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训练【嶺蘭SS】8月18日 / 約束
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
真夏のアスファルトは、ジリジリとした太陽の熱をたっぷりと含み、熱気を押し上げる。上からも下からも暑さが攻め上げ、何故自分の交通手段が自転車なんだと自問自答する。好んで選んだから仕方ないにしろ、今日ばかりはミスだったと後悔する。そんな暑さを予期していたからこそ、午前の比較的涼しい時間帯を選んで、外出したものの、目的地に着いた頃にはなんだかんだ昼間が近かった。脳天を照りつける太陽は、ステージライトよりも強烈だ。
蘭丸は目的地に辿り着き、自転車を敷地内に立て掛ける。寿嶺二が住む、マンションにの入り口の前に立ち、インターホンを鳴らす。メインエントランスから、玄関先に移動すると、まるでタイミングを予期したかのように扉が開かれた。栗色の丸みを帯びた髪が目の前を揺れる。
4027蘭丸は目的地に辿り着き、自転車を敷地内に立て掛ける。寿嶺二が住む、マンションにの入り口の前に立ち、インターホンを鳴らす。メインエントランスから、玄関先に移動すると、まるでタイミングを予期したかのように扉が開かれた。栗色の丸みを帯びた髪が目の前を揺れる。
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训练【嶺蘭SS】8月17日 / 1/fゆらぎ
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
全身を包む熱気、背中にじわりと広がる汗の感触、カーテンの隙間から差し込む日差し。遠くからは車の走行音と、蝉の鳴き声が聞こえる。暑さで寝苦しいながらも、眠気が勝ってしまう微睡みの中で、嶺二は今日がオフだと思い出し寝返りをうつ。日差しに背を向け、腕を前に出すと、すぐ隣の温もりに触れた。薄く目を開くと、こちらに顔を向けるように眠っている蘭丸が見えた。普段の、セットされた髪型とは異なり、あどけなさが見えるサラリとした銀髪。その隙間からは、長いまつ毛が下を向いている。ぐっすりと眠っているその寝顔は、普段の彼の気の強い態度からは想像出来ないような、緩んだ表情……無防備とも言える表情をしている。薄く開いた口からは、小さな寝息が聞こえる。カーテンから差し込んだ日差しは、蘭丸の白い肌のその首筋を照らす。嶺二はその日差しの当たる部分をなぞるように、指先を滑らせる。首、鎖骨、肩、胸……どくん、どくん、どくん。手のひらを伝う、心臓の音。その音が、自分の呼吸とシンクロするような感覚を覚えると、まるで身体のつながりはなくとも、蘭丸と一つになれたようにも思え、嶺二は安心感に包まれた。そうしているうちに、目蓋がゆっくりと視界を落とす。嶺二は蘭丸の胸に頭を埋めるように、寄り添って眠りについた。
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训练【嶺蘭SS】8月14日 / 謝罪
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
「ごめん、ごめんな」
その言葉を聞いて、目が冴えてから何分経っただろうか。男二人が並んで寝るには少し狭いベッドで、上体を起こした蘭丸は、隣で背を向けて眠る嶺二から目が離せなかった。
その夜、先にベッドに入っていた蘭丸に覆い被さるようにベッドに入った嶺二は、蘭丸の背中に、ただ黙って抱きついた。それが、いつもの合図と思い、体を動かした蘭丸は、嶺二の後頭部を摩って、応えようとする。向き合うように体勢を変え、口付けを交わし、身体を寄せ合う。いつになく優しく、柔らかく、何かを確かめるような唇。
「嶺二……?」
蘭丸が嶺二の顔色を伺うように呼びかけるも、嶺二は申し訳なさそうに笑みを浮かべ、「今日はこれだけ」と言って、蘭丸の額にキスを落とした。誰しも気が向かないことなど当然のようにあり、それは蘭丸とて例外ではなかったから、特段気に障ることではない。しかし、明らかに何かを抱えたその態度に、蘭丸は一抹の不安、もしくは、若干の違和感すら覚え、浅い眠りの中をぼんやりと過ごした。隣の体温は、やけに遠い。
