Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    もちこの本棚📖

    @zunnda_motico

    Twitter(X)で投稿したものをこちらにも上げています✍️
    現在GW:T(K暁とCPなしメイン、たまに暁K、)作品になります
    (アイコンはいかてんころもさん(@Ikaten_koromo)作です☺️ありがとうございます☺️)

    ☆quiet follow Yell with Emoji 😊 👍 💘 🍁
    POIPOI 44

    もちこの本棚📖

    ☆quiet follow

    幽霊けけシリーズの続きです👻
    最初の注意書きをお読みの上、問題ない方はそのままどうぞ!
    一気に書きあげたので変なところがありそうです、すみませぬ…🙏あとでこっそり、修正予定です

    #K暁

    幽霊の相棒とストーカーの話caution⚠︎
    ストーカー視点から話が始まります、苦手な方はご注意ください。また、本作は犯罪行為を助長するものではありません。ちょっとだけホラー展開あり〼


     彼の郵便受けを覗き見る。入っているのはチラシだけだった。郵便物が入っていれば、私が先に開けて中を見ることが出来たのに。
     彼……伊月くんと私が運命的な出会いをしたのは数日前の事だった。あの日夜道を歩いていると、変な場所へ迷い込んでしまった。さっきまで普通の道を歩いていたのに、いつの間にか墓地の真ん中に立っていて、スマホの電波は圏外になっていた。慌てて墓地を抜けようとしても抜けることが出来ない、出口を探しても見つからない、いつの間にか顔のない人のようなものに囲まれて、このまま殺される――そう思った次の瞬間だった。
    「伏せて!」
     凛とした、青年の声がした。青年の言う通り私はその場に伏せると、緑の閃光が頭の上を飛んでいき、化け物たちを次々と倒していく。青年が化け物をすべて倒し終わると、あたりはいつの間にか先程まで歩いていた道に戻っていた。何が起こったのか理解出来ず、途方に暮れていると青年は……伊月くんは、私に優しく微笑みかけてくれた。
    「大丈夫ですか?怪我は?……そっか、なら良かったです。帰り道、気をつけてくださいね」
    「あ、あの……!」
     ちゃんとお礼を言う前に行ってしまったので、私はこっそりと彼の後を付けた。たどり着いた先は彼の住むアパートで、すぐさま何号室に入ったかを確認したあと、すかさず表札の名前を目に焼き付けた。
    「伊月……伊月くんね……!」
     それから、毎日彼のアパートに通っている。

     伊月くんのアパートに通い続けて、二週間が経とうとしていた。こんなに通い続けてるのにあれから一度も伊月くんに会えない。おかしい、朝昼晩と来ているのにこんなに会えないなんて。郵便受けには相変わらずチラシだけしか入っていない、けれどもチラシで溢れかえっているわけじゃないから全く手付かず、という訳でもない。彼は私がいない間に家を出て、いない間に家に帰ってきている。私、何かした?彼に嫌われるようなこと、したかしら?
     何度か、インターホンを鳴らしたことがある。でも一人暮らしのようだし、なにかのセールスと勘違いされてもおかしくは無いと思ってそれはすぐに止めた。その代わり、郵便受けに贈り物を入れておいたの―――盗聴器を仕込んだ、お守りを。
     郵便受けからそれが無くなっていることに気がついて、私はすぐさまイヤホンを耳に差した。よくは聞き取れないが伊月くんの声が聞こえた。誰かと電話しているようで、伊月くんの話し声だけが聞こえた。
     ……それにしても、電話長すぎない?もうかれこれ数時間、ずっと話している。伊月くんの声が聴けるからいいのだけど、私はその電話口の先にいる人間がどういう人なのかが気になった。……もしかして、彼女?……だとしたら絶対に嫌だ、伊月くんの彼女は私なんだから。嫉妬に狂いそうになったその時、ガサゴソという音とともに伊月くんの声がクリアに聞こえた。ようやく、封筒からお守りを出してくれたようだ。
    「じゃあ合鍵は郵便受けに入れておくから。明日の夜、待ってるね」
     私の口角が自然の弧を描く。伊月くんに会えて、やってくるであろう彼女をどうにかすることもできる、絶好のチャンスだ。あぁ、あぁ……明日の夜が、待ち遠しい。

