Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ババア

    Tonya

    TRAININGお題「暗い祖母」
    ボクタイ
    祖母ではないけど、ばばあ呼びからザジと先代ひまわり娘。
    「ばばあ、どしたん?アンデッドみたいな顔色やで」
    いつになく沈んだ師の表情に不安を覚え、軽口を叩いた。お決まりの喰えない反応は返って来ず、師は「虫の知らせっちゅうことか」と呟いただけだった。
    訝しみながら垣間見た師の表情に、弟子は氷水を浴びたような心地になった。
    その顔が、見たことのないほど深い悲しみを湛えていたから。
    思い返せば、あのとき師は悟ったのだろう。遠からず戦友が倒れ、伝説と呼ばれたその男が築いた平穏もまた崩れ去ることを。
    黄昏が、再び時を刻む。
    星読みだけではない、天性の直感を持っていた人だったから、縁の深い相手の不幸を察知できたのだ。
    虫の知らせ。師の呟きが蘇る。
    正直、己の力量は先代に遠く及ばない。本来ならもどかしいその事実に、今ばかりは縋りつきたかった。
    赤く染まった月。帰らぬ兄弟。
    この予感がどうか外れてほしい。だが、星を読むまでもない。本当の凶事はこうして兆すのだ。目を逸らせも、逃れられもしない、厳然たる姿で。
    「頼むで、ホンマ……」
    悪い予想はな、よう当たるんや。腹立たしいくらいな。そんで、そうと気づく時には大抵手遅れや。
    でもな、ザジ。たとえ最悪なことが起きて 702