薄暗い、血が染み付いた部屋の中ポツンと一脚の椅子とそれに拘束されている白がいる。白の拘束されているソレは椅子にしては電極やコードが集中しているつまり電気椅子である。項の接続端子は簡単には抜けないようになっており、無理やり抜こうとするものなら電気が流れる仕組みだ。
白が再教育センターに輸送されて数日ほどだっただろうか。白を再教育センターに送った張本人である男はアイスワームのブリーフィングの時より、大人しい印象を受けた。
その日の調整も終わりかけた頃、ポツリと白が口を開く。
「V.IIスネイル。」
「貴方から口を開くのは珍しいですね。なんでしょうか。」
白のコーラル汚染によって赤くなった目が、男が焦がれる金星と似た熱を持っていた目が、男を静かに射抜く。
1778