sabasavasabasav
DOODLE主坊。坊ちゃんはあえて幸せにならないよう戒めてそうだなと思ったので、つい。頑固なにすくんに絆されてほしい…
▽
その日は朝から嫌な予感がしていた。
いつもは屋敷にいるはずのクレオがマリーに呼ばれ外出し、ならば家事手伝いでもと汚れ物を探せば今日に限って洗濯はセイラが全て済ませてしまっていた。料理の腕はからっきしである自覚があるだけに台所だけは立つ気が起きず、かといって外出するには本日は祭日で、人通りが多い場へ向かうのも気が引けた。
結果的に屋敷に留まらざるを得なかった暇を持て余していたティアにとって、玄関のベルが鳴らされた瞬間の喜びとは裏腹に、半ば本能に近い部分で嫌な感覚が湧いて出た。
後輩の、普段と変わらぬ元気な姿に絆されて、いつものように家の中へと招き入れた。これくらいならできると紅茶を淹れて差し出して。共に話をしながら渋い茶を飲み。それから──
3166その日は朝から嫌な予感がしていた。
いつもは屋敷にいるはずのクレオがマリーに呼ばれ外出し、ならば家事手伝いでもと汚れ物を探せば今日に限って洗濯はセイラが全て済ませてしまっていた。料理の腕はからっきしである自覚があるだけに台所だけは立つ気が起きず、かといって外出するには本日は祭日で、人通りが多い場へ向かうのも気が引けた。
結果的に屋敷に留まらざるを得なかった暇を持て余していたティアにとって、玄関のベルが鳴らされた瞬間の喜びとは裏腹に、半ば本能に近い部分で嫌な感覚が湧いて出た。
後輩の、普段と変わらぬ元気な姿に絆されて、いつものように家の中へと招き入れた。これくらいならできると紅茶を淹れて差し出して。共に話をしながら渋い茶を飲み。それから──
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DONE2主とルック(少しだけ坊ちゃんとルック)が会話する話。ルックは傍観者。序盤で既にオチが分かるのはご愛嬌で…… ▽
ノックもせずに部屋に足を踏み入れたルックの目の前に広がっていたのは、身動ぎもせず応接用のソファに沈み込んだ、情けない軍主の姿だった。取り柄とも言える跳ね返るほどの溌剌さも今は鳴りを潜めている。
「……何やってるの。だらしないな」
その姿に、ルックは思わず声に苦渋を滲ませた。
ルックの声が僅かに反響した執務室内は静寂に包まれており、辺りに人の気配は感じられない。目の前に寝そべるリアン以外の人物は席を外しているようだった。少なくとも、その姿からして軍師兼お目付役であるシュウがものの数分では帰って来ないことだけは察することができる。
勝手知ったるなんとやら、ルックはリアンが寝転がっていない、テーブルを挟んだ先にあるソファへと勢い良く腰掛けた。
4920ノックもせずに部屋に足を踏み入れたルックの目の前に広がっていたのは、身動ぎもせず応接用のソファに沈み込んだ、情けない軍主の姿だった。取り柄とも言える跳ね返るほどの溌剌さも今は鳴りを潜めている。
「……何やってるの。だらしないな」
その姿に、ルックは思わず声に苦渋を滲ませた。
ルックの声が僅かに反響した執務室内は静寂に包まれており、辺りに人の気配は感じられない。目の前に寝そべるリアン以外の人物は席を外しているようだった。少なくとも、その姿からして軍師兼お目付役であるシュウがものの数分では帰って来ないことだけは察することができる。
勝手知ったるなんとやら、ルックはリアンが寝転がっていない、テーブルを挟んだ先にあるソファへと勢い良く腰掛けた。
よるのなか
DONE主坊。2024/5/11〜12開催坊ちゃん受けWebオンリー「あなたの虜」展示作品です。開催おめでとうございます!国王End後、寝込む国王Ⅱ主を坊ちゃんが訪ねる話。
坊ちゃん∶アルト、Ⅱ主∶ミラン
繋がったその温もりを 目を開けると、今一番見たい顔がそこにあった。
「アルトさん」
思わず名前を呼ぶと、アルトは僅かに微笑んだように見えた。
「すまない、起こしてしまったか。どうだ、調子は」
そう問われ、ミランは自らの状況を改めて確認する。熱を出して寝込んでいた。少し前までは何ともなかったのだ。それが急に発熱し、体調が悪くなった。ふらふらしているところを元軍師である宰相に見つけられ、強制的にベッドに押し込まれて医者の診察を受けさせられ、この数日間薬を飲んで寝ていたのだった。だが、そのお陰で以前よりは少し良くなっている気がする。そう自らを分析したミランはアルトにそれを伝え、それから肩を落とした。