     伊月くんの言う通り、郵便受けには合鍵が入っていた。私はそれを取って、伊月くんの部屋へと向かう。漸く、漸く伊月くんに、愛しの伊月くんに会える――
     鍵を開けて、静かにドアを開ける。息を潜めながらそっと靴を脱ぎ、部屋の中へと入る。ところが、伊月くんの姿はどこにも無かった。
    「なんで……?」
     ふと机の上を見ると、メモ書きが残されていた。おそらく伊月くんの字だろうか、綺麗な時でこう書かれていた。
    【 ちょっとコンビニに寄ってくる、先に寛いでいて】
     これはチャンスだ、伊月くんが帰ってくる前に彼の部屋を物色することができる。彼の寝室やクローゼットを開けて服の匂いを嗅いだり、ベッドに寝転がってみたり、浴室に入ってみたりと伊月くんの概念を堪能した。あぁ伊月くん、伊月くん…!早く会いたい!!!
     その時ガタン、と玄関から物音がした。伊月くんかしら、それとも……
     私は隠し持ってきた包丁を懐に忍ばせて、玄関へと向かう。伊月くんの声ではなく、女の子の声が聞こえてきた。
    「あれ?鍵が空いてる……入るよ?」
     ゆっくりとドアノブが回され、扉が開いたその瞬間……私は包丁を振り上げた。

     ギャッと聞こえた悲鳴、包丁を刺した感覚。辺りに飛び散る血、人が地面に転がる音。やった、やったわ、彼女を殺してやったわ……!
     誰かに見つかる前に証拠を隠滅しようと、包丁をその場において死体を中に運びこもうとして、私はギョッとした。
     死体が、消えていたのだから。
    「え……?」
     飛び散ったはずの血もない、まるで何事も無かったようにそこには誰もいなかった。仕留め損ねたかもしれないと、慌ててあたりを見渡すもやはり誰もいなかった。おかしい、確かに人を刺したのに……
     不思議に思いながらもドアを閉め、再び部屋へ戻ろうとするとそこはまるで冷凍室のような寒さになっていた。
    「さっむ……!?クーラー効きすぎじゃない!?」
     先程見つけたエアコンのリモコンを見ると、電源はオフになっていた。それなのに、部屋の中はどんどん冷えていく。冷気の元を探ろうと部屋中を歩くもまったく分からない、それどころか照明がブツンと音を立てて切れ、あたりは真っ暗になった。
    「ちょっと……なにこれ……」
     寒気がする。この前、あの不思議な現象に巻き込まれた時と一緒だ。もしかして、伊月くんの部屋で同じ現象に巻き込まれたってこと……?だとしたら、ここはまた伊月くんが助けに来てくれるのではと、私は心が踊った。
    「た、助けて伊月くんっ!私また巻き込まれちゃって……!」
     助けを呼ぶと、真っ暗闇の中に人影が見えた。きっと伊月くんだ、伊月くんが私を助けに来てくれた!
    「伊月くん、伊月くん…あぁ、やっと会えた…………!勝手に家に入ってごめんなさい、あなたに会いたくてずっとずっと待ってたんだけど全然会えなくて……!あ、さっき彼女さん?が来たみたいなんだけど追い返してしまったの、だってあの女よりも私の方があなたの彼女に相応し……」
    「そのクソくだらない話は、まだ続くか?」
     ――伊月くんじゃない、別の男の声がした。もしかして、警察……!?私、逮捕されるの……!?どうして、どうして伊月くん、どうして……どうしてどうしてどうして!!!
     目の前にいる男を殺してやろう、私は咄嗟にそう思ってさっき使った包丁を手にした……つもりだった。手にしたのは包丁ではなくて、血塗れの手だった。
    「は………………?」
     さっき玄関で殺したはずの女が、血塗れの姿でそこに居た。
    「ギャッ…………!!!」
     血塗れの手を振り払い、いつの間にか消えた男の人影も気にする暇もなく、ここから逃げようと玄関へ走る。が、一向にたどり着かない。おかしい、おかしい!廊下がこんなに長いはずがないのに!!!
     息を切らしながらなんとか玄関にたどり着くと、そこには見たことがない中年の男が立っていた。男は煙草を吹かしながら扉の前から退かない。
    「どいて……!どきなさいよぉ……!!」
     男はため息混じりに煙を吐き出しながら、私を冷ややかな目で見てこう言った。
    「生きてる人間の方が、幽霊よりもよっぽどおっかねぇな」
     さっき聞こえた声と同じ――男がそう吐き捨てると、姿が煙のように消えた。何が起きているのか分からず困惑していると、先程の血濡れの手が私の肩に伸びてきてこう言ってきた。
    「私のお兄ちゃんに……近づくなッッ」
     ――そこから先は、よく覚えていない。発狂しながら外に出ると目の前には本物の警察がいたようで、私はそのまま不法侵入の現行犯逮捕された気がする。今、私はこれを、思い出せる限りのことを、刑務所の中で日記に書き残している。

