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    背中合わせ

    凛花(おがわ)

    MOURNING※リンドウ+慶くんです※
    ■ゲーム中では断片的にしか語られないリンドウさんと慶くんの関係を深読みしたお話です。ゲームオープニングのあのシーンに繋がるまで何があったのかを勝手に捏造しています。恋愛要素はないバディのお話ですが個人的に気に入っている作品です。
    <作品メモ>
    2013年に発行した「背中合わせの君」という小説同人誌に収録しているお話です。
    背中合わせの君 その日、僕は邸の広間で正座していた。
     目の前には兄が居て、さも重大事だと言いたげに厳かに告げる。
    「斉基、江戸の一橋公が我らの従兄弟君であらせられるのは知っていよう」
     何を今さらと、言葉を返すのも億劫で黙礼で肯定する。
     常なら僕の態度に逐一小言を言う兄が、気にかける様子もない。そのまま話を続けた。きっと、これから命じることに比べたら瑣末ごとなのだろう。
     何となく予想はついていた。
    「知っての通り、一橋家は公方の御身内の立場。家臣をもたれない。謀臣もなく大変心許ない思いをなされていると言う。なれば……」
    ——きた。
     と、心のなかで呟く。
    「斉基。下向して公に御仕えしなさい。重大事であるゆえ、京に残す役目諸々、心配せずとも私が引き受ける。そなたは、直ぐに支度をしなさい」
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