「……情けないなぁ……今までほとんどこんなことなかったし、少し前までは全然ぴんぴんしてたんですけど」
3143「アルトさん」
思わず名前を呼ぶと、アルトは僅かに微笑んだように見えた。
「すまない、起こしてしまったか。どうだ、調子は」
そう問われ、ミランは自らの状況を改めて確認する。熱を出して寝込んでいた。少し前までは何ともなかったのだ。それが急に発熱し、体調が悪くなった。ふらふらしているところを元軍師である宰相に見つけられ、強制的にベッドに押し込まれて医者の診察を受けさせられ、この数日間薬を飲んで寝ていたのだった。だが、そのお陰で以前よりは少し良くなっている気がする。そう自らを分析したミランはアルトにそれを伝え、それから肩を落とした。
「……情けないなぁ……今までほとんどこんなことなかったし、少し前までは全然ぴんぴんしてたんですけど」
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DONE主坊。と言いつつ主→坊であり、しかも坊ちゃんは出ない。にすと酒を飲み交わすシーナの話。
▽
酒が飲みたいから酒場に行こうとリアンが言い出したとき、シーナは思わず言葉に詰まった。
都市同盟やハイランドでは成人は十六歳、旧赤月帝国、現トラン共和国を基準にすると十五歳。幼い印章を与える顔立ちとは裏腹にリアンはああ見えて大手を振って飲酒が出来る年齢だ。
既に半年近くこの城で過ごしているが、シーナは今までリアンが祝辞以外で酒を飲んでいるところを見たことがなかった。それはナナミが頑なに許していないのも理由の一つではあるが、リアンが誰よりも諦めが悪く頑固であるのを知っているのもまたナナミでもある。飲酒を強く望めば最終的に彼女は折れる。そういった姿を見ていないのは、元々リアンは酒を求めてはいないからだった。
4614酒が飲みたいから酒場に行こうとリアンが言い出したとき、シーナは思わず言葉に詰まった。
都市同盟やハイランドでは成人は十六歳、旧赤月帝国、現トラン共和国を基準にすると十五歳。幼い印章を与える顔立ちとは裏腹にリアンはああ見えて大手を振って飲酒が出来る年齢だ。
既に半年近くこの城で過ごしているが、シーナは今までリアンが祝辞以外で酒を飲んでいるところを見たことがなかった。それはナナミが頑なに許していないのも理由の一つではあるが、リアンが誰よりも諦めが悪く頑固であるのを知っているのもまたナナミでもある。飲酒を強く望めば最終的に彼女は折れる。そういった姿を見ていないのは、元々リアンは酒を求めてはいないからだった。
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PAST主坊+クレオ、三都100の無配でした。 ▽
僕には、数歳差の先輩がいる。名を、ティア・マクドールという。
琥珀のような色の瞳に、鴉のように黒い色の髪を持っている。ふとしたときの眼差しが似ていると知り合いから言われたことがあるけれど、己の顔と彼の顔を見比べる機会なんて皆無で、その実感はない。それに、顔立ちはそこまで似ていないし、性格に至ってはほぼ真逆と言えるほどに別物だった。
頭脳明晰、武勇に優れた旧赤月帝国五将軍の嫡男。天賦の才がありながら、その実努力家でもある。その上、それを一切ひけらかさない。
見た目だけなら、巷で言うところの「かわいい少年」に見えるかもしれない。けれど、かけ離れた性格と大人顔負けの怜悧さに、同盟軍でも一線を引くように一目置かれていたことを覚えている。
6047僕には、数歳差の先輩がいる。名を、ティア・マクドールという。
琥珀のような色の瞳に、鴉のように黒い色の髪を持っている。ふとしたときの眼差しが似ていると知り合いから言われたことがあるけれど、己の顔と彼の顔を見比べる機会なんて皆無で、その実感はない。それに、顔立ちはそこまで似ていないし、性格に至ってはほぼ真逆と言えるほどに別物だった。
頭脳明晰、武勇に優れた旧赤月帝国五将軍の嫡男。天賦の才がありながら、その実努力家でもある。その上、それを一切ひけらかさない。
見た目だけなら、巷で言うところの「かわいい少年」に見えるかもしれない。けれど、かけ離れた性格と大人顔負けの怜悧さに、同盟軍でも一線を引くように一目置かれていたことを覚えている。
