SB
mizumori22
DONEMHR:SBバハフィオ、いつか交わした会話のこと。※続きものの最後のおまけ的な話ですが、単独でも読めます。時系列的にはゲームエンディング後でエルガドを離れています。
※決定的な描写はありませんが、事後表現があるのでR18にしています。
ダイアローグ こんな会話をしたのがいつだったか、よくは覚えていない。たぶん、付き合い方が変わってすぐの頃だ。肌を重ねるのにもいくらか慣れ、けれどまだ照れくささの抜けない頃。その日も私は王都での仕事を終え、バハリに呼ばれるまま彼の家まで行ったのだと思う。私たちの夜は大抵そんなふうに始まった。バハリが私を誘い、私がそれに応える。おやすみを言い交わして眠るまでは外のことは忘れて、目を覚ましては普段の顔に戻る。その日もきっと同じようにしただろう。
事を終えて気怠さの残る体をベッドに横たえていた。隣には暑そうに顔を拭うバハリがいて、寝返りを打つと違和感を覚えたので半身を起こした。ベッドから手の届く範囲にバハリは色々とものを置いている。そして私は家のものは好きに使って構わないと言われていた。
2175事を終えて気怠さの残る体をベッドに横たえていた。隣には暑そうに顔を拭うバハリがいて、寝返りを打つと違和感を覚えたので半身を起こした。ベッドから手の届く範囲にバハリは色々とものを置いている。そして私は家のものは好きに使って構わないと言われていた。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。口の悪いカフェ店員×常連さんパラレル。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
公式のギャルソンミニキャラクロウちゃんから着想を得ました。
ストロベリーフラワーまたあの子は自分の腰の辺りを見つめている。可愛らしい真ん丸な目をして。
何故そんなに注目して来るのか、ある日いつものイチゴパフェをテーブルへ届ける時に尋ねてみた。
「お兄さんのそれ! イチゴのお花みたいで可愛いにゃ!」
綺麗にネイルの塗れられた人差し指が彼の腰の紐飾りを示す。その中央には小さな花のような飾りが。
急にかあっと顔が熱くなる。
「なっ、バカちげーよ!」
パフェを置いて足早にその場を去る。
――イチゴ好きな君を近くに感じたかった。
『見抜かれてた!』と恥ずかしくなり、テーブルを振り向けないままトレイでストロベリーカラーの顔を必死に隠した。
(おわり)
285何故そんなに注目して来るのか、ある日いつものイチゴパフェをテーブルへ届ける時に尋ねてみた。
「お兄さんのそれ! イチゴのお花みたいで可愛いにゃ!」
綺麗にネイルの塗れられた人差し指が彼の腰の紐飾りを示す。その中央には小さな花のような飾りが。
急にかあっと顔が熱くなる。
「なっ、バカちげーよ!」
パフェを置いて足早にその場を去る。
――イチゴ好きな君を近くに感じたかった。
『見抜かれてた!』と恥ずかしくなり、テーブルを振り向けないままトレイでストロベリーカラーの顔を必死に隠した。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりハチデル。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
花屋の蜂さん遠く離れた父へ花でも――と思い、入った花屋。
そこに店員として店番をしていたのは、マスターにチケットを貰ってかつてライブを見に行ったどこ指のメンバーの一人。
「父親への贈りもんならやっぱこれだな! 白いバラ! ほんとは父の日向けの花だけどよ、娘からのプレゼントならファーッと喜んで貰えるに決まってるぜ!」
「では、白バラの花束をください」
彼はレジ打ちも花束を包むのも手馴れたもので、見惚れるような手捌きだ。
ライブ中、いきなり喧嘩を始めた時は怖そうだと思ったのに――。
