野イタチ
DONE包こりゅ/おおこりゅキス22箇所11個目、腕(恋慕)です
まだ、ふんわり両片想いの二振りです。
十一、腕(恋慕) 畑当番の終わりかけだった。
「大包平。血が出てる」
小竜は大包平の腕をとった。赤い筋が出来ている。
「小枝にでも引っかけたのだろう。舐めたら治る」
小竜はじっとその傷跡を見て、顔を近づけた。それから小竜はペロリとその傷を舐める。
「なっ」
大包平は分かりやすく驚いた。
「だって、舐めると治るって言ったじゃない」
小竜は、ニヤニヤと大包平の顔を見る。
「言ったが、それはそういう意味ではなくてな」
「分かってるよ。ちょっとからかってみただけ」
小竜の舌には、まだ大包平の血の味が残っている。大包平はため息をついた。
「おまえはいつもそうだ」
大包平は小竜の顔を見るが、小竜は前を見ていたので、綺麗な横顔しか見れなかった。
「誰にでもこんなことをしているのか?」
1114「大包平。血が出てる」
小竜は大包平の腕をとった。赤い筋が出来ている。
「小枝にでも引っかけたのだろう。舐めたら治る」
小竜はじっとその傷跡を見て、顔を近づけた。それから小竜はペロリとその傷を舐める。
「なっ」
大包平は分かりやすく驚いた。
「だって、舐めると治るって言ったじゃない」
小竜は、ニヤニヤと大包平の顔を見る。
「言ったが、それはそういう意味ではなくてな」
「分かってるよ。ちょっとからかってみただけ」
小竜の舌には、まだ大包平の血の味が残っている。大包平はため息をついた。
「おまえはいつもそうだ」
大包平は小竜の顔を見るが、小竜は前を見ていたので、綺麗な横顔しか見れなかった。
「誰にでもこんなことをしているのか?」
野イタチ
MOURNING包こりゅ/おおこりゅ修行から帰ってきたばかりの大包平と小竜の話です。
大包平が修行から帰ってきました 大包平が修行から帰ってきた。玄関がざわついている。小竜は人垣の後ろから様子を伺う。なんとなく、真っ先に出迎える気分にはならなかった。小竜は他の刀に比べればゆっくりと、その刀達の中にまぎれていった。わいわいとしている他の刀達を見ながら、小竜は静かに考える。
(これから主に報告して、そのあとは宴だなあ。それが終わったら……来てくれるかな?)
大包平も疲れているだろうし、宴会は朝まで続くかもしれない。それでも、二三事、二人で話したいと小竜は思った。大きな刀も多いので、小竜は背伸びをして、帰ってきた大包平を見る。
(なんか顔つきが違う)
もとから、精悍な顔つきだが、それがさらに引き締まっている感じがする。それは、きっと気のせいなんかじゃない。ともすれば、食いかかるように見えた、目は、形はそのままに落ち着いた光を宿している。誰かと言い争うことの多かった唇も、今は笑みすらたたえて、柔らかに見えた。
1619(これから主に報告して、そのあとは宴だなあ。それが終わったら……来てくれるかな?)
