きよせ
DOODLEみゆけん ツアー中MCの賢汰を買う買わない売る売らないの話をこじらせてしまったのでムラムラを吐き出しておきました ただただいちゃいちゃしてしまった「やたら食いついてきたな」
「何が?」
「俺を買うだの売るだの、客席からのレスポンス」
「あー」
一人一部屋割り振られている深幸の部屋で、来訪するなり「お疲れ様」に続く賢汰の言葉がこれだ。
声出しも解禁という事で、せっかくのMCの時間を盛り上げようと積極的に拾い上げた話題ではあるが、本人から指摘を受け、冷静になってみれば確かに少し食い気味だった気はしなくもない。
「まあ、あれはグッズやその類いの事だろうけどな。そのまま受け取ったのでは面白みがないだろ」
「確かにウケてたけど…てか、面白いとかそんなん考えてたのかよ」
真顔で反応していたステージでの姿を思い返し、深幸は思わず鼻で笑いながら肩を竦める。
その様子を見て賢汰は可笑しそうに口元を緩め、ベッド脇へと腰を下ろし、ぽす、とシーツを手のひらで叩いた。
1726「何が?」
「俺を買うだの売るだの、客席からのレスポンス」
「あー」
一人一部屋割り振られている深幸の部屋で、来訪するなり「お疲れ様」に続く賢汰の言葉がこれだ。
声出しも解禁という事で、せっかくのMCの時間を盛り上げようと積極的に拾い上げた話題ではあるが、本人から指摘を受け、冷静になってみれば確かに少し食い気味だった気はしなくもない。
「まあ、あれはグッズやその類いの事だろうけどな。そのまま受け取ったのでは面白みがないだろ」
「確かにウケてたけど…てか、面白いとかそんなん考えてたのかよ」
真顔で反応していたステージでの姿を思い返し、深幸は思わず鼻で笑いながら肩を竦める。
その様子を見て賢汰は可笑しそうに口元を緩め、ベッド脇へと腰を下ろし、ぽす、とシーツを手のひらで叩いた。
きよせ
DONEみゆけん 2人だけの秘密 CocktailSのサンプルとして上げている1話分シンガポール・スリング「全員、ここに全部置いてけ。行くぞ!『MANIFESTO』」
アンコールのラスト1曲。
ステージも客席も最高潮で、肌から全身から熱が湧き上がる。
各々の激しい音が合わさって、交わり、那由多の歌が乗る。
ドラムの位置からは全体が見渡せ、全員が絶好調なのが音からも空気からも感じられ、この厚みを支えられる感覚が深幸はこの上なく気持ちが良かった。
◇
「お疲れさま」
「お疲れ様です!」
「おつかれ〜」
楽屋へ入りがてらバラバラとメンバー間で挨拶を交わした。
表情には出ないものの、那由多から文句が出ないという事は、間違いなく今日は“良かった“のだ。
「ほら那由多、汗拭きなよ」
「ふん」
深幸が差し出したタオルを奪うように那由多が受け取る。
3672アンコールのラスト1曲。
ステージも客席も最高潮で、肌から全身から熱が湧き上がる。
各々の激しい音が合わさって、交わり、那由多の歌が乗る。
ドラムの位置からは全体が見渡せ、全員が絶好調なのが音からも空気からも感じられ、この厚みを支えられる感覚が深幸はこの上なく気持ちが良かった。
◇
「お疲れさま」
「お疲れ様です!」
「おつかれ〜」
楽屋へ入りがてらバラバラとメンバー間で挨拶を交わした。
表情には出ないものの、那由多から文句が出ないという事は、間違いなく今日は“良かった“のだ。
「ほら那由多、汗拭きなよ」
「ふん」
深幸が差し出したタオルを奪うように那由多が受け取る。
きよせ
DONEみゆけん深幸が賢汰に弱いところを見せる話 になるはずだった
「ただいま〜…って、さすがにみんな寝てるか」
リビングへ続く戸を開きながら条件反射のように零れた言葉に、深幸は自らで応えた。
日を跨いだ午前零時過ぎのこの時間に明かりの1つも付いていなかった為、暗がりの中には誰もいないものだと思ったが、部屋の角でデスクのライトにぼんやりと照らされる丸い人影に気付いた。
該当する人間なんて1人しかいない事はわかっていながらも、肩が微かに飛び跳ねた。
賢汰の耳にはヘッドホンが装着されており、深幸が入ってきた事には気付いていないようだったのが幸いだった。
新しいデモでも聞いているのだろうか、後ろ姿だけでは深幸にはわからなかった。
「…ったく」
パチッ、と、静かな室内で音を立ててリビングのメインの照明を付けると、さすがに顔を上げた賢汰はヘッドホンを外しながら振り返り、深幸の姿を確認した。
2254リビングへ続く戸を開きながら条件反射のように零れた言葉に、深幸は自らで応えた。
日を跨いだ午前零時過ぎのこの時間に明かりの1つも付いていなかった為、暗がりの中には誰もいないものだと思ったが、部屋の角でデスクのライトにぼんやりと照らされる丸い人影に気付いた。
該当する人間なんて1人しかいない事はわかっていながらも、肩が微かに飛び跳ねた。
賢汰の耳にはヘッドホンが装着されており、深幸が入ってきた事には気付いていないようだったのが幸いだった。
新しいデモでも聞いているのだろうか、後ろ姿だけでは深幸にはわからなかった。
「…ったく」
パチッ、と、静かな室内で音を立ててリビングのメインの照明を付けると、さすがに顔を上げた賢汰はヘッドホンを外しながら振り返り、深幸の姿を確認した。