「親父さんに喜んで貰えるたらいーな!」
ニカッとギザギザの歯を覗かせる白バラ越しの純粋な笑顔が、輝くものとして彼女の朱色の瞳に映る。
何故かどきりと心臓が跳ねた。
326そこに店員として店番をしていたのは、マスターにチケットを貰ってかつてライブを見に行ったどこ指のメンバーの一人。
「父親への贈りもんならやっぱこれだな! 白いバラ! ほんとは父の日向けの花だけどよ、娘からのプレゼントならファーッと喜んで貰えるに決まってるぜ!」
「では、白バラの花束をください」
彼はレジ打ちも花束を包むのも手馴れたもので、見惚れるような手捌きだ。
ライブ中、いきなり喧嘩を始めた時は怖そうだと思ったのに――。
「親父さんに喜んで貰えるたらいーな!」
ニカッとギザギザの歯を覗かせる白バラ越しの純粋な笑顔が、輝くものとして彼女の朱色の瞳に映る。
何故かどきりと心臓が跳ねた。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりみこラパ(キャプテンみこみこ×キャンディラパン)。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
かわいいのは禊を終えた夕暮れの波止場のコンクリートの上。明日の出航に備えた積み荷のチェックをしていた。
「あの!」
ソプラノの声に突然呼び止められてそちらを見る。そこには垂れた大きな黄色い耳が特徴の女性が立っていた。耳から察するに自分と同じウサギ系の種族だろか。
「今日のライブ――じゃなかった、禊すっごく良かったです! 褒め言葉になってなかったらごめんなさい、とっても可愛かったです!」
夕暮れの景色を写し出す、意思の強い煌めく瞳。
「えっと、それだけ伝えたかったんです! では失礼しますッ!」
彼女は踵を返して軽快なステップで走り去って行く。
彼の手は自ずと引き止めるように伸ばされていた。しかし揺れるあの大きな耳は、既に届かないほど遠くに居た。
384「あの!」
ソプラノの声に突然呼び止められてそちらを見る。そこには垂れた大きな黄色い耳が特徴の女性が立っていた。耳から察するに自分と同じウサギ系の種族だろか。
「今日のライブ――じゃなかった、禊すっごく良かったです! 褒め言葉になってなかったらごめんなさい、とっても可愛かったです!」
夕暮れの景色を写し出す、意思の強い煌めく瞳。
「えっと、それだけ伝えたかったんです! では失礼しますッ!」
彼女は踵を返して軽快なステップで走り去って行く。
彼の手は自ずと引き止めるように伸ばされていた。しかし揺れるあの大きな耳は、既に届かないほど遠くに居た。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じ作品です。
寝姿ドキリ事務所内の長椅子に座る彼を見かけ、ぴょこぴょことした軽快な足取りで近づいた。
「クロウちゃん! って、あれ?」
彼は腕を組み、少し俯いて眠りの世界に居た。
彼女は揺れがなるべく起こらないよう静かに隣へ座る。睡眠から覚醒させて話を――とは思わなかった。
体を少し前に乗り出し、舟を漕ぐその横顔を見る。
男性にしては長く瑞々しいまつ毛、『顔はやめてくれ』とロムに言うだけあるきめ細かい玉肌、普段深紅の情熱の歌が迸る唇は今は静かに形良く閉じている。
綺麗――横顔だけでなく、髪の赤い部分と黒い部分の境目にすらそう感じた。
自分の心が、瞳が、潤うのが分かる。
うるさい筈の心音も気にならないほど恍惚をまとった指先が、ゆっくり彼の頬に伸びた。
324「クロウちゃん! って、あれ?」
彼は腕を組み、少し俯いて眠りの世界に居た。
彼女は揺れがなるべく起こらないよう静かに隣へ座る。睡眠から覚醒させて話を――とは思わなかった。
体を少し前に乗り出し、舟を漕ぐその横顔を見る。
男性にしては長く瑞々しいまつ毛、『顔はやめてくれ』とロムに言うだけあるきめ細かい玉肌、普段深紅の情熱の歌が迸る唇は今は静かに形良く閉じている。