大包平も疲れているだろうし、宴会は朝まで続くかもしれない。それでも、二三事、二人で話したいと小竜は思った。大きな刀も多いので、小竜は背伸びをして、帰ってきた大包平を見る。
(なんか顔つきが違う)
もとから、精悍な顔つきだが、それがさらに引き締まっている感じがする。それは、きっと気のせいなんかじゃない。ともすれば、食いかかるように見えた、目は、形はそのままに落ち着いた光を宿している。誰かと言い争うことの多かった唇も、今は笑みすらたたえて、柔らかに見えた。
dokumamushidou
MOURNINGこすはんです……出るかもしれないし出ないかもしれない……捕えた蝶は嘘を囀る 「やあ、泛塵君。気分はどうかな」
「あんたが来なければ最高だよ、穴山小助」
真田信繁に成りすましていた大千鳥十文字槍は逃してしまったが、代わりに助けに来た脇差を捉えた。独り捉えられてもう幾日か経つというのに、相変わらず殺気を放ち睨みつけてくる。
「一体何の用だ?……聞いたところで応じる気はないがね」
「僕達の要求は、信繁様の事。そして、この時代から手を引いて欲しい、その二点だけだ」
「何度も同じ答えで申し訳ないが、それは出来ない」
「……」
堂々巡りだ。いっそ見せしめに望月の言うように解体してしまうか?いや、そんな事をしても意味がない。説得できるのであれば。……そして。
「君からは、僕たちと同じ真田に仕えたものの匂いがする。真田十勇士と刀剣男士、僕たちは似ている」
746「あんたが来なければ最高だよ、穴山小助」
真田信繁に成りすましていた大千鳥十文字槍は逃してしまったが、代わりに助けに来た脇差を捉えた。独り捉えられてもう幾日か経つというのに、相変わらず殺気を放ち睨みつけてくる。
「一体何の用だ?……聞いたところで応じる気はないがね」
「僕達の要求は、信繁様の事。そして、この時代から手を引いて欲しい、その二点だけだ」
「何度も同じ答えで申し訳ないが、それは出来ない」
「……」
堂々巡りだ。いっそ見せしめに望月の言うように解体してしまうか?いや、そんな事をしても意味がない。説得できるのであれば。……そして。
「君からは、僕たちと同じ真田に仕えたものの匂いがする。真田十勇士と刀剣男士、僕たちは似ている」
野イタチ
DONE包こりゅ/おおこりゅキス22箇所10個目、胸(所有)です。
ワンドロで書いたので、なんか勢いがあります。いちゃいちゃしててくれ。
十、胸(所有) 小竜は大包平の上にひっついていた。互いの体温が心地いい。小竜は大包平の胸に耳を当て、その鼓動を聞いていた。大包平の身体に小竜の長い髪が広がっている。大包平は指にその髪を絡めたり、撫でたりしていた。小竜は猫のように、大包平の胸にすりすりと頬を当ててくる。
「珍しいな」
大包平が小竜の髪を掬う。指の隙間から金がこぼれた。
「俺だって甘えたいときがあるよ」
小竜は大包平の厚い胸板に唇を付けた。
そういう質なのか、小竜は大包平にベタベタとしてこない。こうして抱きついてくるなど、滅多にない。
「そうか」
ならば、好きに甘えさせてやろう。大包平は大きな手を小竜の頭に置いた。
ちろりと小竜が、大包平の乳首を舐める。
「くすぐったい」
956「珍しいな」
大包平が小竜の髪を掬う。指の隙間から金がこぼれた。
「俺だって甘えたいときがあるよ」
小竜は大包平の厚い胸板に唇を付けた。
そういう質なのか、小竜は大包平にベタベタとしてこない。こうして抱きついてくるなど、滅多にない。
「そうか」
ならば、好きに甘えさせてやろう。大包平は大きな手を小竜の頭に置いた。
ちろりと小竜が、大包平の乳首を舐める。
「くすぐったい」
野イタチ
DONE #ひらいて赤ブー刀◯乱◯・小竜受けオンリー
『旅する竜の拠り所』
次回の開催をお願いします。
投稿とRT集計らしいので、RTだけでもお願いします!
包こりゅ/おおこりゅのキス22箇所、九つ目の背中(確認)です。イチャイチャカップルです。背中……?
