おはようのひとり占め 途中から皿が足りなくなるほどに張り切りすぎた料理も見事に平らげた旅人とパイモンは、明日も早いのだとそそくさと帰っていってしまった。去り際のぎこちない二人分のウインクは、トーマというより、その後ろの主人に向けられていたような。謎の気遣いには曖昧な笑みを返すしかできなくて、全く、どんな企みが待っていることやら。
そのままパーティもお開きになると、急に静まり返った空間にほんのりと寂しい気持ちになる。楽しい時間の後のこれはいつまで経っても慣れない。湯けむりに紛れて溶けていってくれと、熱い湯に足を落とした。
それにしても今年もいい誕生日だった、忠誠を誓った主人たち、並んで家を守るたくさんの同僚に、不思議な出会い方をした友人とその仲間。これだけの素敵な人たちに囲まれて祝われて、もしかしたらトーマは世界一幸せな人間かもしれなかった。
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