綺麗――横顔だけでなく、髪の赤い部分と黒い部分の境目にすらそう感じた。
自分の心が、瞳が、潤うのが分かる。
うるさい筈の心音も気にならないほど恍惚をまとった指先が、ゆっくり彼の頬に伸びた。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりヤスほわ。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
【お題ひねりだしてみた】
小さな葉っぱへのお題は『境界線なんていらない』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
境界線なんていらない(ヤスほわ)年端の変わらぬ都会の男の子に話し掛けるなど初めてで、飛び切りの緊張を抱えながら思い切って彼の前へ飛び出して行く。
今日のライブにも心動かされた、痺れた、それをどうしても伝えたくて。
髪に隠れていない方の隻眼に始めは驚きが浮かんでいたが、彼女だと認識するとその眼圧は幾分か緩んだ。
「お前、確か一緒のスタジオ使ってる……」
挨拶もそこそこに辿々しくあたふたしながら用件を伝える。
勇気を振り絞った言葉たちを受けた彼は、
『そっか、ありがとよ』
と照れ臭そうに微笑んでくれた。
それは、“境界線はいらない”と気さくに語らってくれているようで、いつまでも眺めていたい。そう本能の部分が小さく揺れ動く笑みだった。
(おわり)
310今日のライブにも心動かされた、痺れた、それをどうしても伝えたくて。
髪に隠れていない方の隻眼に始めは驚きが浮かんでいたが、彼女だと認識するとその眼圧は幾分か緩んだ。
「お前、確か一緒のスタジオ使ってる……」
挨拶もそこそこに辿々しくあたふたしながら用件を伝える。
勇気を振り絞った言葉たちを受けた彼は、
『そっか、ありがとよ』
と照れ臭そうに微笑んでくれた。
それは、“境界線はいらない”と気さくに語らってくれているようで、いつまでも眺めていたい。そう本能の部分が小さく揺れ動く笑みだった。
(おわり)
小さな葉っぱ
DONESB69よりクロシア。クロウちゃんお誕生日おめでとう黙示録!
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
クロウ誕生祭2022『街外れの丘の上で星を見よう』
メンバーたちの輪から抜け出すように彼女に手を引かれて自然豊かな場所までやって来た。
何処まで行きなにをするのか、そんな無粋な事は聞かない。誕生日パーティーから二人で逃げ出してしまった背徳感と彼女の優しい手の体温。それに伴う心音の高鳴りに、ただ今は従っていたい。
ようやく立ち止まった彼女がこちらを向き、少し申し訳なさそうに笑う。
「ごめんにゃ。ライブの準備が忙しくて、実はお誕生日プレゼント用意出来なかったにゃ。だから、せめて綺麗な星空を贈り物に出来たらにゃって」
二人で空を見る。ダークネイビーのスクリーンへ溢したように広がる白く神秘的な光たち。
彼が星空を見上げる彼女の顔に視線を移動させると、その潤んだ艶やかな瞳に輝く粒子たちが映り込んでいる。
591メンバーたちの輪から抜け出すように彼女に手を引かれて自然豊かな場所までやって来た。
何処まで行きなにをするのか、そんな無粋な事は聞かない。誕生日パーティーから二人で逃げ出してしまった背徳感と彼女の優しい手の体温。それに伴う心音の高鳴りに、ただ今は従っていたい。
ようやく立ち止まった彼女がこちらを向き、少し申し訳なさそうに笑う。
「ごめんにゃ。ライブの準備が忙しくて、実はお誕生日プレゼント用意出来なかったにゃ。だから、せめて綺麗な星空を贈り物に出来たらにゃって」
二人で空を見る。ダークネイビーのスクリーンへ溢したように広がる白く神秘的な光たち。