703その言葉を聞いて、目が冴えてから何分経っただろうか。男二人が並んで寝るには少し狭いベッドで、上体を起こした蘭丸は、隣で背を向けて眠る嶺二から目が離せなかった。
その夜、先にベッドに入っていた蘭丸に覆い被さるようにベッドに入った嶺二は、蘭丸の背中に、ただ黙って抱きついた。それが、いつもの合図と思い、体を動かした蘭丸は、嶺二の後頭部を摩って、応えようとする。向き合うように体勢を変え、口付けを交わし、身体を寄せ合う。いつになく優しく、柔らかく、何かを確かめるような唇。
「嶺二……?」
蘭丸が嶺二の顔色を伺うように呼びかけるも、嶺二は申し訳なさそうに笑みを浮かべ、「今日はこれだけ」と言って、蘭丸の額にキスを落とした。誰しも気が向かないことなど当然のようにあり、それは蘭丸とて例外ではなかったから、特段気に障ることではない。しかし、明らかに何かを抱えたその態度に、蘭丸は一抹の不安、もしくは、若干の違和感すら覚え、浅い眠りの中をぼんやりと過ごした。隣の体温は、やけに遠い。
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训练【嶺蘭SS】8月13日 / 待つ
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
スマートフォンを眺め、上から下へと情報を流し読みし、時折、今度のドラマの台本を出して読んでいたら、なんだかんだ10分、15分ぐらい経っただろうか。嶺二は、向かい側に見える《アイドリングストップ》の掲示板に、それとなく罪悪感を思い、エンジンを切って、車から出た。屋内駐車場特有のこもった空気が身体を包む。エンジンの切った車内と、どちらがまだマシかと決め難い環境であったが、座り続けてもしょうがないので、車外に出て身体を伸ばしてみた。
蘭丸と同じテレビ局での撮影の仕事。蘭丸が、別件の打ち合わせがあるとのことで、終わり時間が多少ズレると聞いていたが、折角同じ場所にいるということならと思い、彼の仕事終わりを待つことになっていた。彼の送迎がある時期からの日常となっていたが、今となっては帰る場所が同じだからという理由もあった。もはや二人の関係は、公然の秘密と化している。すっかり互いの存在が、当たり前の生活になってしまったことに、ふと物思いに耽ることがある。それが例えば、今だ。
2585蘭丸と同じテレビ局での撮影の仕事。蘭丸が、別件の打ち合わせがあるとのことで、終わり時間が多少ズレると聞いていたが、折角同じ場所にいるということならと思い、彼の仕事終わりを待つことになっていた。彼の送迎がある時期からの日常となっていたが、今となっては帰る場所が同じだからという理由もあった。もはや二人の関係は、公然の秘密と化している。すっかり互いの存在が、当たり前の生活になってしまったことに、ふと物思いに耽ることがある。それが例えば、今だ。
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训练【嶺蘭SS】8月11日 / ダンス
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
閑散とした夜道を並んで歩く。歩く人は嶺二と蘭丸以外に見当たらず、時折聞こえる虫の音が、忘れかけていた風情を思い起こさせる。日中の茹だるような暑さが嘘であったかのように、深夜は若干の涼しさが肌をかすめた。
嶺二はふと足元に違和感を感じ、目線を落とすと、スニーカーの靴紐が解けていることに気づいた。その場で屈み、靴紐を結ぶ。数歩歩いた先の蘭丸が、止まった嶺二に気付いて、その場で立ち止まり振り返る。靴紐を結び終え、立ち上がり、前に立つ蘭丸を見る。街灯をその身に受け、銀の髪はキラキラと輝きを放ち、何気ない立ち姿は、マスクやキャップで姿を覆っても、オーラを隠しきれなかった。それが良いのか悪いのかは、この時の嶺二には関係が無かった。
1152嶺二はふと足元に違和感を感じ、目線を落とすと、スニーカーの靴紐が解けていることに気づいた。その場で屈み、靴紐を結ぶ。数歩歩いた先の蘭丸が、止まった嶺二に気付いて、その場で立ち止まり振り返る。靴紐を結び終え、立ち上がり、前に立つ蘭丸を見る。街灯をその身に受け、銀の髪はキラキラと輝きを放ち、何気ない立ち姿は、マスクやキャップで姿を覆っても、オーラを隠しきれなかった。それが良いのか悪いのかは、この時の嶺二には関係が無かった。
