つむ / 濡れ鼠
PASTMIDR後のベンジーの独白。闇堕ちベンジーな話です。ご注意ください。
※MIDRのネタバレと捏造あり
秋のダークサイドベンジーまつりにのっかりたかったのですが、ハピエンにならなかったのでこちらに流させていただきます… 6
芦緖(あしお)
DONE #秋のダークサイドベンジーまつり素敵な企画がありましたので、これは参加せねばと書いた話になります。イーベンです!
時系列はMIDR後。
棺の中で良い夢を 人の急所というのは案外多い。腎臓もその一つだ。刺されれば熱を伴った激痛が走り大量出血する。すぐさま手当を行わなければ失血死するだろう。
「痛いよな、イーサン」
後ろからイーサンを抱き締めていたベンジーは、まるで睦言を囁くような声で話しかける。二人の足元にはすでに血が溜まり、そこにベンジーが握っていたナイフが落ちた。
「でも、すぐ楽になる」
身体が支えられなくなって床に膝をついたイーサンを、今度は前から抱き締めてベンジーは背中を優しくさすった。
「イーサンのための棺を作ったんだ。いくら仲間っていってもガブリエルにお前を触らせるのは嫌だし、エンティティに実験材料にされるのも嫌だしな」
言葉の意味はわかってもベンジーの言っていることをイーサンは理解できなかった。理解したくなかったという方が正しいだろうか。
3934「痛いよな、イーサン」
後ろからイーサンを抱き締めていたベンジーは、まるで睦言を囁くような声で話しかける。二人の足元にはすでに血が溜まり、そこにベンジーが握っていたナイフが落ちた。
「でも、すぐ楽になる」
身体が支えられなくなって床に膝をついたイーサンを、今度は前から抱き締めてベンジーは背中を優しくさすった。
「イーサンのための棺を作ったんだ。いくら仲間っていってもガブリエルにお前を触らせるのは嫌だし、エンティティに実験材料にされるのも嫌だしな」
言葉の意味はわかってもベンジーの言っていることをイーサンは理解できなかった。理解したくなかったという方が正しいだろうか。
芦緖(あしお)
DONE11/13いいイーサンの日記念小話。付き合ってないけど、ただいちゃついて話してるだけ。いいイーサンの日「なぁ、イーサン! 今日ってなんの日か知ってる?」
イーサンが報告書をまとめていると、ベンジーが後ろから声をかけてきて隣に座った。
「……今日は祝日か何かだった?」
「そういうのじゃなくてさ、日本には日付の語呂合わせで記念日がたくさんあるんだよ。8月10日がハトの日みたいな」
ベンジーは8は日本語で【ハチ】で……などと近くにあった紙に書いて説明する。先程まで報告書だったそれはあっという間に、学習プリントのようになっていた。
「今月は1が2つ並んでるから『いい』ってなるんだ。じゃあ13は?」
「いち、さん?」
「それじゃあ、まんまだろー! 伸ばしたり省略したりすんの」
「えっと……いー、さん?」
「おっ、正解ー! 今日は『いいイーサン』の日なんだぜ、イーサン」
1016イーサンが報告書をまとめていると、ベンジーが後ろから声をかけてきて隣に座った。
「……今日は祝日か何かだった?」
「そういうのじゃなくてさ、日本には日付の語呂合わせで記念日がたくさんあるんだよ。8月10日がハトの日みたいな」
ベンジーは8は日本語で【ハチ】で……などと近くにあった紙に書いて説明する。先程まで報告書だったそれはあっという間に、学習プリントのようになっていた。
「今月は1が2つ並んでるから『いい』ってなるんだ。じゃあ13は?」
「いち、さん?」
「それじゃあ、まんまだろー! 伸ばしたり省略したりすんの」
「えっと……いー、さん?」
「おっ、正解ー! 今日は『いいイーサン』の日なんだぜ、イーサン」
芦緖(あしお)
DONEハロウィン小話(イーベン)あんまり内容と関係ないけど、さわマル展示の2人が何事もなくハロウィンを迎えた話。
休暇も半分過ぎ、ハロウィンの夜を迎えた。ベンジーは包帯を巻いて、イーサンはマントを羽織って仮装をし、訪ねてくる子供たちにお菓子を配った。
元気いっぱいの子どもたちが去っていく頃には二人ともだいぶ疲れて、ソファに身体を預けながら軽くワインを煽った。
「はぁー……美味い!」
「お疲れ。今年もベンジーが用意したお菓子は子どもに大人気だったね」
「やっぱあげるんなら楽しんでもらいたいしな」
イーサンが用意したつまみも食べながら、やりきったとベンジーは身体を伸ばす。しかし、まだやり残したことが一つあった。
「イーサン! トリック・オア・トリート!」
ベンジーはソファの端に隠しておいた小さなかごを取り出し、イーサンに突き出す。用意した菓子は配りきったので今は手ぶらのはずだ。今年こそイーサンにいたずらを仕掛ける、とベンジーは意気込んでいた。