きよせ
MOURNINGみゆけんホットワインのあれ
「珍しいな」
「たまにはいいだろ」
自分でもそう思う。いつもは逐一こいつの一言に反発してしまうのに、そんな相手を自ら誘うなんてな。
きっと外が寒かったせいだ。
礼音くんじゃないけど、札幌ほどではなくても冬の寒さは沁みるもんだなって、上京してきて思った。
テーブルを挟んで向かいに腰を降ろすと、2人分のホットワインから漂うスパイスの効いた甘い香りが広い室内をすっかり満たしていた。
「どうせまだ寝ないんだろ」
「ああ、詰めておきたい事が何件かあってな」
「あー、今度のライブの事とか?」
俺の問い掛けに耳を傾けつつ、ガラスマグの取っ手に手をかけ持ち上げるゆったりとした一連の仕草には、若干疲労の色が見えた気がした。
小さな頷きと共に伏せた瞼からまつ毛が影を作る。湯気立つ水面にふぅ、と息を吹きかけては1口啜る相手の反応を窺った。
835「たまにはいいだろ」
自分でもそう思う。いつもは逐一こいつの一言に反発してしまうのに、そんな相手を自ら誘うなんてな。
きっと外が寒かったせいだ。
礼音くんじゃないけど、札幌ほどではなくても冬の寒さは沁みるもんだなって、上京してきて思った。
テーブルを挟んで向かいに腰を降ろすと、2人分のホットワインから漂うスパイスの効いた甘い香りが広い室内をすっかり満たしていた。
「どうせまだ寝ないんだろ」
「ああ、詰めておきたい事が何件かあってな」
「あー、今度のライブの事とか?」
俺の問い掛けに耳を傾けつつ、ガラスマグの取っ手に手をかけ持ち上げるゆったりとした一連の仕草には、若干疲労の色が見えた気がした。
小さな頷きと共に伏せた瞼からまつ毛が影を作る。湯気立つ水面にふぅ、と息を吹きかけては1口啜る相手の反応を窺った。
きよせ
DONEみゆけん11月11日
当社比ちょっとやらしい
りょう→けんを匂わせる描写があります
trap「ただいま〜…え?」
「あ、みゆひふんおあえり〜」
いや、いやいや?なにこれ?
なにしてんの?
俺の声に応えてお迎えしてくれた涼ちんは、真向かいにいる賢汰の肩を掴んだまま視線だけをこちらにくれている。
まあそれだけなら百歩譲ってこの自称宇宙人の奇行は今に始まった事じゃないからな、で済む、…済むのか?にしても距離感はおかしいわけだが。
しかし、今回はそれだけじゃないらしい。
この自称宇宙人は今細長いプレッツェルにチョコがコーティングされた菓子を口に咥えている。その先に続いているのは賢汰の口の、中。
眼鏡の隙間から俺の方を向くターコイズと視線が交わるが、抵抗している素振りはなく。好きにさせているのか受け入れているのかなんなのか、そもそもこいつの考えてる事なんて俺にはわからない。
3112「あ、みゆひふんおあえり〜」
いや、いやいや?なにこれ?
なにしてんの?
俺の声に応えてお迎えしてくれた涼ちんは、真向かいにいる賢汰の肩を掴んだまま視線だけをこちらにくれている。
まあそれだけなら百歩譲ってこの自称宇宙人の奇行は今に始まった事じゃないからな、で済む、…済むのか?にしても距離感はおかしいわけだが。
しかし、今回はそれだけじゃないらしい。
この自称宇宙人は今細長いプレッツェルにチョコがコーティングされた菓子を口に咥えている。その先に続いているのは賢汰の口の、中。
眼鏡の隙間から俺の方を向くターコイズと視線が交わるが、抵抗している素振りはなく。好きにさせているのか受け入れているのかなんなのか、そもそもこいつの考えてる事なんて俺にはわからない。
きよせ
DONEみゆけん10月22日
ライラ「深幸」
「なに?」
「今日は少し酔いたい気分なんだ」
なんて、呼び出されたのが2時間前。
今となっては当の本人は俺の隣に座り、レンズの向こう側の瞼をうつらうつらと重力に逆らわせている。
店を出てタクシーに乗り込むまでの距離すら覚束無い足取りで危なっかしく、やっとの思いで乗り込ませたのがほんの10分前だったと思う。
「ちょっと、さすがに飲み過ぎじゃない?」
と問えば
「大丈夫だ、今日はお前がいるからな」
なんて言うもんだから、全くどの口がだよ、と溜め息と共に吐き捨てた。
皮肉に反して、それでも内心ちょっと妙に嬉しく思う自分もいて、上手いように転がされているようで余計に腹が立った。
こいつに頼られるとむず痒くて仕方ないからやめてほしいんだよな。
1610「なに?」
「今日は少し酔いたい気分なんだ」
なんて、呼び出されたのが2時間前。
今となっては当の本人は俺の隣に座り、レンズの向こう側の瞼をうつらうつらと重力に逆らわせている。
店を出てタクシーに乗り込むまでの距離すら覚束無い足取りで危なっかしく、やっとの思いで乗り込ませたのがほんの10分前だったと思う。
「ちょっと、さすがに飲み過ぎじゃない?」
と問えば
「大丈夫だ、今日はお前がいるからな」
なんて言うもんだから、全くどの口がだよ、と溜め息と共に吐き捨てた。
皮肉に反して、それでも内心ちょっと妙に嬉しく思う自分もいて、上手いように転がされているようで余計に腹が立った。
こいつに頼られるとむず痒くて仕方ないからやめてほしいんだよな。