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    ガガ

    mayo

    DONEさめしし。ししさんが血縁のない子どもの世話をする話。さめ先生の来訪とすれ違い。雑用係ががんばります。
    世界はそれを、(④) 暖かい日がつづいたかと思えば急に涼しくなる。村雨は出入り口に近づくほど冷えていく廊下の空気に顔をしかめた。二日前は半袖でも通用する気温だったため、ジャケットを羽織っただけで出勤していた。
     職員用駐車場に足を進めるあいだも、寒風は容赦なく吹きつけてきた。二十四時間を超える勤務を終えて疲弊しきった体にはこたえる。びゅうびゅうと鳴る秋風に「お医者様は痩せすぎなんじゃねえの? オレみたいに筋肉つければあったかいぜ」という声が混ざった気がした。たしかに彼はあたたかい。ここにはいない熱を思い出した一瞬だけは、寒さを忘れることができた。その幻想はすぐに木枯らしが散り散りに吹き飛ばしていったが。
     運転席のドアを掴むと、鋼板の冷たさがひときわこたえた。激務のあいだ放置された車内も風が遮られるだけいくらかましだ。とはいえ、冷えきった体にはたいした慰めにもならない。レザーシートがじわじわと体温を奪う。うまく動かなくなってきた頭が心地のよい熱を求めていた。ナビの行き先を自宅の次に登録した場所へと設定したのは、ほとんど無意識によるものだった。
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    yowailobster

    DOODLE20220530 呼称のすごい捏造その他全て大暴れ 閲覧注意
    忠とランガが海行って歩いたり走ったり

    これも続きがでてきた うわー
    人間いじょう未満 明け方抜けた台風の名残か。明るい空に反し、海はやや荒れていた。
     完璧とは言えないロケーションに菊池忠は一瞬ひやりとしたが幸い彼に己を此処へ連れて行くよう頼んだ同乗者は不満など感じていないようだ。いつもと変わらない無表情で窓越しの浜辺を眺めている。
     安堵しつつロックを外し、忠は運転席を降りた。
     日光を浴びた車体の照り返しに思わず目を眇める。並んでいたレンタカーの中では一番無難な色味の物を選んだがそれでも見慣れた黒に比べると派手だ。
     後部座席側のドアを開ければ即座に地を踏む真新しい一足。久方ぶりの外出の為先程下ろした品だった。衣服も同様に今朝箱の山から選んだばかり。普段着せているものよりシンプルな作りだからか薄い生地からは常よりやや青みの強い肌が透けて見えている。モーターボートを降りる際日焼け止めは塗り直させたがこの陽射しだ、それだけでは不十分かもしれないと更なる日焼け対策の準備を整えていた忠はしかし、同乗者こと馳河ランガが彼を待たず歩き始めたのに手の動きを速めた。
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