1492元気いっぱいの子どもたちが去っていく頃には二人ともだいぶ疲れて、ソファに身体を預けながら軽くワインを煽った。
「はぁー……美味い!」
「お疲れ。今年もベンジーが用意したお菓子は子どもに大人気だったね」
「やっぱあげるんなら楽しんでもらいたいしな」
イーサンが用意したつまみも食べながら、やりきったとベンジーは身体を伸ばす。しかし、まだやり残したことが一つあった。
「イーサン! トリック・オア・トリート!」
ベンジーはソファの端に隠しておいた小さなかごを取り出し、イーサンに突き出す。用意した菓子は配りきったので今は手ぶらのはずだ。今年こそイーサンにいたずらを仕掛ける、とベンジーは意気込んでいた。
芦緖(あしお)
REHABILIさわマル4の展示小説(イーベン)です。いつもハピエンを描くのが好きなんですが、久しぶりに書いたらなんか暗くなってしまっています。メリバともちょっと違うかな……?
※「ショーン・オブ・ザ・デッド」のネタバレを盛大にしております。もう観てる方、気にしないよという方で、興味があれば読んでいただければと思います。
たとえ終わりがこようとも ハロウィンも近い十月の週末。IMFの本部内にもカボチャやおばけ、魔女などの飾りが所々に吊るされたり貼られたりしていた。
任務終わりで帰ってきたベンジーは、本部内にただようイベント前独特の雰囲気を心地よく感じながら報告に向かった。ブラントに挨拶をし、必要なデータを解析班に渡したら久し振りのまとまった休暇だ。
家にはひと足先に別の任務から戻ってきているイーサンが待っているはずだ。スマホを取り出してメッセージを確認すると、夕飯を用意して待っていると連絡が入っていた。
それだけで気分が高揚して、ベンジーは鼻歌を口ずさみながら本部と同じくハロウィンに染まった街並みを進んで行った。
「ショーン・オブ・ザ・デッド?」
5199任務終わりで帰ってきたベンジーは、本部内にただようイベント前独特の雰囲気を心地よく感じながら報告に向かった。ブラントに挨拶をし、必要なデータを解析班に渡したら久し振りのまとまった休暇だ。
家にはひと足先に別の任務から戻ってきているイーサンが待っているはずだ。スマホを取り出してメッセージを確認すると、夕飯を用意して待っていると連絡が入っていた。
それだけで気分が高揚して、ベンジーは鼻歌を口ずさみながら本部と同じくハロウィンに染まった街並みを進んで行った。
「ショーン・オブ・ザ・デッド?」
芦緖(あしお)
DONE「いきなり!レッドカーペット4」の展示作品。イーベン、恋人同士だけど忙しくて会えない二人の小話。
硝煙の中で エージェントの休みなんてあってないようなものだ。呼ばれれば世界中どこへでも飛んでいき、危険な任務に身を投じる。ここ最近至る所で悪い奴らが良からぬことを企んでいるようでイーサンもベンジーも本部に戻ることもなく現場から現場へと移動していた。
「なあーブラントー、なんで俺とイーサンの現場かぶんないの」
「一緒にするほどの規模の現場が今のところない」
「なんだよそれー」
「それぞれ特化能力が違うからな。一緒に一現場任せるより、新人と組ませて二現場行かせた方が、効率もいいし新人教育にもなるだろ」
「褒められているような、雑に扱われているような」
「常に人手不足だからな。頼りにしてるんだ、これでも」
次の現場への移動中、次の任務内容を聞きながらブラントに愚痴を言いつつため息をつく。言っていることの意味も頼りにしてくれていることもわかるが深刻なイーサン不足だ。任務中は連絡も取れないから声すら聞けない。
1546「なあーブラントー、なんで俺とイーサンの現場かぶんないの」
「一緒にするほどの規模の現場が今のところない」
「なんだよそれー」
「それぞれ特化能力が違うからな。一緒に一現場任せるより、新人と組ませて二現場行かせた方が、効率もいいし新人教育にもなるだろ」
「褒められているような、雑に扱われているような」
「常に人手不足だからな。頼りにしてるんだ、これでも」
次の現場への移動中、次の任務内容を聞きながらブラントに愚痴を言いつつため息をつく。言っていることの意味も頼りにしてくれていることもわかるが深刻なイーサン不足だ。任務中は連絡も取れないから声すら聞けない。
silvo
PAST【再録】Germinate【イーベン/イルベン】 pass*英5フォールアウト後のイーベン/イルベンみつどもえ話
イーサン(無自覚)>>>ベンジー、イルサ(自覚済)>>>ベンジー
イーサン>><<イルサ、と思い込んでるベンジー
の三角関係です。初めて本にした作品なので読みにくかったらすみません
イーベン/イルベン増えろ!!!
