生よりも遥かに思い通りにならないから」
「なに、いみわかんないよ」
1012「英二」
「うっ、うぅ。なんでよ、なんで僕は日本にかえったんだよぉ」
ぽす、ぽす、とアッシュの胸を緩く握った拳で叩きながらどうしよもなく零れる涙を床に落とした。
「英二、顔を上げて」
「やだ、アッシュのばか、わからずや、」
叩くのをやめないその拳を、その身体をそのままにそっと抱き寄せられ身動きをアッシュに封じられた。困ってるだろうか、面倒くさがっているのだろうか。
「……俺にとって、お前は自分の命よりも大切で、自分の人生よりも遥かに思い通りにならないから」
「なに、いみわかんないよ」