aoki_log
DOODLE全てを失って、つなぎとめて、世界の片隅(エン国)でひっそり生きる二人の話。片腕を失って、角も折れた炎と、大きな火傷の痕をその身体に残しながら生き残ったドクターの話
残影こうべを垂れた葉先から溜まった雫が零れ落ちる。
まっしろに包まれた小さな村。
炎国の境にほど近いその村は、陽がのぼりきらない内から動き始めていた。
軒並み村の家にある煙突からは朝餉の煙が立ち昇っている。
だが、その村からほんの少し外れにある一軒の家。
まるで隠れるように立つ家は、しんと静まり返っている。
「んー。おや、おはよう、兄さん。早いねぇ」
小さな村の唯一の酒場。
稀に通りがかるトランスポーター向けとも言っていいほどに、大概は暇を持て余した村人の溜まり場と化すそこの店主が戸を開けると、通りがかった上背のある男に声をかけていた。
店主の声に男は頷いて返し、そのまま村の奥へと進んでいく。
向かうのは村の片隅にある一軒の家だ。
1980まっしろに包まれた小さな村。
炎国の境にほど近いその村は、陽がのぼりきらない内から動き始めていた。
軒並み村の家にある煙突からは朝餉の煙が立ち昇っている。
だが、その村からほんの少し外れにある一軒の家。
まるで隠れるように立つ家は、しんと静まり返っている。
「んー。おや、おはよう、兄さん。早いねぇ」
小さな村の唯一の酒場。
稀に通りがかるトランスポーター向けとも言っていいほどに、大概は暇を持て余した村人の溜まり場と化すそこの店主が戸を開けると、通りがかった上背のある男に声をかけていた。
店主の声に男は頷いて返し、そのまま村の奥へと進んでいく。
向かうのは村の片隅にある一軒の家だ。
nbsk_pk
DOODLEやられたのでやり返しに行く彼氏たちの話。Let sleeping dogs lie 合流した部下からの報告に耳を傾けていたシルバーアッシュは、通路の向こうから聞こえてきた足音にピンと耳を立てた。生まれたてのコータスより頼りないよたよたとした足取りを雪山の狩人である男が聞き間違えるはずがない。だがその響きがいつもよりもやや乱れている上に忙しないことが男の注意を引いた。さてどのように引き止めれば一番長く言葉を交わせるだろうかと脳みそをフル回転し始めた途端、頭上の耳がもうひとつの足音を捉えた。
「その男を捕まえろ!」
かけがえのない友の後ろから猛スピードで追いかけてきたのはロドスのオペレーターのひとりだった。鬼神もかくやという形相で一気に距離を詰める刀術師の手をすんでのところで躱しながら、小柄なフード姿の彼は覚束ない足取りでこちらへと駆けてくる。そのフェイスガード越しの視線が即座にシルバーアッシュから逸らされたため、雪豹の尾を一振りした狩人の行動は決まった。
1847「その男を捕まえろ!」
かけがえのない友の後ろから猛スピードで追いかけてきたのはロドスのオペレーターのひとりだった。鬼神もかくやという形相で一気に距離を詰める刀術師の手をすんでのところで躱しながら、小柄なフード姿の彼は覚束ない足取りでこちらへと駆けてくる。そのフェイスガード越しの視線が即座にシルバーアッシュから逸らされたため、雪豹の尾を一振りした狩人の行動は決まった。
ginzi_O5
DONEご都合アーツでブラッドブルードになった🥼との🔥🥼※センシティブ
🥼はベビちゃん級ブラッドブルードだから魅了効果は殆どないけど、🔥にとっては🥼ってだけで効果抜群っていう小ネタがあったりなかったり 10
aoki_log
DOODLEとある日の二人の会話の妄想(炎博)資材の買い出し班に紛れ込んで訪れた街。
通常通りに資材搬入のために動き出した買い出し班と一時別れ、ドクターは護衛を伴い街を散策していた。
「いい加減不機嫌そうな顔やめてほしいなぁ」
「・・・・・・」
『不機嫌そう、っていうより不機嫌じゃねぇの?あれは』
「でもさー、流石に気分転換したいじゃない?」
『俺に言うなよー』
誰もなにも居ない空間から聞こえる声に応対しつつ、ドクターは露店でいくつかの雑誌と新聞を購入してなにもない空間に手渡した。
何もない空間―――そこに控えていたイーサンがショルダーバッグへとドクターが購入したものを詰め込んでいく。