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训练【嶺蘭SS】8月10日 / ハート
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
これはあいつへの労いだ。
ここ最近、不規則な時間での仕事が立て続き、睡眠時間も十分にとれていない。あいつの場合、おれと違ってショートスリーパー気味なので、十分な時間を取らなくてもどうにかなる分、仕事にも今のところ支障をきたしていないようだ。しかし、それでも見えないところで疲労が出てきていることには違いない。それに加えて食事だ。最近はろくな食事が取れていないはずだ。シンクや冷蔵庫、インスタントのゴミの様子見れば一目瞭然だ。寿弁当だって、忙しすぎてかコミュニケーションが取れていないようで、最近は手配しているのを見ていない。相当忙殺されている。……とはいえ、あの快活な、あいつのお袋さんの人柄あってか、ついこの間は「母ちゃんに文句言われちゃったよ」なんて小言を言ってたから、親子関係に問題は出ていないようだが。……あいつんちの唐揚げ、そろそろ食べてぇな。ああいけねぇ、手が止まってた。今日は比較的早い時間に帰って来れると聞いていた。あまりの忙殺ぶりを察した日向さんが、各所に相談の上、スケジュールを調整してくれたとのこと。今でもこうやって、日向さんに迷惑がかかってんのはどうかと思うぜ? 日向さんだって自分の仕事があるんだからよ。……まあ、ありがたくもそんな配慮があってか、はやく帰ってくるあいつのために、おれは飯を作っている。あいつへの労い……いや、あいつと一緒に飯が食いたかった、だけ、かもしれない。あー、今のらしくねえ。あいつに聞かれたら面倒くさい絡みをされるから絶対に言わねえ。一緒に飯を食うなら、デリバリーでも、外食でも、なんでも良かったかもしれねぇが、そこはおれが振る舞ってやりたかった。労いと、日常の共有。何より、あいつがおれの作る飯を食いたいって、いつかの日に泣き言のように言ってから、振る舞うタイミングを失っていて……その後ろめたさにも似た使命感があった。
2305ここ最近、不規則な時間での仕事が立て続き、睡眠時間も十分にとれていない。あいつの場合、おれと違ってショートスリーパー気味なので、十分な時間を取らなくてもどうにかなる分、仕事にも今のところ支障をきたしていないようだ。しかし、それでも見えないところで疲労が出てきていることには違いない。それに加えて食事だ。最近はろくな食事が取れていないはずだ。シンクや冷蔵庫、インスタントのゴミの様子見れば一目瞭然だ。寿弁当だって、忙しすぎてかコミュニケーションが取れていないようで、最近は手配しているのを見ていない。相当忙殺されている。……とはいえ、あの快活な、あいつのお袋さんの人柄あってか、ついこの間は「母ちゃんに文句言われちゃったよ」なんて小言を言ってたから、親子関係に問題は出ていないようだが。……あいつんちの唐揚げ、そろそろ食べてぇな。ああいけねぇ、手が止まってた。今日は比較的早い時間に帰って来れると聞いていた。あまりの忙殺ぶりを察した日向さんが、各所に相談の上、スケジュールを調整してくれたとのこと。今でもこうやって、日向さんに迷惑がかかってんのはどうかと思うぜ? 日向さんだって自分の仕事があるんだからよ。……まあ、ありがたくもそんな配慮があってか、はやく帰ってくるあいつのために、おれは飯を作っている。あいつへの労い……いや、あいつと一緒に飯が食いたかった、だけ、かもしれない。あー、今のらしくねえ。あいつに聞かれたら面倒くさい絡みをされるから絶対に言わねえ。一緒に飯を食うなら、デリバリーでも、外食でも、なんでも良かったかもしれねぇが、そこはおれが振る舞ってやりたかった。労いと、日常の共有。何より、あいつがおれの作る飯を食いたいって、いつかの日に泣き言のように言ってから、振る舞うタイミングを失っていて……その後ろめたさにも似た使命感があった。
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训练【嶺蘭SS】8月9日 / 煙草
嶺二の喫煙ネタはオタクの集団幻覚で合ってますか?