※予告なく削除する場合があります。ご了承ください※ 34
芦緖(あしお)
DONEさわやかMDRマルシェ2_2305展示作品。自分のところには来てくれない王子様に恋したベンジーの話。イーベンです。
予約注文には至らず……なので出だしを展示します。MIDR前にかきあげて夏のイベントでは出したい……!
いつか王子様が ベンジーの母親はどこか浮世離れした人だった。深窓の令嬢、というほどでもないがだいぶ裕福な家庭で育ったお嬢様で天然。祖父母も過保護だったらしく、世間のこともよくわからないまま悪い男に引っかかって結婚してベンジーを産んだ。
けれど切り替えも早かった母親は全く働かない父親をさっさと捨てて実家に戻った。祖父母は大喜びしたそうだし、ベンジー自身かなり可愛がってもらった記憶があるので選択としては大正解だったのだろう。
裕福な実家のおかげで何不自由なく暮らし、祖父母が亡くなった後も遺産のおかげで生活には苦労しなかった。そのせいか歳を重ねても純真無垢なままだった母親の口癖は「いつか王子様が来てくれる」だった。
1324けれど切り替えも早かった母親は全く働かない父親をさっさと捨てて実家に戻った。祖父母は大喜びしたそうだし、ベンジー自身かなり可愛がってもらった記憶があるので選択としては大正解だったのだろう。
裕福な実家のおかげで何不自由なく暮らし、祖父母が亡くなった後も遺産のおかげで生活には苦労しなかった。そのせいか歳を重ねても純真無垢なままだった母親の口癖は「いつか王子様が来てくれる」だった。
芦緖(あしお)
DONEマーヴェリック・イーサン双子設定話②前回の続き。前回はイーサン視点が多かったので今回はマーヴ側メイン。自分的にはマーヴが兄。そこらへんの解釈はTwitterにあげたりしてます。
映画版と小説版の設定と自分の解釈をごちゃ混ぜにしています。
イーサンと話しながら、マーヴェリックは昔母親と一緒に墓地に行ったことを思い出していた。たくさん並ぶ墓石の中にあった『バーニー・ミッチェル』と書かれた小さな墓に花を手向けに行ったことを。
「ピート、ここにはあなたの弟がいるの」
「弟?」
「そう、双子の弟。生まれてすぐ空に上がってしまったけれど」
「じゃあ父さんを空の上から探してくれてるかな」
「……そうね。あの人の子供だもの、きっと上手に飛びながら探してるわ」
父親が行方不明になって引きこもりがちだった母親が珍しく外に出ようとマーヴェリックを連れて訪れた場所が墓地だった。弟がいたこと、そしてすぐに亡くなったことは驚きだったが、それ以上にその時は父親が飛行機に乗って消えたことがまだ信じられなくて、弟の存在はすんなり受けていれてしまった。
1311「ピート、ここにはあなたの弟がいるの」
「弟?」
「そう、双子の弟。生まれてすぐ空に上がってしまったけれど」
「じゃあ父さんを空の上から探してくれてるかな」
「……そうね。あの人の子供だもの、きっと上手に飛びながら探してるわ」
父親が行方不明になって引きこもりがちだった母親が珍しく外に出ようとマーヴェリックを連れて訪れた場所が墓地だった。弟がいたこと、そしてすぐに亡くなったことは驚きだったが、それ以上にその時は父親が飛行機に乗って消えたことがまだ信じられなくて、弟の存在はすんなり受けていれてしまった。