情報収集はやはり現地で鮮度のある方が良い。
もう一人の護衛役であるグラベルにも情報収集をお願いしてはある。
2817通常通りに資材搬入のために動き出した買い出し班と一時別れ、ドクターは護衛を伴い街を散策していた。
「いい加減不機嫌そうな顔やめてほしいなぁ」
「・・・・・・」
『不機嫌そう、っていうより不機嫌じゃねぇの?あれは』
「でもさー、流石に気分転換したいじゃない?」
『俺に言うなよー』
誰もなにも居ない空間から聞こえる声に応対しつつ、ドクターは露店でいくつかの雑誌と新聞を購入してなにもない空間に手渡した。
何もない空間―――そこに控えていたイーサンがショルダーバッグへとドクターが購入したものを詰め込んでいく。
情報収集はやはり現地で鮮度のある方が良い。
もう一人の護衛役であるグラベルにも情報収集をお願いしてはある。
nbsk_pk
DOODLE未来捏造。二人して円満退職して別天地に向かう話。「この金額で、ひとまず五年ほど君を雇いたいんだけど」
「ロドスは算数も出来ない人間を指揮官に据えていたのか?」
この男の肩書がひとつ失われる瞬間に居合わせるなど、以前の自分には想像だにしえなかっただろう。ロドスという会社はその役目を終えた。根絶など不可能と思われていた病はその治療法の突破口が発見され、今では各国企業がより性能の良い治療薬の開発にしのぎを削っている。傷だらけの理念は形を変えることなく広く受け継がれ、彼らの旗印は忙しく各地を飛び回っていた。その手に必要なのはもはや銃や剣ではなく知識と交渉のための人脈と通信インフラその他諸々。
ロドスという会社は確かに世界を変えたのだろう。そしてロドスにもまた変化が必要な時が来たのだ。
2486「ロドスは算数も出来ない人間を指揮官に据えていたのか?」
この男の肩書がひとつ失われる瞬間に居合わせるなど、以前の自分には想像だにしえなかっただろう。ロドスという会社はその役目を終えた。根絶など不可能と思われていた病はその治療法の突破口が発見され、今では各国企業がより性能の良い治療薬の開発にしのぎを削っている。傷だらけの理念は形を変えることなく広く受け継がれ、彼らの旗印は忙しく各地を飛び回っていた。その手に必要なのはもはや銃や剣ではなく知識と交渉のための人脈と通信インフラその他諸々。
ロドスという会社は確かに世界を変えたのだろう。そしてロドスにもまた変化が必要な時が来たのだ。
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DOODLE変な部屋に閉じ込められて秒で出てくる炎博。炎さんは博と出会ってすべてを失ったも同然なのでお前が言うなと思っている。攻が受の女装を見てグッとこないと出られない部屋 轟音に目を覚ますと今まさに恋人兼部下が自らの拳で壁を殴りつけているところだった。大柄なサルカズの膂力ですら傷ひとつつかない白い壁は、平然とした顔でその四角い部屋を四方から囲い込んでいた。
「あー……大体わかったけど、いちおう状況の報告を」
「お前のせいか」
「オーケイ、残りの疑問点が埋まったよ。ありがとう」
歯を剥き出しにするサルカズに謝礼を返しつつ、ぐるりと周囲を見回す。四角い部屋だ、私の執務室よりは狭いけど私室よりは広い。壁の一面にベッドが据え付けられていて、その反対側にはやたらと存在感を主張する大きなクローゼット。極めつけはそのクローゼットの扉に貼ってあるホワイトボードに書かれた一文だろう。
『攻が受の女装を見てグッとこないと出られない部屋』
4705「あー……大体わかったけど、いちおう状況の報告を」
「お前のせいか」
「オーケイ、残りの疑問点が埋まったよ。ありがとう」
歯を剥き出しにするサルカズに謝礼を返しつつ、ぐるりと周囲を見回す。四角い部屋だ、私の執務室よりは狭いけど私室よりは広い。壁の一面にベッドが据え付けられていて、その反対側にはやたらと存在感を主張する大きなクローゼット。極めつけはそのクローゼットの扉に貼ってあるホワイトボードに書かれた一文だろう。
『攻が受の女装を見てグッとこないと出られない部屋』
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DOODLE炎さんにエコバッグ持ってほしかった…!!!スイカ買い出し日和「スイカを買ってきてほしいんだけど」