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DOODLE主坊。王様ED設定。デュナンの民を人質にして坊ちゃんをその場に縛り付けるにす、に滾って書いたもの。にす、少し狂うととんでもないことをしでかしそうな危うさがあっていいですね……
▽
──人の息吹を感じる。
喧騒から隔離された部屋で、歓声が遠くで聞こえた。
この国は都市同盟という名を捨て、デュナンとして産声を上げた。その、建国を祝して式典が行われている最中だ。
そんな中でティアは一人、部屋で本の頁を捲っている。
この部屋に鍵はかけられていない。見張りが立てられているわけでもない。だというのに、ティアはこの部屋を牢獄のようだと称した。
足下を見遣ると、存在しないはずの鎖が巻き付いているのが見える。雁字搦めにされたそれは、この部屋の先、明るい未来を夢見て王に期待する民草に繋がっていた。
約束の地にてジョウイと武器を交え、彼の想いとともに片割れの紋章を宿したリアンは、削られていた寿命が戻ってきただけではなく、強大な力の副産物としてティアと同じく体の成長を止めることとなった。
4494──人の息吹を感じる。
喧騒から隔離された部屋で、歓声が遠くで聞こえた。
この国は都市同盟という名を捨て、デュナンとして産声を上げた。その、建国を祝して式典が行われている最中だ。
そんな中でティアは一人、部屋で本の頁を捲っている。
この部屋に鍵はかけられていない。見張りが立てられているわけでもない。だというのに、ティアはこの部屋を牢獄のようだと称した。
足下を見遣ると、存在しないはずの鎖が巻き付いているのが見える。雁字搦めにされたそれは、この部屋の先、明るい未来を夢見て王に期待する民草に繋がっていた。
約束の地にてジョウイと武器を交え、彼の想いとともに片割れの紋章を宿したリアンは、削られていた寿命が戻ってきただけではなく、強大な力の副産物としてティアと同じく体の成長を止めることとなった。
リク@グレシルとシルビア受
DONE0718主坊(超元気な2主×のほほん坊っちゃん)
2枚目はセリフなしver
デート(2主談)中に何か(考えてない)を見つけて坊っちゃんにも見てもらおうとする2主に何を指してるのかわかってない坊っちゃんの図(長い)
祝祭3で影響受けてめちゃくちゃ描きたくなってますハイ!!
熱さを保っている内に描くんだ!!!!!
遅くなりましたが祝祭3お疲れ様でした!!!!!楽しかった!!!!!
見てくださった皆様、スタンプを押してくださった皆様に感謝申し上げます!!!!!ありがとうございました!!!!!
明日からマイペースに描きたいの描いていくぞー! 2
sabasavasabasav
DOODLE主坊「正直になれよ」という台詞が言わせたかった短文。
▽
先に、石畳を踏み込んだのはティアだった。
棒術において機敏な動きは利点である。成長を止めてしまった体は腕力はそこそこに大人にはない靭やかさを維持しており、ティアのトリッキーな戦い方に活かされている。敵はおろか味方まで翻弄するような動きは独りで戦い慣れた証でもあった。
逆を言えば、敵を前に背を向けるなど、継承戦争が終わってからというもの実行していなかった。天牙棍を握る手に力が入る。
このまま城内を走り抜けるのは得策ではない。デュナン城を案内はされたものの、宿星として滞在しているわけではないティアは、城の構造を隅々まで理解していない。闇雲に駆け回り袋小路に辿り着いてしまえば、為す術が無くなってしまう。
1684先に、石畳を踏み込んだのはティアだった。
棒術において機敏な動きは利点である。成長を止めてしまった体は腕力はそこそこに大人にはない靭やかさを維持しており、ティアのトリッキーな戦い方に活かされている。敵はおろか味方まで翻弄するような動きは独りで戦い慣れた証でもあった。
逆を言えば、敵を前に背を向けるなど、継承戦争が終わってからというもの実行していなかった。天牙棍を握る手に力が入る。
このまま城内を走り抜けるのは得策ではない。デュナン城を案内はされたものの、宿星として滞在しているわけではないティアは、城の構造を隅々まで理解していない。闇雲に駆け回り袋小路に辿り着いてしまえば、為す術が無くなってしまう。