九、背中(確認) まだ、指先が甘く痺れている。小竜はうっすらと目を開けている。やがて意識がはっきりしてくると、気だるい身体を起こした。目の前に先に起きていた大包平の裸の背中がある。小竜はぼんやりとした頭のまま、大包平の背中にもたれかかる。
「どうした?まだ眠っていていいぞ」
「起きちゃったから」
大包平の背中にもたれかかったまま、小竜が言う。ふと向けた視線の先に、自分が引っ掻いた痕を見つけた。大包平に愛された証拠だ。小竜はその背中の痕に唇を当てた
「小竜?」
背中にかかる小竜の体重を感じて、大包平は首をひねって小竜を見る。小竜は背中の真ん中のあたりに額をつけているので、大包平からは、はねた髪しか見えなかった。
「うん。いや、なんかその……」
867「どうした?まだ眠っていていいぞ」
「起きちゃったから」
大包平の背中にもたれかかったまま、小竜が言う。ふと向けた視線の先に、自分が引っ掻いた痕を見つけた。大包平に愛された証拠だ。小竜はその背中の痕に唇を当てた
「小竜?」
背中にかかる小竜の体重を感じて、大包平は首をひねって小竜を見る。小竜は背中の真ん中のあたりに額をつけているので、大包平からは、はねた髪しか見えなかった。
「うん。いや、なんかその……」
ぷるにゃ
DOODLE分けた不穏なむつiひぜこんな感じ
重症で、このままだとこいつs…状態のむちゃんを抱えて自分の首ごとガッの体勢だけどこの後思い直して這う這うの体で帰還
3月13日
敵が化けてる偽物のむっちゃん倒せるか問題追加 3
野イタチ
SPOILER包こりゅ/おおこりゅ💮華を初日に二回見た人の強めの幻覚です。
華のネタバレです。💮本丸軸のお話です。苦手な人はご注意ください。独自設定もあります。大丈夫な方はどうぞ。
PW ok/no 3121
野イタチ
DONE包こりゅ/おおこりゅのキス22箇所、六つ目の頬(親愛、厚意、満足感)です。子供みたいな彼らもいいなと思いました。六、頬(親愛、厚意、満足感) 特別じゃなくていい。ただそこにあって居てくれればいい。
小竜は、マントにくるまって、南泉のように縁側に転がっていた。うとうとと庭の水やりをしている、大包平を見ている。
「サボるな。小竜。」
今日の当番は庭の水やりだ。本丸には大小さまざまな庭が多くあるので、水やりも一苦労だ。もちろん彼らが全部に水をやるわけではなく、他の当番同様、皆で手分けをしてやる。今日彼らが割り当てられた、若葉が生い茂る庭は、太刀の二振りでやるには、手狭だった。
「今日は当たりさ。がんばって、大包平。」
すっかり昼寝を決め込んだ小竜が目を閉じる。
「小竜。」
大包平は叱るように低く名前を呼んで、小竜からマントを剥ぎとる。文字通りくるまってた小竜は、くるくると回って縁側を転がっていく。
1244小竜は、マントにくるまって、南泉のように縁側に転がっていた。うとうとと庭の水やりをしている、大包平を見ている。
「サボるな。小竜。」
今日の当番は庭の水やりだ。本丸には大小さまざまな庭が多くあるので、水やりも一苦労だ。もちろん彼らが全部に水をやるわけではなく、他の当番同様、皆で手分けをしてやる。今日彼らが割り当てられた、若葉が生い茂る庭は、太刀の二振りでやるには、手狭だった。
「今日は当たりさ。がんばって、大包平。」
すっかり昼寝を決め込んだ小竜が目を閉じる。
「小竜。」
大包平は叱るように低く名前を呼んで、小竜からマントを剥ぎとる。文字通りくるまってた小竜は、くるくると回って縁側を転がっていく。
野イタチ