このエコバッグに入るくらいの小玉で頼む、と差し出されたのはロドスで広く流通している折りたたまれた袋だった。真ん中にロドスのロゴが入っているだけのシンプルなバッグはその頑丈さからそれなりに人気があり、現在では様々なカラー展開を誇る品である。なぜエンカクがそんなことに詳しいのかというとこのエコバッグはロドス園芸部一同の愛用品であり、あるときは園芸用品の買い出しに、またあるときは実り過ぎた収穫物のおすそ分けにと大活躍中であるからである。
その渡された黒いバッグが導入最初期の頒布品であることを思い出しながら、エンカクは無言で説明の続きを促した。
「ウォッカ・スイカを作ろうと思うんだ。この前ホシグマに教えてもらったんだけど、ちょうど明日ロドスに顔を出すっていうから」
996このエコバッグに入るくらいの小玉で頼む、と差し出されたのはロドスで広く流通している折りたたまれた袋だった。真ん中にロドスのロゴが入っているだけのシンプルなバッグはその頑丈さからそれなりに人気があり、現在では様々なカラー展開を誇る品である。なぜエンカクがそんなことに詳しいのかというとこのエコバッグはロドス園芸部一同の愛用品であり、あるときは園芸用品の買い出しに、またあるときは実り過ぎた収穫物のおすそ分けにと大活躍中であるからである。
その渡された黒いバッグが導入最初期の頒布品であることを思い出しながら、エンカクは無言で説明の続きを促した。
「ウォッカ・スイカを作ろうと思うんだ。この前ホシグマに教えてもらったんだけど、ちょうど明日ロドスに顔を出すっていうから」
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DOODLE炎さんの夏コーデがおやばすぎて気がついたら出来上がっていた。炎博バカンスデートしてくれ…「え、君って夏服持ってたんだ」
「それはこちらの台詞だ」
片や黒ずくめの戦闘服をノースリーブと涼しげな上着に、片やフードのついたロングコートを鮮やかなロドスブルーのパーカーと生成りのハーフパンツに。あまりにも見慣れぬ姿に同時に怪訝な顔になった両者が開口一番言い放ったのがそれだった。
「へっへーん、これは去年かわいいアーミヤに見立ててもらったものでーす。『そのお洋服のままですと、暑さで倒れてしまいますよ!』って。かわいくない? 私を心配してくれたんだよ」
「黒ずくめの不審者と一緒に歩きたくなかっただけだろう」
「オブラート! わかってるけどオブラートに包んで!」
さんざん地団太を踏む上司を鼻で笑いながら、サルカズはそれで、と話を軌道修正した。
2457「それはこちらの台詞だ」
片や黒ずくめの戦闘服をノースリーブと涼しげな上着に、片やフードのついたロングコートを鮮やかなロドスブルーのパーカーと生成りのハーフパンツに。あまりにも見慣れぬ姿に同時に怪訝な顔になった両者が開口一番言い放ったのがそれだった。
「へっへーん、これは去年かわいいアーミヤに見立ててもらったものでーす。『そのお洋服のままですと、暑さで倒れてしまいますよ!』って。かわいくない? 私を心配してくれたんだよ」
「黒ずくめの不審者と一緒に歩きたくなかっただけだろう」
「オブラート! わかってるけどオブラートに包んで!」
さんざん地団太を踏む上司を鼻で笑いながら、サルカズはそれで、と話を軌道修正した。
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DOODLE博が三徹後に炎に夜のお誘いしに行ったら完全にコミュニケーション失敗したけど主目的は果たせた話。狐狸に煙草を吹きつければ真実の姿を現す風習はテラにもあるんだろうか煙草は恋の仲立ち[炎博♂]「君の吸ってるその煙草のメーカー、倒産したらしい」
黒々としたバイザーのその奥は相変わらず何を考えているのかわからないぽかりとした空洞で、だがその口から唐突に一般的な世間話のような言葉が飛び出してきたものだから、エンカクはついうっかりと相手に続きの言葉を発する隙を与えてしまったのだった。
