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    マリー

    なつゆき

    DONE【ツイステ】ピンクッション、マリーゴールドなどのシリーズの前日譚。
    ジャックの弟の話(https://poipiku.com/580868/8962303.html)と少しつながっている。
    お返しの一発 警察官になってから初めて長い休みがもらえて、ジャックは実家に帰省することにした。
     既に学生時代に寮生活を経ているのだから、特にホームシックにかかったわけではない。ただ、少しモチベーションを失っていたのは確かだった。
     職業として警察官を選んだことに、学生時代のときの事件の影響があったのかと尋ねられたとしたら、答えはイエスであった。あのときの置いて行かれたという無力感といったらなかった。それはジャックの内面に影を落とし、「次」があるのならば必ずその場にいられる権利と、どんな災厄も吹き飛ばす力を渇望させた。
     取り返しのつかないことになる前に、守りたい。助けたい。
     そう思って警察官になった。
     だが、職に就いたばかりの警察官に振られる仕事は言ってしまえば地味だ。夫婦の喧嘩の仲裁に行きお互いの言い分を聞いたり、ご近所同士の揉め事の仲裁をしたり、一軒一軒回って聞き込みを行なったり。それ自体はまだ良いとしても、報告書の作成や、上の指示を逐一確認するなど、細々したことがけっこう煩雑だ。
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    komekami_gt

    PAST内緒のサマリーJB2023 で配布した小話です
    期間限定での再録になります
    おいしいごはんが炊けるのはイデア・シュラウドのおかげ ここのところ仕事が忙しく、自宅にはほぼ寝に帰るだけの生活になっていた。正直なところ、それぐらいなら店近くのホテルに部屋をとる方が睡眠にあてられる時間は長くなるのだけれど、そういうわけにもいかなかった。なにせ家にはイデアさんがいる。二人で暮らし始めて片手では足りなくなっているのでなにをいまさら、ではある。僕だってこのタイミングでなければイデアさんがいようといまいと家には帰らなかった。そう、タイミングなのである。
     先日、イデアさんが世界的な工学賞を受賞した。過去をみても名だたる工学者たちが受賞した誉れある賞で、僕は、僕のイデアさんが評価されたことに鼻高々だった。ところが、だ。ところが当のイデアさんにまったくやる気がない。授賞式? 出るはずないでしょ、と一笑に付すのだ。知っていた。ええ、知っていましたとも。あなたがそういうひとだということは。けれど、はいそうですか、と許すほど僕は甘くはないのです。授賞式、出てください。僕の男は顔も最高なのだと世間にわからせなければいけないので。
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