    ******

     警察の人達が現場検証を済ませて帰っていった。空き巣被害かと思って近隣の人が通報してくれたらしく、そのまま犯人は無事逮捕されたようだ。まさかエドの所に行っている間にこんなことになるなんて、と僕は少しドキドキしていた。
    「……せっかく現世に来たのに、もう帰っちゃうのか?」
    『うん、今回は特別だったから』
    「そっか……じゃあ、またお盆に帰っておいで」
    『お父さんとお母さんも連れて、また来るね!』
     そう言って、突然現世に来た麻里の魂はあの世へと帰って行った。どうやらKKが呼んだらしい。さっきまでエドのところにいろと言われ、漸く自分の家に戻ってきた時にはもう麻里が帰ってしまう時間だった。
    「KKの言う通りにしたら、麻里が帰ってきて帰っちゃったんだけど……」
    『悪いな、ちょっと手伝ってもらってたんだよ』
    「手伝い?」
    『それより暁人、ベッドのシーツとか服とか、洗濯した方がいいぞ。良くないものが憑いてる』
    「え?って、うわ、なんか部屋の中が香水臭い……!」
     KKの言う通り、寝室の寝具はすべて替えて服は明日着ていくものだけを洗濯し、浴室は掃除をしてから入ることにした。部屋中に消臭剤を撒き散らす度、KKが消えてしまわないように配慮をしつつ、疑問に思っていたことをKKに尋ねた。
    「そういえば昨日のあの演技……なにか意味があったの?」
    『大アリだ、まんまと罠にかかってくれたんだからな』
    「んー……よくわからないけど、これであの気持ち悪い視線を感じなくなるなら……いっか」
    『オレの言う通りにして、偉いぞ暁人』
    「もう、褒めてもなにもでないよ?」

     次の日、新聞やテレビのニュースで若い女が住宅に不法侵入で捕まった事件がそっと報道されたが、暁人はその女が自分のストーカーだったことも、それがKKと麻里のおかげで逮捕されたのも、後々になってから知ることになり「心霊現象で人を脅かしちゃダメ」と、二人には感謝はしつつも、きっちりと怒ったのであった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖👏👏👏💗💖💖💖💖☺☺☺☺💖☺☺🍌❤🙏😭💖⚒⚒⚒💖💖💖💖💖😭💖💖💖💖💖☺☺⚒⚒⚒⚒⚒⚒⚒⚒⚒⚒⚒💕💕💕💕💕💕💕💕💕💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    りんご

    DONEK暁デー、初デート。K←暁のようでK→〈超えられない壁〉←暁です。
    理想のデート像を黙って実行するおじと、訳も分からず振り回されるあっきーの話。
    過去それなりに色んな話を書いてきましたが、ぶっちぎりで砂糖吐きそうな話になったと思います。けけは所々横暴だしあっきーはちょっと暴走気味です。そんな二人の初めてなんて、絶対事件になるに決まってるじゃないですか(笑)
    閻魔帳のきれはしには(1)


    待ち合わせは、やっぱり駅前かなあ
    ベタなのは分かってるよ! でも後に来る僕が気になって、その後ろ姿がどこかそわそわしてるの、きっとかわいいなって思うんだろうな


    ◆◆◆◆◆


    『KK

    今日午前11時。渋谷駅北側に集合。』


    凝り固まった肩を回しながら、ネオンが薄まりゆく都会の路地を暁人はゆったりと歩いていた。長期の仕事が終わって漸くまともな寝食にありつけると思えば、心も穏やかになる。
    こんな職業なので、どうしても一日の行動が普通のそれとは大きくずれ込む時がある。今日はそういった日で、数日掛かりの依頼を何とか終わらせたときには、すっかり空が白み始めていたのだ。

    自分の名前をした空を背にしながら、暁人は連絡のためにスリープモードにしていたスマホを起動させた。そこに表示される、送り主と簡素な一文。暁人が首をひねるのも無理はない。めったに文字でのやり取りを行わない人物から突然こんなものが来たら、誰だって困惑するだろう。自分がいない間に向こうで何かあったのかもしれない。それにしても……メッセージ? 凪いでいた心情の波が僅かに揺れて―――まあいいか、と持ち直した。暁人が暁人たるゆえんは、この微妙な状況に対しての構えがやたら大きいことである。波乱万丈な生い立ちのせいで大概のことは受け流せるようになった結果だった。
    12617