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
別に隠し通すつもりもなかったし、かと言って言う必要も感じてなかった。……というより、言ってしまえば、説教や文句を言われることは明々白々。だから、プライベートの中でも、ぼくによる、ぼくのための、ぼくだけの時間でよかったのだ。それに、依存症ってわけじゃないし、ニオイだって気を付けてる。今のところ声帯にも支障は出ていない。それでも嫌悪されるものだってわかっているよ、わかっているから日陰でコソコソとしているんだよ。
「だからだ」
錆びれた路地裏に立ち、背中に夕陽を受け止めた君は、呆れた顔でぼくのことを見下ろした。細めた目の奥では、透き通った二色の瞳がきらりと光る。
「……え、なに」
ズボンの左右のポケットに両手を入れたまま、君はぼくの前に一歩、二歩と近づく。ぼくの右手の人差し指と中指に挟まった煙草に目を向けるので、ぼくは思わず、彼から遠ざけるように腕を外に伸ばした。
1366「だからだ」
錆びれた路地裏に立ち、背中に夕陽を受け止めた君は、呆れた顔でぼくのことを見下ろした。細めた目の奥では、透き通った二色の瞳がきらりと光る。
「……え、なに」
ズボンの左右のポケットに両手を入れたまま、君はぼくの前に一歩、二歩と近づく。ぼくの右手の人差し指と中指に挟まった煙草に目を向けるので、ぼくは思わず、彼から遠ざけるように腕を外に伸ばした。
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训练【嶺蘭SS】8月5日 / アイス
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
愛車の洗車を終えた嶺二が冷房の効いた部屋に戻ると、ソファーでは蘭丸が真剣な面持ちで紙資料と向き合っていた。肩越しに確認できる紙のレイアウトを見るに台本であると分かった。嶺二は、シャワーを浴び汗を流し、着替えを済ませてから、リビングに戻る。そっと蘭丸の後ろに立ち、台本を覗くと、視線に気づいた蘭丸が振り返った。ギロリとした鋭い視線にギョッとなり、思わず嶺二は上体を反らせ「邪魔してません!」とアピールするような態度を取る。
「嶺二、ちょうど良いとこ来た」
「え、え?」
蘭丸は身体を捻り、持っていた台本を開いて嶺二に見せる。嶺二は台本を手に取り、じっと見る。それは蘭丸が今出ているドラマの次の撮影分のものだった。
2157「嶺二、ちょうど良いとこ来た」
「え、え?」
蘭丸は身体を捻り、持っていた台本を開いて嶺二に見せる。嶺二は台本を手に取り、じっと見る。それは蘭丸が今出ているドラマの次の撮影分のものだった。
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训练【嶺蘭SS】8月4日 / 酔い
#ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
玄関の開閉音と同時に強い物音が響いた。
日付の変わる手前の時刻。リビングでうたた寝をしていた蘭丸は、その物音で目を覚まし、思わず立ち上がった。リビングのドアを開け、玄関に向かうと、嶺二が玄関から廊下へ倒れ込むように転がっていた。蘭丸は嶺二の側に駆け寄り、その背中を摩る。
「おい、大丈夫かよ……って……クセェ」
嶺二からは、汗臭さに混じった居酒屋特有の油っぽさとアルコール臭がした。「クセェ」その一言に反応するように、倒れていた嶺二がもぞもぞと顔を上げようと動く。汗ばみ紅潮した顔面が、蘭丸のほうを向く。
「だははランラン。クセェってドイヒー」
普段からふざけたハイテンションなノリが通常運転とはいえ、酒に呑まれるようなことあまりない。こんな風に悪酔いして帰ってくるなんてことも、蘭丸はあまり見てこなかった。……というより、決まって蘭丸が先に酔って記憶が飛んでいることがほとんどだった。いつかの日に「酔ってベロンベロンになったランランを介抱するぼくの身にもなってごらん?」と言われたこともあったが、逆の立場が来いと頼んだ覚えはない。今日は嶺二が出演していたドラマの打ち上げで、夜まで飲み会とは聞いていた。ヘラヘラと緩み切っただらしない顔を見せ、また床へと頭を突っ伏す。こんな状態でよくもまあ一人で帰って来れたものだと、蘭丸はため息をついた。しゃがみ込み、艶めいた栗色の頭に手を当て、軽くゆする。
1848日付の変わる手前の時刻。リビングでうたた寝をしていた蘭丸は、その物音で目を覚まし、思わず立ち上がった。リビングのドアを開け、玄関に向かうと、嶺二が玄関から廊下へ倒れ込むように転がっていた。蘭丸は嶺二の側に駆け寄り、その背中を摩る。
「おい、大丈夫かよ……って……クセェ」
嶺二からは、汗臭さに混じった居酒屋特有の油っぽさとアルコール臭がした。「クセェ」その一言に反応するように、倒れていた嶺二がもぞもぞと顔を上げようと動く。汗ばみ紅潮した顔面が、蘭丸のほうを向く。
「だははランラン。クセェってドイヒー」
普段からふざけたハイテンションなノリが通常運転とはいえ、酒に呑まれるようなことあまりない。こんな風に悪酔いして帰ってくるなんてことも、蘭丸はあまり見てこなかった。……というより、決まって蘭丸が先に酔って記憶が飛んでいることがほとんどだった。いつかの日に「酔ってベロンベロンになったランランを介抱するぼくの身にもなってごらん?」と言われたこともあったが、逆の立場が来いと頼んだ覚えはない。今日は嶺二が出演していたドラマの打ち上げで、夜まで飲み会とは聞いていた。ヘラヘラと緩み切っただらしない顔を見せ、また床へと頭を突っ伏す。こんな状態でよくもまあ一人で帰って来れたものだと、蘭丸はため息をついた。しゃがみ込み、艶めいた栗色の頭に手を当て、軽くゆする。