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    リーゼ

    abicocco

    PAST※ノーマルEND革命後のグリーゼにて交際中のレムラキ。グリーゼの医療制度などについて想像で好き勝手書いています。
    はじめて熱を出したラキとはじめて人の看病をするレムの話。
    平熱+3℃ ピピピ。 接触タイプの体温計が測定完了の合図を出したのを聞いて、僕は自身の額から薄っぺらいカードのようなそれを回収すると、そこに表示されている数字を確認した。

    「39.2℃……」

     昼に飲んだ解熱剤が切れたからだろう、また熱が上がっている。頭痛、発熱、眩暈——今グリーゼで流行中の宇宙風邪の症状にしっかり当てはまっている。

    「まさかこの歳で寝込むほどの体調不良を起こすとはね……」

     ガンガンと脳を揺らし思考を阻害する鈍い頭の痛みに、深いため息をひとつ吐いて、僕は瞼を閉じた。


     この国の白質市民を相手に施される高等教育は全宇宙規模で見ても相当にレベルが高く、課題内容も授業の進行速度も厳しいと言われていた。グリーゼの学生に休んでいる暇はなく、ましてや娯楽に興じる余裕などあろうはずもない。体調不良による欠席の可能性など一切考慮されていない教育カリキュラムは、一日でも授業を欠席するとあとから遅れを取り戻すのは相当に面倒だし、生憎とこの閉鎖的社会の中じゃあ、レムナンが好む映画や小説をはじめとするフィクションの世界に出てくる、休んだ分のサポートをしてくれる親切な同級生など存在しなかった。誰がはじめに言い出したのか、他星系から『超階級国家』と呼ばれ、畏敬と畏怖が入り混じった眼差しで遠巻きに見られていたようなこの国で生き延びていくために、誰もが自分の力で自分一人分の将来を切り拓くだけで精一杯だった。
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    abicocco

    PASTノーマルエンド後、グリーゼにて革命中のレムラキ。
    死亡説の出たラキオが意識だけでレムナンに会いにきて、行方不明になったラキオの肉体を二人で探す話。
    ふたりの関係はブロマンス寄り。
    The ghost sleep somewhere 1 気が付くと、ラキオは部屋の真ん中で突っ立っていた。白い壁と青みがかったグレーの床。何の変哲もないごく一般的な居住船の一室だ。平凡なつくりの住居の中で、グリーゼでは滅多にお目にかかれないフードプリンターがキッチンカウンターの上を占領している。それを見てようやく、ラキオはここが自身の暮らしている家だという確信を得た。
     己がどこにいるのかは分かった。問題はなぜ、今、自宅にいるのかということだ。今日は革命を成功に導くための足がかりとなるであろう重要な会談に出かけたはずだ。なのにどうしてここにいる? 少なくとも何かしらのトラブルが起きたことは間違いない。まずはレムナンにこのことを報告しなくては。
     なにかあったときのためにレムナンは会談場所から近い建物で待機しているという話だった。今も同じ場所に留まっているのかまでは分からないが、少なくともまだ帰宅してはいないだろう。となれば通信で連絡を送らなければ。
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    maru464936

    PASTTwitterの過去つぶやきまとめ。リーゼお婆ちゃんが亡くなった時のちょっとした騒動。語り手はフィーネ似の孫だと思う
    無題孫たちの述懐で、「母方の祖父は、物静かで穏やかなひとだった。」みたいに言われてたらいいよね。

    「だから私たちは、祖父にまつわるさまざまな不吉な話を、半ば作り話だろうと思っていた。祖母が亡くなった日、どこぞの研究所とやらが検体提供のご協力の「お願い」で、武装した兵士を連れてくるまでは。
    結論から言うと、死者は出なかった。数名、顎を砕かれたり内臓をやられたりで後遺症の残る人もいたみたいだけど、問題になることもなかった。70を超えた老人の家に銃を持って押しかけてきたのだから、正当防衛。それはそうだろう。
    それから、悲しむ間も無く、祖父と私たちは火葬施設を探した。
    私たちの住んでいる国では、土葬が一般的だけど、東の方からやってきた人たち向けの火葬施設がある。リストから、一番近いところを調べて、連絡を入れて、みんなでお婆ちゃんを連れて行って、見送った。腹立たしいことだったけど、祖母の側に座り込んだまま立てそうになかった祖父が背筋を伸ばして歩けるようになったので、そこは良かったのかもしれない。怒りというものも、時としては走り出すための原動力になるのだ。
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