DONE包こりゅ/おおこりゅのキス22箇所、五つ目の愛玩です。お互い可愛がってほしい四、鼻梁(愛玩) 甘やかされてると思う。大包平のいない布団の中で、小竜は目を覚ます。夜はまだ深い。大包平はいつも、朝、ギリギリまで、布団の中で小竜を抱きしめているのに、どうしたのだろう。だか部屋に大包平の気配はする。大包平が居たのは、小竜の部屋の唯一外を向いた、障子の先の濡れ縁だ。庭は小さな、寂しい庭だった。手酌をしているかと思ったが、そうではない。月も見えない庭の何を見ているのだろう。
「ああ、起こしてしまったか。」
大包平は障子を閉める。そこで、小竜は思い出した。明日は大包平に召集がかかっている。眠気覚ましに風に当たってたということか。
「大包平。こっちきてよ。」
甘えているのは、自分の方かもしれない。こちらに向かってくる大包平を見ながら、小竜は思った。
1392「ああ、起こしてしまったか。」
大包平は障子を閉める。そこで、小竜は思い出した。明日は大包平に召集がかかっている。眠気覚ましに風に当たってたということか。
「大包平。こっちきてよ。」
甘えているのは、自分の方かもしれない。こちらに向かってくる大包平を見ながら、小竜は思った。
野イタチ
DONE包こりゅ/おおこりゅのキス22箇所、四つ目の誘惑です。連続で屋外みたいな話が続きましたが、偶然です。四、耳(誘惑) 好きだという感触がある。一瞬と言い換えた方が正しいのかもしれないが、それにしては、長く残る。感触と言った方が、小竜の感覚にはしっくりくる。大包平にたびたび、それを覚えてしまう自分がいる。それは、案外いくつもあって、彼が笑っているときや、真剣な横顔や、普通に飯を食べているときに、何度も思う。
日差しが強い、大包平の着ているインナーは汗で濡れていた。畑を耕すという重労働をやり終えたばかりだ。
「悪いね。」
小竜は一人で馬当番をしていた。ただ単に人手が足りなくて、小竜が一人でやることになっただけだ。時間をかければ終わる作業だし、馬たちが不満を漏らすのは、飼い葉の時間くらいだろう。それより畑を耕すという大仕事の方が大事だ。しかし、そんな小竜の手伝いを買ってでたのは、大包平だ。そちらの方が大変だからいいと、小竜が断ったのに、大包平は頑として譲らなかった。
1058日差しが強い、大包平の着ているインナーは汗で濡れていた。畑を耕すという重労働をやり終えたばかりだ。
「悪いね。」
小竜は一人で馬当番をしていた。ただ単に人手が足りなくて、小竜が一人でやることになっただけだ。時間をかければ終わる作業だし、馬たちが不満を漏らすのは、飼い葉の時間くらいだろう。それより畑を耕すという大仕事の方が大事だ。しかし、そんな小竜の手伝いを買ってでたのは、大包平だ。そちらの方が大変だからいいと、小竜が断ったのに、大包平は頑として譲らなかった。
野イタチ
DONE包こりゅ/おおこりゅのキス22箇所、三つ目の憧憬です。一応両片想い。付き合ってないのに、キスさせるの大変でした。三、瞼(憧憬) 朝顔が目を覚ます。丸まった花弁が日の出に合わせるように、ゆっくりと開いていく。緑簾のために建てられた支柱には、もう屋根の方まで、蔓が伸びている。
(切ればいいのか?)
大包平は屋根を見上げて、そう思った。
始めたのは短刀たちだった。暑さが本格的になる前に、簾をかけるはずが、いつの間にか朝顔にすりかわっていた。誰かがそうするとただの簾より綺麗だと言ったらしい。短刀たちは初めこそ世話をしていたものの、花が咲いたら飽きたらしく、部屋が近いという理由で、大包平が世話をしていた。今、短刀たちは向日葵に夢中らしい。
(初志貫徹しないとは、どういうことだ)
大包平は深く息をはいた。
大包平はとくに植物が好きというわけでもないし、育て方も知らない。勝手に部屋の前にこんなものを作られた身になってほしい。
1965(切ればいいのか?)
