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    #鍾タル

    zhongchi

    のくたの諸々倉庫

    DONEいずれ永遠へとつながる奇跡/鍾タル人というものは不変の日常に、「いつもと同じ」であることに安堵しながらも、望む以上を与えられれば絶望する生き物だと聞いた。
    「おはよう先生、元気してる?」
    「……ああ、公子殿か。そうだな、健康状態が良好かどうか……という意味でなら、おそらく元気であるだろうよ」
    「はは、どうしたのその言い方。まるで心は元気じゃない、みたいに言ってるように聞こえるけど」
     俺の部屋を訪ねるなり、ソファにどっかりと腰を下ろした公子殿。人好きのする笑顔を浮かべ、けれど深海のように濁る瞳で──しばし思案の海に沈む俺を、「先生?」と不思議そうに呼んだ。
    「どうしたのさ、本当は体調悪いんじゃないの?」
    「……お前たちが異常だと、病的だと呼ぶ事柄について……少し考えを巡らせていた」
    「へえ、例えば?」
    「例えば……そうだな、公子殿はもし今この瞬間から、その身が不老の存在になったとしたならばどうする?」
    「難しい質問だねえ……まあそれが誰に言われたか、どんな瞬間にどのように言われたかでも信じるか信じないかは変わるね。不老かどうかなんてさ、そこそこ時間が経たないと分からないだろうし……というかそこ、不死はつけなくていいの? 1804

    のくたの諸々倉庫

    DONE転生学パロ鍾タル。なんでも許せる方向け。「タルタリヤ、少しいいか」
    「……なあに、先生」
     呼び止められて嫌々振り向く、素行の悪い生徒と生真面目な教師。おそらくそれが、俺たちが周囲から得ている認識だろう。
    「ていうかいつも言ってるけどさ、俺の名前はアヤックスだって。いつまで学園祭のノリ引きずってるわけ?」
    「む、いけなかっただろうか。ならば公子殿、と呼んだ方がいいか?」
    「だからそれは役の名前でしょ、俺の名前忘れたの?」
     窓の外から差し込む光は、とうに夕暮れの色に染まり。帰宅部の俺をいつも引き留め、いつも何かしらの理由で長話に付き合わせてくる彼──鍾離先生の姿を鮮やかに照らす。
    「……忘れたように、見えるか?」
    「な、んで悲しそうなのさ。ごめんごめん、地雷踏んだなら謝るって。
     ……だからその、俺今日は早く帰りたいなーとか……」
    「駄目だ。お前はテストで点を取るくせに、課題の提出状況も授業態度も悪すぎるからな……その分の補習だ、それが嫌なら真面目に授業を受けることだな」
     そうして首根っこを掴まれ、ずるずる引きずられていく俺を、「またやってるよ」と周りは笑いながら見ている。まったく、俺の気も知らないで。
     ──実のところ、 2455

    yktuki

    DONE知らぬ間に同人誌が発行される鍾タルの話。
    10割モブしか話してないです。
    それでも筆を取るのでしょう


    桃白は瑠璃亭で働く従業員の一人だ。
    店内の清掃に始まり、倉庫の整理、入荷伝票の確認、接客、会計、顧客の管理まで幅広くこなすことを要求される瑠璃亭の従業員の中でも勤務期間で言えばちょうど中堅といえるような従業員である。大きなミスもなく、調理師や管理人との仲も悪くもなく、もちろん同じ従業員たちのなかでも“普通に優秀”と言われるような、瑠璃亭の従業員であることに恥じない品行方正な人間であると自負している。
     そんな桃白の最近の悩みの種であり生きる糧でもあるのが、作家活動である。
     …作家などとおこがましいのだが、他にどう言って良いのか分からない。同好の士が集まる中で更に同じ趣味嗜好を持つ同人たちで活動を行っており、桃白は文字を綴り、本を作っているというだけの話であることは最初に言わせて貰いたい。
     自分で言うのもどうかと思うのだが、桃白は手際が良く仕事を苦だと思ったことはない。なので、その傍らで活動をしていても今までは全く問題がなかったのだが、最近はそういうわけにもいかなくなった。
     その理由の一つが璃月の変化である。
    迎仙儀式を機に暗雲が立ちこめはじめた璃 6778

    yahiro_69

    DONE朝チュンチュンぴーちくぱーちくぴよよよよの鍾タル
    急に始まって急に終わるけどごはんたべるのがメインです 粥っていうか雑炊
    忙しなくピィピィとさえずる鳥の声に、『公子』タルタリヤは眉を寄せながらゆっくりと目を開いた。
    まだ少しぼんやりとした頭で辺りを見回せばそこは見慣れた自室ではなく。
    落ち着いた品のある調度品たちやふわりと優しく香る霓裳花の香に、ここが鍾離の部屋だということを思い出した。

    「(そういえば昨晩は先生の部屋でしようって言ったんだっけ)」

    承諾はされたものの、やや困ったような笑みを浮かべていたのを思い出した。
    日が昇ってからというもの鍾離の飼っている鳥が鳴き続けているが、愛らしいさえずりもここまで続くともはや騒音でしかない。
    だから普段外に宿を取るか『公子』に充てられた部屋でしか夜を過ごさなかったのかと今になってようやく理解をした。
    いやそういうことは先に言ってよ先生。

    「起きたか公子殿、ちょうど朝餉の粥ができたところだ」

    深く溜息をついたタルタリヤが声の方へ視線を上げると、にこやかに土鍋を持って歩いてくる鍾離と目があった。
    甘い香に混じって食欲をそそる卵粥の温かなまろい香りが漂ってくる。
    少々時間感覚がおかしく凝り性のあり舌も肥えたこの元魔神のことだから、きっとかなり手の込んだものなの 2403

    yktuki

    DONE鍾タルは添えるだけ。
    誤字脱字は後々直します。
    智の渦に溺れるなかれ

    香菱がいる時の万民堂に外れはない、と言うのは璃月では知る人ぞ知る有名な話ではあるが、大衆食堂という形式をとっている以上それが例外になる場面は稀にある。
     例えば、千客万来で店が一等忙しいとき。それかお酒が回った客がはしゃぎすぎたとき。そしてなにより、今。
    「はじまりました!万民堂格付けチェック!今日の特別ゲストはスネージナヤの使節様だよ!」
    いや、なんだこれ。
     仕事が終わった足で旅人に呼ばれるままにタルタリヤが万民堂に来てみれば、夜の璃月には珍しくもない酔っ払いたちの真ん中で万民堂の人気を支える件の看板娘が木べらを片手に椅子の上で音頭をとっていた。お行儀が悪いから止めた方が良い。
     その直ぐ横には香菱の言葉に併せて楽器をかき鳴らす娘さん(たしか辛炎と言ったか)がこちらもご機嫌に身体を揺らし、その横ではニコニコと笑う少年が暢気に茶を啜っていた。
    「提供は飛雲商会さん!代表代理として行秋君から一言どうぞ!」
    「皆さん頑張ってください。あと僕の独断なので兄たちにはご内密にお願いします」
    いや、なに言ってんの本当。
     重ねて言うが、仕事が終わった足でここに訪れたタルタ 5408