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    アメリカ

    まえにし猿棚

    DOODLEイチャイチャ×ヒルビリー×都市伝説。アメリカのど田舎のお巡りさんコンビ、40代の自分をおじさんって言うタイプの先輩×20代のスカした後輩
    【スリーピング・デューティ】オールドファッションを喰らう やる事をやって良い気分。交換した清潔なシーツに潜り込んで心地よい微睡へ身を浸そうとしていたら、場違いなほど張り詰めた声と共に肩を揺さぶられる。「今外で変な音がしなかった?」
     低く呪詛の呻きを放ちながら、マルボロはベッドから身を起こし、クローゼットからTシャツとジャージのズボンを引っ張り出した。
    「俺も行きます」
    「良いからベッドで大人しくしてろ、まだ足腰もまともに立たない癖して」
     先程まで男に体を暴かれて乱されたリグレーはすっかり疲労困憊。あれだけ泣き咽んでいた顔はまだ目も頬も幾分腫れぼったい。明日は日勤だが、この調子だと2人とも一日中欠伸を連発しなければならないだろう。

     今夜は2人でWWEの中継を観た後、もっと穏やかな、せいぜい触り合いっこ位で済まそうと思っていた。けれどこの若い情人がひしとしがみつき、甘えた様子で肩口に頬を擦り付けて来たのがいけなかった。男の四十路とはまだまだ枯れるなんて言葉とは無縁の存在だと、誘惑を受ける度にマルボロはつくづく実感する。年下の恋人を作れば若返ると言う都市伝説は、案外間違っていないのかも知れない。
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    まえにし猿棚

    DOODLEイチャイチャ×ヒルビリー×都市伝説。アメリカのど田舎のお巡りさんコンビ、40代の自分をおじさんって言うタイプの先輩×20代のスカした後輩
    【スリーピング・デューティ】ここはヒルビリーのビバリー・ヒルズ「これは焼きもちを妬いてるんじゃ無いんですが」
     そう前置きし、リグレーは懐中電灯のスイッチをカチリと押す。濡れたような黒髪と、ハッとするような青色の瞳が人目を惹く青年は、自分の強みを嫌と言うほど理解していた。だからいつも制服のズボンはワンサイズ小さめ、こうしてしゃがみ込めば、ぱつぱつになったカーキ色のスラックスが破裂しそうになっている。
    「ただ、気になったんです。昨日の晩、あんなに熱心に話し込んでたので」
    「話だって?」
    「しらばっくれたって無駄ですよ。ブロンドで、アイシャドウをコッテリつけたヤク中丸出しの女」
     ああ、と頷く代わりに、マルボロは咥えていた紙巻煙草を指でつまみ、前歯についた刻み葉を舌先でちっと跳ね飛ばした。その仕草に何を想起したのだろうか。リグレーの耳と言えばトマトスープよりも真っ赤だった。本人も状況を分かっているのだろう。殊更真面目腐った表情を浮かべて顔を背けると身を屈め現場検証に戻る。
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