大包平は屋根を見上げて、そう思った。
始めたのは短刀たちだった。暑さが本格的になる前に、簾をかけるはずが、いつの間にか朝顔にすりかわっていた。誰かがそうするとただの簾より綺麗だと言ったらしい。短刀たちは初めこそ世話をしていたものの、花が咲いたら飽きたらしく、部屋が近いという理由で、大包平が世話をしていた。今、短刀たちは向日葵に夢中らしい。
(初志貫徹しないとは、どういうことだ)
大包平は深く息をはいた。
大包平はとくに植物が好きというわけでもないし、育て方も知らない。勝手に部屋の前にこんなものを作られた身になってほしい。
ぷるにゃ
DONE膝膝 腐向け第一回webオンリー 『蛇の恋は薄緑色』 に展示させて頂きました両片想い膝膝です。
加筆修正し投稿し直しました。
少し見やすくなったかと思います。
以前のものは進捗として別に残してあります。 22
野イタチ
DONEおおこりゅ(包こりゅ/大こりゅ)キス22箇所 額(祝福/友情)です。
祝福でも友情でも無い気がしますが、とりあえず額にはキスしてます。
二、額(祝福/友情) 召集がかかった後の本丸は慌ただしい。出陣する刀たちはもちろん、装備品や弁当など、それを用意する者たちも、一斉にバタバタと廊下を行き来する。あらかじめ、審神者の指示はあるが、それでも、念には念を入れる。誰しも誰一人として欠けたくはない気持ちは強い。
「大包平。そろそろ支度しなくちゃ。」
小竜は大包平に抱かれていた。
「まだ、時間はあるだろう。」
大包平は小竜の首筋の竜に舌を這わす。
「出陣のとき、足腰立たなくなってたら、どうするつもりさ。」
「そこまではしない。」
「嘘は言わない。」
小竜は何とかして、大包平の腕から脱出しようとするが、大包平はなかなか離してくれなかった。
「本当に遅れるから、離してくれる?」
小竜が真面目な顔で大包平を見る。その顔に、さすがの大包平も手を離さずにはいられなかった。
1055「大包平。そろそろ支度しなくちゃ。」
小竜は大包平に抱かれていた。
「まだ、時間はあるだろう。」
大包平は小竜の首筋の竜に舌を這わす。
「出陣のとき、足腰立たなくなってたら、どうするつもりさ。」
「そこまではしない。」
「嘘は言わない。」
小竜は何とかして、大包平の腕から脱出しようとするが、大包平はなかなか離してくれなかった。
「本当に遅れるから、離してくれる?」
小竜が真面目な顔で大包平を見る。その顔に、さすがの大包平も手を離さずにはいられなかった。
野イタチ
DONEおおこりゅ(包こりゅ/大こりゅ)のキス22箇所です。はたして最後まで行けるのか、試してみたいとおもいます。応援してくれると、モチベーションの向上につながります。一、髪(思慕) 小竜の金髪は本丸の中でも艶やかな色をしている。言い得れば、滑るように落ち着いた金だ。大包平は見るたびにその髪に見惚れる。
「だから、やめてよ、大包平。」
大包平は、さっきから、その髪を櫛で梳いている。そんなに綺麗な髪をしているのに、彼の髪はいつも不揃いで、その上、それを結って、ピンで固定している。髪が長いのにもったいないと、常日頃、思っていた。小竜の部屋で、彼が髪を下ろしているのを機会に大包平は、ほぼ無理やり小竜の髪を梳かしている。櫛どおりはいい。下ろしていない方が不思議なくらいだ。
「なぜ、こんな美しいのに、下ろさん。」
大包平の物言いは、いつも思ったことをそのまま言う。
「それは、さっきも言っただろう。大般若みたいな髪質じゃないから、下ろすと邪魔なんだよ。」
1343「だから、やめてよ、大包平。」
大包平は、さっきから、その髪を櫛で梳いている。そんなに綺麗な髪をしているのに、彼の髪はいつも不揃いで、その上、それを結って、ピンで固定している。髪が長いのにもったいないと、常日頃、思っていた。小竜の部屋で、彼が髪を下ろしているのを機会に大包平は、ほぼ無理やり小竜の髪を梳かしている。櫛どおりはいい。下ろしていない方が不思議なくらいだ。
「なぜ、こんな美しいのに、下ろさん。」
大包平の物言いは、いつも思ったことをそのまま言う。
「それは、さっきも言っただろう。大般若みたいな髪質じゃないから、下ろすと邪魔なんだよ。」
野イタチ
DONE #兼堀欠席のお詫びに、せめてもの、兼堀です。夏はなんだかんがいって好きです。