「もともと狭い範囲にしか流通していなくて、値段の安価さから固定客はそれなりにいるものの原材料の供給が不安定だった。そこに親会社の経営悪化が響いて、先月正式に撤退が発表されてたよ」
「あそこにはこれしかなかった。特に意味はない」
黄ばんだ白い箱に角の生えた頭蓋骨。カズデルに流通する物資は他の地域では見かけないものが多かったらしく、製薬会社の一員として各地を回りながら見慣れた品々が見当たらぬことに当初は戸惑いをおぼえることも多かった。そんな日々の中でも数少ない以前からの嗜好品のひとつがこの煙草であったのだが、彼の言葉を信じるならば嗜好品のひとつだったと過去形で語らねばならないのだろう。とはいえ彼に告げた通り、エンカクは別段煙草の種類にこだわりを持っているわけではなかった。ただ単純に選択という手間を省いていただけで、さらにいえば愛煙家というほどのものでもなかった。まさか彼の目には自分が煙草に執着するような人間であると映っていたとでもいうのだろうか。自分の思いつきにおかしみをおぼえ、つい唇の端を歪めてしまったところ、彼は相変わらず茫洋とした真黒の眼差しをこちらへと向けた。
1578黒々としたバイザーのその奥は相変わらず何を考えているのかわからないぽかりとした空洞で、だがその口から唐突に一般的な世間話のような言葉が飛び出してきたものだから、エンカクはついうっかりと相手に続きの言葉を発する隙を与えてしまったのだった。
「もともと狭い範囲にしか流通していなくて、値段の安価さから固定客はそれなりにいるものの原材料の供給が不安定だった。そこに親会社の経営悪化が響いて、先月正式に撤退が発表されてたよ」
「あそこにはこれしかなかった。特に意味はない」
黄ばんだ白い箱に角の生えた頭蓋骨。カズデルに流通する物資は他の地域では見かけないものが多かったらしく、製薬会社の一員として各地を回りながら見慣れた品々が見当たらぬことに当初は戸惑いをおぼえることも多かった。そんな日々の中でも数少ない以前からの嗜好品のひとつがこの煙草であったのだが、彼の言葉を信じるならば嗜好品のひとつだったと過去形で語らねばならないのだろう。とはいえ彼に告げた通り、エンカクは別段煙草の種類にこだわりを持っているわけではなかった。ただ単純に選択という手間を省いていただけで、さらにいえば愛煙家というほどのものでもなかった。まさか彼の目には自分が煙草に執着するような人間であると映っていたとでもいうのだろうか。自分の思いつきにおかしみをおぼえ、つい唇の端を歪めてしまったところ、彼は相変わらず茫洋とした真黒の眼差しをこちらへと向けた。
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CAN’T MAKE炎に薬を飲ませる博の話(炎博♂)ホラー映画のようなか細い音をさせて執務室の扉が開く。
中から音もなく中から出てきたドクターは、ゆっくりのっそりとその一歩を踏み出した。
密閉性と防衛のためにその数は少ないながらも通路に備えられた窓から差し込む日差しが、徹夜明けのドクターの視界を焼く。
加えてトイレと水分補給以外ほぼ椅子に座りっぱなしであった身体は限界が近くはあったが、それでもどうにか亀の歩み程度の歩行はできた。
気を抜けば小鹿ちゃんのような歩行になりそうな足取りで、ドクターはどうにか作り出した休息のために自室へと向かう。
先に軽く腹に何か入れて、いやまて食べてすぐ横になるのは良くない。
先にシャワーで身を・・・・・・だったらもう寝て起きてさっぱりしてからなにか食べよう。
2512中から音もなく中から出てきたドクターは、ゆっくりのっそりとその一歩を踏み出した。
密閉性と防衛のためにその数は少ないながらも通路に備えられた窓から差し込む日差しが、徹夜明けのドクターの視界を焼く。
加えてトイレと水分補給以外ほぼ椅子に座りっぱなしであった身体は限界が近くはあったが、それでもどうにか亀の歩み程度の歩行はできた。
気を抜けば小鹿ちゃんのような歩行になりそうな足取りで、ドクターはどうにか作り出した休息のために自室へと向かう。
先に軽く腹に何か入れて、いやまて食べてすぐ横になるのは良くない。
先にシャワーで身を・・・・・・だったらもう寝て起きてさっぱりしてからなにか食べよう。