彼が星空を見上げる彼女の顔に視線を移動させると、その潤んだ艶やかな瞳に輝く粒子たちが映り込んでいる。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。押し掛け女房シアンちゃん。
この作品でのクロウちゃんの家は実家ではなく一人暮らしと仮定。
蝶々結び「今日はあたしがクロウちゃんの為にごはん作ってあげるにゃ!」
銀のお玉をぎゅっと握って、片手では買い物袋をガサガサ云わせて部屋に押し掛けた彼女。
「お玉くらいうちにあるっつーの! てか突然だなオイ!」
「クロウちゃんはお昼即決しがちだから早く来たにゃ」
お玉と買い出したものをダイニングテーブルに置くと、持参のピンクのエプロンをバッと広げる。
颯爽と着けてかっこよく――なんて思っていたのだが。
「あ、あれ?? あれ?」
腰のところでの蝶々結びが上手く行かない。するりするりと指を抜けて行く。
「あー! もう! オレがやってやる!」
痺れを切らした彼が近寄って来て紐を手に掛ける。
「すまんにゃん……」
「へいへい、良いって事よ」
387銀のお玉をぎゅっと握って、片手では買い物袋をガサガサ云わせて部屋に押し掛けた彼女。
「お玉くらいうちにあるっつーの! てか突然だなオイ!」
「クロウちゃんはお昼即決しがちだから早く来たにゃ」
お玉と買い出したものをダイニングテーブルに置くと、持参のピンクのエプロンをバッと広げる。
颯爽と着けてかっこよく――なんて思っていたのだが。
「あ、あれ?? あれ?」
腰のところでの蝶々結びが上手く行かない。するりするりと指を抜けて行く。
「あー! もう! オレがやってやる!」
痺れを切らした彼が近寄って来て紐を手に掛ける。
「すまんにゃん……」
「へいへい、良いって事よ」
九尾のキタキツネ
DONEアイコンがメイドになるトラップに掛かったので
ちょっとの間の気まぐれな期間
このアイコンですw(´^p^`)
メイド服かーって思いながら
何となく、ちびキャラクロウちゃんに
着てもらったけど
意外に似合ってる?ww(´^p^`)
尚、くおきた君は
『俺じゃなくて良かったーっ!』と
ほっとしてる様子w(◜¬◝ )
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりアイチュチュ。バニーの日。
Twitterで画像小説として投稿したものと同じになります。
バニーの日2022「いらっしゃいませ!」
練習後の喉の渇きを癒そうかと喫茶アンゼリカに入ったアイオーンは、目を丸くしてぱちくりとした。
そこでは銀のトレイを掌に乗せたチュチュが立っていた。
普段の姿ならこんなに驚きはしない。
彼女の様相は露出の高い真っ赤なレオタードに、ただでさえスタイルの良い脚をよりスレンダーに魅せる黒いタイツ、そしてハイヒール。いつだったか見た事のあるバニーガールの格好だった。
「そ、その聖衣は?」
「本日はこのお店で一日アルバイト体験をさせて貰ってますの。これは今日という日がバニーの日という事で、再び着てみましたの。さあ、お席へどうぞ」
「あ、ああ」
彼女と二人きりの時には行わないいつものポーズが自然と出る。
479練習後の喉の渇きを癒そうかと喫茶アンゼリカに入ったアイオーンは、目を丸くしてぱちくりとした。
そこでは銀のトレイを掌に乗せたチュチュが立っていた。
普段の姿ならこんなに驚きはしない。
彼女の様相は露出の高い真っ赤なレオタードに、ただでさえスタイルの良い脚をよりスレンダーに魅せる黒いタイツ、そしてハイヒール。いつだったか見た事のあるバニーガールの格好だった。
「そ、その聖衣は?」
「本日はこのお店で一日アルバイト体験をさせて貰ってますの。これは今日という日がバニーの日という事で、再び着てみましたの。さあ、お席へどうぞ」
「あ、ああ」
彼女と二人きりの時には行わないいつものポーズが自然と出る。
孤宮カヅキ
DONE #SB69版深夜の真剣お絵描き60分一本勝負S久々参戦!