ある夏の日 蝉時雨が降りそそぐ。障子は開けはなたれていて、温い風が風鈴を揺らした。畳に大の字になった彼を、僕は団扇であおいでいる。彼は眠ってしまったので、あおぐ手はおざなりだ。僕は目も眩むような青空を見つめ、太陽と木陰が作り出す、はっきりとした陰影と、どこにいるかも分からない蝉の声を聞く。まるで絵画を切り取ったような夏の風景だ。
僕はほとんど、あおいでいない、団扇を置き、自分も寝そべる。さっきまで見ていた、景色ががらりと変わって、見慣れた天井になった。蝉の声だけが、どこへいてもついてくる。
「兼さん。」
名前を呼んでも返事はない。本当に寝入ってしまったようだ。僕は寝返りをうって、彼を見る。最初に目に入るのは、長い髪だ。せっかく整えた髪は寝乱れて絡まっている。夕方までには起こさないと、夕飯に間に合わないなあ。僕はそう思った。じっと彼を見る。指先をその髪に伸ばす。何度も櫛いているのだから、今さらその感触は新しいものではないのに、何度でも触れたくなる。そのたびに、僕は安心とも愛しさとも言えない感情におちいる。僕はさらに手を伸ばして、彼の指先に触れる。彼の肌が僕より冷たかったことなんて、数えるほどもない。僕はその手を握った。
709僕はほとんど、あおいでいない、団扇を置き、自分も寝そべる。さっきまで見ていた、景色ががらりと変わって、見慣れた天井になった。蝉の声だけが、どこへいてもついてくる。
「兼さん。」
名前を呼んでも返事はない。本当に寝入ってしまったようだ。僕は寝返りをうって、彼を見る。最初に目に入るのは、長い髪だ。せっかく整えた髪は寝乱れて絡まっている。夕方までには起こさないと、夕飯に間に合わないなあ。僕はそう思った。じっと彼を見る。指先をその髪に伸ばす。何度も櫛いているのだから、今さらその感触は新しいものではないのに、何度でも触れたくなる。そのたびに、僕は安心とも愛しさとも言えない感情におちいる。僕はさらに手を伸ばして、彼の指先に触れる。彼の肌が僕より冷たかったことなんて、数えるほどもない。僕はその手を握った。
野イタチ
DONEこのタイトルで書くのn回目なんですけど、好きだから使っちゃう。おおこりゅのピロートークです
三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい明け方、大包平は目を覚ます。遠くでカラスが鳴いている。まだ部屋の中は青く、陽は昇っていないようだ。大包平の腕の中で眠る小竜を見る。彼はまだ起きそうになかった。
夏至を抜けたいえ、昼は長く、夜は短い。二人で居ればなおのこと。起こすのも何かと大包平は思っていたが、指先が勝手に小竜の金色の髪を梳いた。ざんばらな猫っ毛は、髪を結っていないと、頬に落ちて邪魔そうだった。大包平はその髪を耳にかけてやる。その感触なのか、小竜がもそりと動いた。起こしてしまったのかと思ったら、大包平の胸の方に身体を寄せる。
(いつもは甘えてこないのに)
小竜の微かな仕草を見逃してしまうと、彼は本当にそっけない。だから、毎日小竜を見ていることになる。大人しくなるのは閨の中くらいか。小竜の髪を弄びながら、大包平は小竜の枕と化している、自分の腕を見る。そこには小竜が齧った痕が付いていた。日に日に小竜の噛み痕が増えていく。情事の時、小竜は尖った犬歯で、思いっきり噛んでくる。それは大包平が小竜に付けた赤い痕よりも、長く残る。数が増えるたびに、あまりまっすぐに話さない彼の、愛情のようで、大包平は嬉しかった。
1145夏至を抜けたいえ、昼は長く、夜は短い。二人で居ればなおのこと。起こすのも何かと大包平は思っていたが、指先が勝手に小竜の金色の髪を梳いた。ざんばらな猫っ毛は、髪を結っていないと、頬に落ちて邪魔そうだった。大包平はその髪を耳にかけてやる。その感触なのか、小竜がもそりと動いた。起こしてしまったのかと思ったら、大包平の胸の方に身体を寄せる。
(いつもは甘えてこないのに)
小竜の微かな仕草を見逃してしまうと、彼は本当にそっけない。だから、毎日小竜を見ていることになる。大人しくなるのは閨の中くらいか。小竜の髪を弄びながら、大包平は小竜の枕と化している、自分の腕を見る。そこには小竜が齧った痕が付いていた。日に日に小竜の噛み痕が増えていく。情事の時、小竜は尖った犬歯で、思いっきり噛んでくる。それは大包平が小竜に付けた赤い痕よりも、長く残る。数が増えるたびに、あまりまっすぐに話さない彼の、愛情のようで、大包平は嬉しかった。