_vanillabunny
DONE新刊『STARS AND』サンプル12/1 Dream & Love Come True
新刊『STARS AND』
A5/68p/全年齢/¥600(会場頒布価格)
★★★★★
アメリカで再会した沢北と宮城がゆっくり歩み寄る短編連作集。
星の名前を冠した5つの小話です。
web再録の加筆修正版を含みます。
※恋愛要素はほぼありません!!!!! 16
plntanightlunch
DONE若いときに付き合って別れた30代後半の2人。大丈夫な人だけどうぞ。
手放せない「今度こそって思ったんだけどさ……」
そう言ってカウンターに肘をつき、その上に小さな顔を無造作に載せてこちらを見てきた頬がピンク色に染まっていた。目もこころなしかとろんと蕩けていて、そこでリョータは自分たちが思った以上に杯を重ねたことを知る。
「うん」
「だけど、俺の空回りだったっていうか」
「うん」
話はだらだらと続いている。さっきからずっと、同じところを行ったりきたり。古い遊園地のコースターみたいに、そのうち回り続けて気持ち悪くなりそう。
「プライベートをバスケに影響はさせないけどさ、だけどプライベートが充実してたほうがいいパフォーマンスができるに決まってるじゃん」
「うん」
「俺もいい年だし」
「うん」
「今度こそって……」
3320そう言ってカウンターに肘をつき、その上に小さな顔を無造作に載せてこちらを見てきた頬がピンク色に染まっていた。目もこころなしかとろんと蕩けていて、そこでリョータは自分たちが思った以上に杯を重ねたことを知る。
「うん」
「だけど、俺の空回りだったっていうか」
「うん」
話はだらだらと続いている。さっきからずっと、同じところを行ったりきたり。古い遊園地のコースターみたいに、そのうち回り続けて気持ち悪くなりそう。
「プライベートをバスケに影響はさせないけどさ、だけどプライベートが充実してたほうがいいパフォーマンスができるに決まってるじゃん」
「うん」
「俺もいい年だし」
「うん」
「今度こそって……」
p_okuretekita
MOURNING #沢リョ両片思い
事後の一コマしなやかなシーツの感触に身体を委ねる。瞼をもう一度あげる気力はない。
今日は降って湧いたような休日だった。本来ならバスケに没頭した身体を休めるためのベッドは、夜のはじまりとともにぐちゃぐちゃになった。
洗ったばかりのシーツは、どちらが出したものかわからない液体で柔らかくなっている。
リョータは湿ったシーツが好きだった。口が裂けても相手には言えないけれど、自分のものではない香水と、好きな男の汗が混じり合った匂いに抱かれて眠る時間は、心がゆるゆると溶けてしまいそうになる。
時間が止まればいいのに。ふたりだけの、ぬるいベッドの中で。
そこまで考えて、リョータは寝返りを打った。隣で身体を休めているのは、日本バスケ界の期待の星――しかも一等星。六等星の自分とは大きな違いだ。彼は事を済ませると、すぐに眠ってしまう。そりゃ、腰をバカスカ動かすのだから当然疲れるはずだ。ドラマで見るピロートークなんてしたこともない。
436今日は降って湧いたような休日だった。本来ならバスケに没頭した身体を休めるためのベッドは、夜のはじまりとともにぐちゃぐちゃになった。
洗ったばかりのシーツは、どちらが出したものかわからない液体で柔らかくなっている。
リョータは湿ったシーツが好きだった。口が裂けても相手には言えないけれど、自分のものではない香水と、好きな男の汗が混じり合った匂いに抱かれて眠る時間は、心がゆるゆると溶けてしまいそうになる。
時間が止まればいいのに。ふたりだけの、ぬるいベッドの中で。
そこまで考えて、リョータは寝返りを打った。隣で身体を休めているのは、日本バスケ界の期待の星――しかも一等星。六等星の自分とは大きな違いだ。彼は事を済ませると、すぐに眠ってしまう。そりゃ、腰をバカスカ動かすのだから当然疲れるはずだ。ドラマで見るピロートークなんてしたこともない。