-----------Twitterここまで-----------
投稿前にゆがみツールでガッと変えたら思わぬところまで歪んだので、pixivにまとめる時は直したやつを載せる。
シュウ☆ゾーくんのスカーフはどこから出てんねやろ🤔
あとアニメカラーは首にヘッドホンないと結構地味になるね。
頭部が派手なので良いのですが。
小さな葉っぱ
DONESB69よりロムモア。Twitterでモアちゃん誕生祭2022に投稿した画像小説と同じものになります。
この星で出会えたあなた彼はバンドマンでもあり、会社で働く社会人でもある。日曜である今日も片付けたい仕事があると事前に聞かされていた。
だから昼間に会う事は叶わない。そう諦めていた。筈だった。
寮のインターホンが鳴って応対してみると、汗だくで息を切らせたクールビズな半袖カッターシャツの彼がそこに立っていた。
「これ、ケーキだ。誕生日リアルにおめでとう。メンバーにも作って貰うかも知れねえから、小さいのにしたけどよ」
「もしかして、休憩時間に急いで来てくれたぴゅる?」
「そういう事は男に言わせねえのがお約束だぜ?」
『水も滴るいい男』、最近覚えたこの星の言葉。汗水垂らす中ニッと笑う彼はまさにそれだった。
心が喜びで高鳴る。嬉しいのはケーキもだが、誕生日である自分の為に必死となって駆け付けてくれた心と姿に胸を打たれた。
478だから昼間に会う事は叶わない。そう諦めていた。筈だった。
寮のインターホンが鳴って応対してみると、汗だくで息を切らせたクールビズな半袖カッターシャツの彼がそこに立っていた。
「これ、ケーキだ。誕生日リアルにおめでとう。メンバーにも作って貰うかも知れねえから、小さいのにしたけどよ」
「もしかして、休憩時間に急いで来てくれたぴゅる?」
「そういう事は男に言わせねえのがお約束だぜ?」
『水も滴るいい男』、最近覚えたこの星の言葉。汗水垂らす中ニッと笑う彼はまさにそれだった。
心が喜びで高鳴る。嬉しいのはケーキもだが、誕生日である自分の為に必死となって駆け付けてくれた心と姿に胸を打たれた。
小さな葉っぱ
DONESB69よりヤスほわ。Twitterでヤスくん誕生祭2022に投稿した画像小説と同じものです。
メンバーにも内緒の秘密の恋設定。
手遊びキッス「ヤスくん!」
振り返ったのは名前を呼ばれたからだけじゃない。好きなあの娘の、頭に付いた紐リボンの音が聞こえて来たから。
振り返った瞬間に唇に柔く当たるなにか。驚きつつ動けないまま、寄り目気味に見下ろして確認する。
それはキツネを形作った彼女の手。口に該当する部分にキスをされていた。
「いきなりごめんね。誕生日のキスに憧れもあったんだけど、このスタジオの中だとみんなに見られちゃうかも知れないから」
『誕生日おめでとう』と、いつも通りほわほわな笑顔を向けてくれる彼女。
「まあ、なんていうか……ありがとよ」
自分もキツネを手で作り、手遊びの接吻を一瞬だけ彼女のキツネへ贈り返した。
(おわり)
299振り返ったのは名前を呼ばれたからだけじゃない。好きなあの娘の、頭に付いた紐リボンの音が聞こえて来たから。
振り返った瞬間に唇に柔く当たるなにか。驚きつつ動けないまま、寄り目気味に見下ろして確認する。
それはキツネを形作った彼女の手。口に該当する部分にキスをされていた。
「いきなりごめんね。誕生日のキスに憧れもあったんだけど、このスタジオの中だとみんなに見られちゃうかも知れないから」
『誕生日おめでとう』と、いつも通りほわほわな笑顔を向けてくれる彼女。
「まあ、なんていうか……ありがとよ」
自分もキツネを手で作り、手遊びの接吻を一瞬だけ彼女のキツネへ贈り返した。
(おわり)